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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ことのはの

2009-01-15 08:44:27 | 詩集・貝の琴
ことのはのあわだちを
かわもにうがち
みえないたまごをうえる
どこからどこまでが
しんじつなのか
わからないときは
はるかそらふくかぜの
くもをとくもじのもようにしずみ
なにもわからないままに
めばえる

はてさて
じぶんがなんだったのか
そこでなんとなくわかるという寸法だが
かつてこれまた
自分の予想があたったためしがない

はるかかなたのもじをみつつ
ちいさなわたしのたまごが
なんのたまごであったかをしることは
それをいましることは
おろかであるにはちがいない

はるか天空を見下ろす
小さなかわもにうかぶおれの
あわのようなたまごは
目に見えぬ魚のディーエヌエーのように
くるくるとまわりながら
おともなくまろやかに
うつくしい交尾をくりかえしている



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即興詩

2009-01-10 19:20:16 | 詩集・貝の琴

あかねいろのほほをした
きみのしろいゆびに
くちづけをしたいとおもうとき
わたしはそのかなわぬおもいを
しろいくらげのぼーるにして
むねのなかでぼーるなげをしてあそんでいました

しろいきみのてや
みみのうしろがわからみるときの
うすべにのはじらいなんかをみるときには
かならずそうしていました
そうすればわたしが
いかにもかわいらしかったから

それでも
たまらずなみだなんかがでそうになるときには
こころのなかでのどをくだくほど
はげしくいかって
そらにむかってみえないくらげを
おもいきりひきさいたりもした

のろうことを
わたしはわたしにゆるさないから
それはわたしのぷらいどだから
でも

きみひとりこのよにいるかぎり
わたしがこのくるしみからのがれらることは
そうかんたんではないだろうことを
わたしはみとめる

すきだということは
どうしてこんなに くるしいのですか
かみさま





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あのこ

2008-10-03 21:29:33 | 詩集・貝の琴

あのこが すきだったんだ
はなやの かんばんむすめ
がっこうさぼって
のらいぬにけちつけてたときに
みかけたんだ

めがねかけててね
いろじろのひたいに
あかっぽい髪がゆれていた
きれいな声で
お客さんにありがとうって
いってたの

おれ
いっぺんにまいったの

すきだっていえなくってさ
ばかになっちゃえって
いやなこともやれなくってさ
ほれでどうしても
あのこといっしょになりたくて
おれ

やったの

いたいことはみんな
そのためにやったのさ

えれえことはみんな
そのためにやったのさ
ばかだってのはねえ
いつしかそんなこと
どうでもよくなるほど
やったことがえれえことんなりすぎて
ばかにはまりすぎて
いやになるくらいおれ
えらいもんになっちゃったの
あほにやりすぎたの

はなやのあのこに
すきだっていえなくておれ
せんそうをやったんだよ
みんなころしたんだよ
ぜんぶやっちまってさ
きがついたら
みんなやけのはらで
はなやもなくなっちまって
あのこはどこにいったのか
わからない

おれは
ばかだってなくこともできなくってさ
へいきのへいざで
みんなばかだっていうのさ
ほれでずいぶんと
ほかのおんなをなかせたの
ばかばっかりだ おんなはってさ
あほはみんないたいね

いたいね
ほしかったのは あのこなんだよ
はなやで はたらいてた
あのこなんだよ
おれがすきなのは あのこなんだよ
どこにいったんだ

どこにいったんだ
おれの
ほんとうのおんな
おれのおんな
おれの

おれのあのこ


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2008-10-01 09:16:53 | 詩集・貝の琴

そこには
神さまより古い魚が
船のようにしずかに
泳いでいる
うようよといる

海がいない
海を 知らない
古代の古代より古い古代に
生まれた魚が
今 泳いでいる
その海に
かのじょらはゆく

神話より古い古代
神さまが子供のころ
夢に見た童話に
住んでいた魚が
そこにいる

神さまを
きらいだといった女は
みなそこにゆく
神さまよりも年をとった
神さまよりも賢い
恐ろしくやさしい
恐ろしくこわい
魚が
今でも泳いでいる
ところに ゆく

