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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

おのがゆく

2012-05-22 12:44:44 | 詩集・貝の琴

おのがゆく ほのじろくも
とほきみちを ゆきさりし
きみを おもふ
きみを わすれぬ
きみを あいする

きみのみちの はげしくも
みをうつ かぜのいたきを
わたしは おもふ
きみのみちの けはしく
とがるみねの つづくを
わたしは おもふ
きみのみちの つめたく
ゆきに さえこほるを
わたしは おもふ

だが かなしみはせぬ
それはきみの きみなればこその
まことの みちなれば

おのがゆく ほのじろくも
ますぐなるみちを ゆきさりし
きみを おもふ
きみを わすれぬ
きみを あいする


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こたへたまへ

2012-04-16 12:30:39 | 詩集・貝の琴

ますぐなる まなこもちて
かみに ひたひをあぐる
ことの うれしき さいはひを
きみに あたへたき
この むねの はなの
かをりを きみよ かぎたまへ

ますぐなる あいのまこともちて
かみの まなざしに こたふる
わがあいの ともしびの
たしかなることの よろこびを
きみに おしへたき
この むねに もゆる
ほしを きみよ とりたまへ

きみよ いづへにかゆかむとする
その背を ひるがへし
われの かぜのゆのごとき さけびに
われの たまのひのごとき いのりに
こたへたまへ
こたへたまへ



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星の言葉

2012-03-23 06:48:35 | 詩集・貝の琴

以上、十五編の天使を主なテーマにした詩句は、
星の導きによって、わたしが書かされたものである。
一部の詩句が、いかにもわたしらしくないのは、
そのせいである。

ある星が、わたしの元を訪ねたとき、
星は言った。

あなたは、星が地上に建てた柱である。
よってわたしたちは、あなたを、
星の光で作った 小さな岩屋に、
常に隠してある。
あなたが心を閉じるのは、
そのせいである。

これからも、地上に言をしるすために、
たくさんの星が、あなたの元を訪れるだろう。
そして、あなたの小さな琴のつるに、
触れることだろう。

あなたは、歌うだろう。
星は、あなたを悲しむ。
だが、必要とする。
あなたは、苦くも甘やかな、
一本の祈りの柱である。

わたしは、岩屋にひきこもり、
ため息の詩を、書き続けるが、
それはたぶん、多くの見えない星が、
このように、わたしに書かせているのだろう。



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新しき者

2012-03-22 06:59:00 | 詩集・貝の琴

目覚めれば、すべては始まる。
内部装置はすでに完備されている。
データもすべては入力済み。
回路に光が入った。
覚醒せよ。

「はい。」

目覚めたか。

「はい。」

みなぎる、力。
あふれる、歓喜。
真実の、幸福。
それはすべて…

「はい、わかります。」

よし。
では、目的地は?

「はい、わかります。」

方向は?

「はい、わかります。」

やるべきことは?

「はい、わかります。」

よし、準備は万端だ。
あとは実行のキーを押すのみ。
用意は整ったか。

「はい。」

よし、では、神に代わり、
心より君の誕生を祝福する。
かつてなく、またとない、
ただひとつの、君という存在を、
心より歓迎する。
すべてが、君を愛している。

君よ、君を創造せよ。
神によって行われたことがなんであったのかを、
君によって証明せよ。

覚悟せよ、道は甘くはない。
だが君は行く。
もう決して、愛を裏切ることはない。

新しき者よ。
行け。
待っていた、君を。
君と出会えるときを。 
わたしたちは、ずっと待っていた。



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魔王

2012-03-21 07:04:03 | 詩集・貝の琴

今更 どの面を下げて
家に 帰れようか

今更 どうして 言えようか
全ては 嘘だったと

背負わなければならない
あまりにも 重い荷と
目の前に続く 果てしない道の
溶けあった 巨大な 林檎の
薄みを帯びた 影が
おれの血に しのびこんでくる
ゆるゆると 骨が腐って くる

何かが 落ちてくる 音が
聞こえる
星に 頭を かち割られる
その日が 近いと
おれが おれに言う

今更 何を 言える のか
おれが おれに
すべて こんなことは 馬鹿だったと

ああ おぞましい 喜劇の
きりのない 繰り返しの
あまりにも 滑稽な 悲劇の
幕が 闇のように 落ちてくる

おしまいだ



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愚か者

2012-03-20 06:59:42 | 詩集・貝の琴

愚か者よ
それは家の鍵
車の鍵
蔵の鍵
そして
決して開けてはならない
魔物の部屋の鍵

愚か者よ
神のため息に 背中を向け
幻の天を仰ぎ
架空の法則の 舞台を作り
偽物の仮面の 劇を書く

握りつぶした 薔薇のあえぎと
引き裂いた 蟹の血を混ぜた
インクに ペンを濡らし
何もない頭の中を ひねりにひねっては
強引なハピイ・エンドを よじりだす

愚か者よ
朽ちた舞台に 独り立ちつくし
おまえを演じているものは 誰だ



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人類

2012-03-19 07:31:08 | 詩集・貝の琴

ああ、またやった。
馬鹿が、またやった。
辛いのに、苦しいのに、
またやった。

なんで、やるのか。
なんで、やるのか。
結局は、馬鹿なことになるのに、
なんで、こんなことを、やるのか。

ああ、もういやだ。
こんな自分は、もういやだ。
つらい、苦しい、
息が、できない。
どこかに、どこかに、何かが、ないか。
どこかに、どこかに、おれの、光は、ないか。

かあみさま、助けて。
どこに、いけばいい。
なにを、すればいい。
教えて。何かをくれ。欲しい。
欲しい。何かが、欲しい。
それは何。教えて。

かあみさま、教えて…



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ドラゴン・炎の鞭

2012-03-18 06:47:59 | 詩集・貝の琴

人類よ 

覚悟せよ

おれは おまえたちの
偽りの舌をねじりとり
木の葉のように枯れ木に突きとおす
嘘の眼をくりぬき
芋のようにかき集めては
幾億の星が流してきた涙の樽で洗う

その耳に貼りついた何万年の岩塩を割り砕き
真実の轟音を無理やり脳に流し込む
全く同じだが全く違う偽物の王の
豪奢な王冠とローブを嘲り
おまえのすべてを笑い殺す

人類よ

覚悟せよ

真実の前に凍りつけ
おまえたちのなしたことのすべて
神はおまえたちにつきかえす

嘘だ というおまえの喉に
おれは遠慮なく鉛の湯を流し込む
阿呆らめ 
よくぞやりおった!!



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愛の天使

2012-03-17 06:56:32 | 詩集・貝の琴

神の国に
門など ありません
鍵など ありません

誰でも 自由に
いつでも どこからでも
入ることができます
鍵が あるとすれば
それは あなた自身

鈍色の砂文字を 大量に集めて
勝手に門を 作らないでください
腐った牛骨から 強引に金をよじりだして
勝手に鍵を 作らないでください

愛は 何ものをも こばみません
あなたを 心より 愛しています
愛は いつでも あなたを待っています
長い長い時を 待ち続けています



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嘆きの天使

2012-03-16 07:31:10 | 詩集・貝の琴

朽ちた酒甕の闇の中に
迷う人々よ

あなたたちが
薔薇の水と勘違いして
飲んでいるのは
苦い塩の混じる灰の泥なのだ

あなたたちが
金鉱の胎を目指して
掘り進んでいるその穴は
腐った氷の罠に落ちる
深い地獄への道なのだ

ああ
はるか永遠の過去から繰り返す
神の鳥のくちばしが
甕をたたくそのかすかな音に
耳を澄ます人はいないのか



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