人間は いやなことをするのが
いやだから
いやなことをするんです
人間は 悪いことをするのが
いやだから
悪いことをするんです
そんなに いやなことをするのが
悪いことをするのが いやなら
なぜ いやなことを 悪いことを
するのを やめないのですか?
すると悲しい人はこういうのです
「そんなことは馬鹿だ」 と
で 馬鹿とはどういう意味ですか と問うと
すっと後ろを向いて 逃げていくのです
さてわたしは 彼のあとを追いかけて
もう一度聞きます
どうして 人間は 悪いことをするのですか
「悪いことをする自分が いやだからです」
それならなぜ 悪いことをやめないのですか
するとその人は 速足で逃げながら答えるのです
「馬鹿だからです 馬鹿がいやだからです
自分が馬鹿なのがいやだからです
みんなを馬鹿にしないと ぼくひとり
一番の馬鹿になってしまうから
誰も知らない 秘密の暗い場所で
いっぱい悪いことをして
みんなに意地悪をして みんなを馬鹿にして
ぼくだけが偉いことにして
ぜんぶぼくのものにするんです」
「そうしたら 悪いことをする
馬鹿でいやな自分なんか
どっか遠い山奥にでも捨てて
何もかも新しい
すっかりいい自分になり変われるって思うんです」
「だから悪いことをするんです
そして 悪いことをして
気分が悪くて いつも苦しくて…」
なぜ 悪いことをやめないのですか?