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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

癒しの天使

2012-03-15 07:02:09 | 詩集・貝の琴

人々よ
わたしは 吹きすさぶ嵐の中に
神の真実を用いて
小さな金の小屋を建てておく

その中では 沈黙の樹霊が
金の枝を二本 長く差し出し
あなた方の魂は その上で
小鳥のように安らうことができる

訪れてくるものは
未だないが
わたしはいつも
そこで待っている



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裁きの天使

2012-03-14 07:34:08 | 詩集・貝の琴

人々よ
あなたがたは
真実に翻弄される

あなたがたがかつて
思いもしなかったところに落とした影を
真実は全て覚えている

何を見ても あなたがたが
驚かないということはないだろう
こんなことがあるのかと
あなたがたはみな 思うことだろう

真実は厳しい そして正しい
それゆえに あなたがたは
今 強さを学んでおきなさい
苦しさに耐えるすべを
学んでおきなさい

道は長い そして厳しい
だがそれはひたすらに
神の愛に向かってすすんでいる
あなたがたは苦しいが
すでに天国にいる

真実を 見ねばならぬ日のために
今を おろそかにしてはならない
闇に染まるその瞳を日向で洗い
正しい神のことばを
繰り返し 読んでおきなさい



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道標の天使

2012-03-13 07:21:36 | 詩集・貝の琴

ゆくあての ないものよ
どこにゆく?

ああ 灰と泥と枯れた虹の混じる闇の煙に
引き込まれてゆくのか また

ああ 毒薬と嘘の彩と青い薔薇の妬みに
沈み込んでゆくのか また

どこにゆく?

ああ また見失うのか
木々の梢の隙間に垣間見た
ひとかけらの月のしじまに
愛をおりこんだ水晶の風の
ため息を見捨て

どこにゆくのか



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導きの天使

2012-03-12 07:08:17 | 詩集・貝の琴

幻を追うな
消えてしまったものばかりを
いつまでも見るのではない

手を見よ
足を見よ
己の頭の中を見よ
何がある

あるものから 始めるのだ
おまえは 存在する
ありてあるものよ
おまえの今持てるものを見よ

神はすでにすべてをおまえに与えている

行け



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刃の天使

2012-03-11 08:09:39 | 詩集・貝の琴

おのれ
盗っ人め

まだそれを
やっているのか



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正義の天使

2012-03-10 08:03:20 | 詩集・貝の琴

人類よ

おまえたちは
神に
自分のいうことをきけと
言うつもりか



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真実の天使

2012-03-09 07:27:14 | 詩集・貝の琴

偽りの高殿より落ち
暗き夜の森をさまよう者よ
ほの白き蛾の灯に従い
苦き塩の門をくぐれ

月光に化粧を溶かし
古き道化の衣裳を脱ぎ捨て
その眼前に続く
月下に光るただひとすじの道を見よ

銀の鈴を鳴らしながら
透明な人の影を背負う
白い馬があなたを目指してやってくる
それこそは あなたが
やっと出会うことのできる
ほんとうのあなた自身なのだ



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天使はあばら家を建てる

2012-03-08 08:21:28 | 詩集・貝の琴

天使は あばら家を建てる
するといつしか
そこに大きな国ができる

天使は 笛を吹く
するといつしか 
オーケストラを伴奏に
人々が大合唱をしている

天使は 刃を見せる
するといつしか
巨万の人々が
嘘の影の中に倒れている

天使は 微笑む
するといつしか
人々がひたすらに
まっすぐなまことの道を
進み始めている
 

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破壊

2011-12-20 07:20:10 | 詩集・貝の琴
破壊する
愛が 破壊する
愛で 破壊する
全ての矛盾を 全ての矛盾を
愛が 破壊する

矛盾の 深みに 棲む者よ
逃げるが良い
早く 逃げるが良い
でも追いかけて行く
愛は 追いかけて行く
どこまでも 追いかけて行く
君たちは 逃げられない
なぜなら 君たち自身も
愛なのだから

破壊する 愛が 破壊する
全ての 矛盾を 破壊する

ほほ笑みで 破壊する



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月の音

2011-11-01 13:11:35 | 詩集・貝の琴

月光を砂に混ぜて
小さなぼーるをつくります
わたしのいるところは
波のように砂丘の連なる
白い砂漠の中の
大きな岩のそばです

岩は はるかな昔には
たぶん生きていたと思われる
大きな獣の形をしています
とがった肋骨の石の中を寝床にし
わたしはいつごろからか
ずっとここにいるのです

月はまるでピンで止めたように
天空にただ一つあります
だれかが器用に魔法を使って
ミルクをやわらかに丸めて
つくりあげた丸いお菓子のようです 

星はありません
光は月以外になく空は桔梗色をしています
聞こえるのははるか空を吹く風の音と
月が砂漠に落とすかすかな光の音だけです
雨音を銀色のシロフォンの音に例えれば
月の音は すきとおった水晶の琴音です

しん しんと 砂に音を立てて光が落ちてきます
わたしは獣の肋骨の中で
静かにそれを聞いています
ここにいるとずっとまえに母だった人の
胎内にいるような気がします
わたしはたいそう幸せでした
あたりまえの小さな子でしたが
外の世界でわたしが生まれるのを
母が心待ちにしていることがわかっていたからです
だれかの子になるというのは とても幸せです

どうして なぜ ここにいるのかは
もうすっかり忘れてしまいました
ただ 月の音の中にときどき
妙な音をたてるものがあって
それが何やらことばに聞こえるのです
だれかが わたしの名を呼んでいるような気がするのです
自分の名前などとっくに忘れてしまったのに

砂漠は一面乳色で
まるでやわらかな布をしいてあるようです
わたしは何か大事なことを忘れているようだ
桔梗色の空を見ながら 思いだそうとしても
月ばかりが明るく すべてをぬぐい去ってしまいます

今少し待てと 誰かが言っているようです
思い出してはいけない
空に星が一つもないのは
星がわたしに秘密を明かしてしまうからだそうです

落ちてくる月光を拾って
つくったぼーるは すぐに崩れてしまって
もうありません わたしは
それがおかしくて
ふ ふ ふ とわらいます
知らないと思っているでしょうけど
わたしは知っています
わたしが狂っていることを
そしてそれはすべてわたしのためのことだと

ぼーるを作り直すため
月光を拾い 月光を拾いながら
突然何かを抱きしめたい衝動にかられ
わたしはもっていた月の光を砂漠にまき散らし
からからと虚空に向かって笑いながら
叫ぶのです

おかあさん!

おかあさん おかあさん
わたしはいつうまれるのですか?






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