日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

小春日和の瀬戸内へ 2019 - サンライズ出雲

2019-12-22 22:51:20 | 中国
岡山で列車下車し、走り去る500系を見送って、駅前の電飾を眺めてから在来線のホームに下りると、「サンライズ瀬戸」は既に入線していました。後から来た「サンライズ出雲」を連結して出発です。
中国四国以西へ旅をするときは、「サンライズ」が帰りの移動手段として定着しました。何度も乗って気付いたのは、先に入線する「サンライズ瀬戸」を押さえておいた方が、岡山でわずかとはいえ早く乗れ、都合がよいということです。しかるに今回「サンライズ出雲」となったのは、列車の手配を先延ばしにしていた結果、「サンライズ瀬戸」が埋まってしまったという理由によります。選り好みさえしなければよかったものの、毎回指定している二階の右側という条件を満たす個室がなかったのです。
二階の右側を指定するのは、車窓に歴然とした違いが出てくるからに他なりません。明石海峡大橋と須磨浦海岸の夜景から、駿河湾と相模湾の夜明けに至るまで、絵になる車窓の多くは右側だからです。月もほぼ右側に浮かびます。先週末もおぼろげな月を追いかけながら帰りました。しかし、夜空の眺めに関する限り、今回は期待すべくもありません。九州に一日雨を降らせた雲を追いかけることになるからです。朝から吹いていた風は昼頃までに弱まりましたが、雨は片時たりとも止むことなく降り続けました。岡山に着いたところでほぼ上がったものの、予報の上では終着の間際まで降り続けるようです。昨日も昼から晩まで降ったわけであり、飽きもせずよく降るものだと思います。
三日のうち二日にわたり雨に降られ、天候に関してはさっぱりの活動でした。しかし、訪ね歩いた酒場についてはことごとく完勝に近い結果でもありました。「菜々かまど」に振られたことを差し引いても、十分に満足できる成果です。日程が二日短縮されてしまったことを思えば、健闘したといってもよいのではないでしょうか。無情の雨に降られようとも、敗北感はありません。充実感を胸に帰ります。

★岡山2234/サンライズ出雲(5032M)/708東京
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - こだま762号

2019-12-22 20:33:56 | 中国
新山口で列車を降りると、直後に思わぬ出来事が。噂に聞きし「瑞風」が同じホームの向かい側に入線し、乗務員交代を経て走り去ったのです。薄暗い中でも一目で分かる、鏡のように磨き上げられた車体が、特別な列車であることを無言のうちに物語っていました。しかし、金持ち向けの豪華列車に乗ってみたいという願望は微塵もありません。「瑞鳳」ではなく「瑞風」だということも、MIZUKAZEなる車体の表記で今更ながら知りました。こちらの目当ては山陽新幹線で余生を送る500系です。
沖縄からの帰りだった先月以来の乗車となります。今年は結局三回乗ったことになるでしょうか。次の機会があるとすれば三月の連休、来春のダイヤ改正の直後です。東海道新幹線から撤退する700系と違って、500系の動静については何らの情報もないため、当面は残ると思ってよいのでしょう。ただし、運用までそのままかどうかはまだ分かりません。岡山で「サンライズ」に接続する運用がなくなれば、500系に乗れる機会は激減します。そのままであってほしいというのが切なる希望ではありますが、万一変更されても悔いが残らないよう、改正前最後の乗車をしかと体感しておきます。

★新山口2015/こだま762(762A)/2217岡山
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - 3500番台

2019-12-22 18:51:14 | 中国
二時間少々あった持ち時間を余すことなく使い切りました。七時前の普通列車で下関を後にします。往路と同じ3500番台の編成による運用です。

★下関1844/5186M/1950新山口
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - 三枡

2019-12-22 16:44:48 | 居酒屋
博多での乗り継ぎに手間取って、一本遅れはしたものの、どうにか踏みとどまったともいえます。さらに一本遅れると、小倉で余計な待ち時間が出るところだったからです。首尾よく下関に着いたところで「三枡」の暖簾をくぐります。長崎からの帰りに寄った三月以来の再訪です。