神さまが眠った ゆりかごを
彼女らは
見にゆく


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なし

2008-09-29 09:12:00 | 詩集・貝の琴

あきぐちの なしのみの
せつなさを むねにとかして
さて どうやって
きみをあいしてると つたえよう

きんいろの なしのみに
しろいはをたてて
つめたい あまさのしみる
きみのなみだを
あいしていると 
どうやって つたえよう

やわらかな かぜをおり
いろとりどりの あきのはをあつめて
あたたかい あたたかい
もうふをつくろう
どんなにか きみに
つたわらなくてもいいから
ひとかけらでもその
かなしみが
あいでゆたかになればいい

あきぐちの なしのみに
ほおをよせ
きみをあいしてると
ささやこう




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おきあいへ

2008-09-28 12:23:07 | 詩集・貝の琴

ふねなき ふねに のり
はるか おきあいに でる
ほしぼしの うれいを すてた
そらの たにまを わたり

やるせなき つみをはく
よるの かいの ささやきが
とわに さいなむ
その はてに
ついに ゆく

うみの おちた ならくに
およぐ うたを さがし
なんの ために
なんの ためにと
とわに くりかえし

あかい ちをはく
むねに いしをつみ
いしをつみ
いしをつみ

つねに さがす ものを
かくし かくし つづけ
いたむ ゆびを
かみ
だれか と
こくうに つきだす

はるか とおい
きしべから ふく
かぜを さがす




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変わりアゲハ

2008-09-24 06:56:02 | 詩集・貝の琴


雨に濡れて
はねのもようが
すっかり変わってしまいました
わたしのはね
ぼろぼろの
変なはねになりました

ばかなこと やったからです
たくさんやりました
ほんとにばかでした

でも しあわせです
いまは ちゃんとわかってますから

みっともないはねだけど
お花は きれいだねって
いってくれますよ
まだちゃんと飛べますし
飛びたいんです
たのしいんですよ
しごとをするのが
だってわたしは
お花とおしゃべりするのが
しごとだもの

いろんな ばかなこと
いっぱいやりました
みんな かみさまに
お返しします

りっぱにやっていきます

 


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わたしは

2008-09-20 12:29:28 | 詩集・貝の琴

わたしは あい
みんなに やさしく
してあげたい

そういうと あなたは
なぜ? ときく
わたしは あなたが
なぜ? ときくことが
わからない

なぜなら わたしは
わたし だから
わたしは すべてが
すき だから
それは ほんとうだから

なぜ あなたは
なぜ? ときくの?
そうたずねると あなたは
こたえない

あなたは だれ? ときくと
あなたは かなしそうな
かおをする

あなたは だれ? 
なぜ なぜ? ときくの?

するとあなたは
ようやくこたえる

わたしは
はねを なくした
ちょうです

わたしは 
あしを なくした
しかです

わたしは
めを なくした
あいです

わたしは…


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うつくしい恋を

2008-09-19 09:33:58 | 詩集・貝の琴
うつくしい恋をさせてあげよう
おとこのこも
おんなのこも
金の小鳥のように
うつくしくして

鈴のように
かわいい声をあげよう
春の風のように
甘い微笑みをあげよう

草原を駆ける
軽やかな白い足をあげよう
光踊るきれいな髪をあげよう

花の似合う
清らかな瞳をあげよう

愛するものを
しあわせにしたいと
たまらずに走りだす
明るい心をあげよう

幸せにしてあげよう
よりそうだけで
すべてがある
なにも失うものはない
うつくしい恋を

きみたちにあげよう


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あきのはなたば

2008-09-16 20:21:18 | 詩集・貝の琴

あきのはなをあつめて
はなたばをつくります
うすべにのや しろのや
ほんのりとむらさきのやを
あつめて
いっぱいつくります

みんなでたくさんつくったら
かみさまにさしあげましょう
だってかみさまは
なんにももっていらっしゃらないから
ほんとうよ

だってかみさまは
なにかあげるっていうと
わたしはいいよっていって
みんな わたしたちにくださるから

だからみんなで
かみさまにさしあげるの
いっぱいさしあげるの

うすべにのや しろのや
ほんのりとむらさきのはなは
みんなかみさまがくださるのに
かみさまはいらないっていうの
あげるっていっても
いらないっていうの

だって
なんでももっていらっしゃるから



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