この店との付き合いも長くなりました。初めて訪ねたのは九年前です。年が明ければ10年目に入ることになります。それだけ通えば多かれ少なかれ変わったところも出てくるものです。最たるものは、女将とともに店を仕切っていたおばちゃんが引退し、脱サラした若主人が店に入ったことでした。最初の頃は力量の限界がありありと感じられ、提供が間延びする場面に度々遭遇してきました。先手を打って注文を済ませておく習慣が身についたのもそのためです。しかし、串打ち三年の諺通り、去年あたりから目覚ましい進境が窺われるようになって、自衛策も必要なくなりつつあります。今回も頼んだものはことごとく狙い通りの間合いで出され、ふくちりの後の雑炊まで駒を進めることができました。
その代わりに顕在化してきた問題として、店舗の老朽化と女将の体力的な限界があります。後者についてはようやく手が打たれたか、自身にとっては初見となる青年が入り、若主人とともに包丁を捌いているところでした。そうなると残る問題は老朽化ですが、こちらも老婆心に過ぎないような気がしてきました。というのも、先々月唐松駅を訪ねたとき、極力手を加えずに維持したいという管理人の話を聞いて、さもありなんと納得させられたからです。この店についても然りとすると、少なくとも女将が引退するまではこのまま残すつもりなのかもしれません。

通い始めて以来最大級といえる変化がもう一つありました。二種類ある酒のうち、辛口の方が変わったのです。それも蔵の廃業という残念な理由によってでした。せめてもの救いは、後釜となった酒が同じく名入りの一合瓶ということでしょうか。王冠こそ捻って開けるものに変わったとはいえ、緑色の通い瓶は先代の菊川を彷彿させます。店にしても女将にしても、あらゆるものは永遠たり得ないのが現実ではありますが、伝統だけは受け継がれてほしいというのが切なる願いです。

三枡
下関市竹崎町2-13-1
083-223-8608
1500PM-2300PM
第一水曜及び盆正月休業

福娘三合
いわし
本皮
牛すじ煮
ふくちり
雑炊
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - しばしの別れ

2019-12-22 16:22:15 | 九州
小倉ではわずかな間合いで下関行の列車に接続します。ただし実際には奥の手があります。一駅先の門司で9分停まるため、後から出る門司港行に乗っても追いつけるのです。しかし、小倉での待ち時間が延びても、ホームでうどんをいただく以外の使い道がありません。要衝の面影が今なお残る門司駅で待つ方を選びました。後続列車の乗客を拾えば出発です。九州とはこれにてしばしの別れとなります。
鹿児島に一泊しかできなかったことは、本年における心残りの中でも最たるものの一つです。それには及ばないものの、北九州に乗り継ぎ以外で全く寄れなかったのが惜しまれます。今年は門司港駅の修復工事の完成という話題もあっただけに、久々に再訪したいところではあったのですが。門司、小倉、戸畑、八幡、若松のうち、少なくとも一つには寄ることを来年の目標の一つにしておきましょう。

★小倉1610/5132M/1632下関
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - ソニック35号

2019-12-22 15:14:15 | 九州
博多で新幹線から降りると、過不足のない間合いで「ソニック」に乗り継げるはずでした。しかし、土産を買っているうちに、20分弱あった待ち時間をほぼ使い果たしてしまうという誤算が。一本見送り後続列車で小倉へと向かいます。
図らずもできたさらなる待ち時間を使い、一瞬だけ外の空気を吸ってきました。玄関には門松と注連飾りがありました。ただし往路に同じものを見た記憶はありません。その記憶が正しいとすると、昨日か今日に飾り付けられたばかりなのでしょう。いよいよ押し迫ってきたと実感する一幕でした。

★博多1519/ソニック35(3035M)/1616小倉
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - さくら404号

2019-12-22 14:29:20 | 九州
在来線の構内を一通り見学すると、二時過ぎに出る800系の列車まで頃合いの時間となりました。鹿児島中央から直通してくる数少ない運用の一つです。日曜の上りだけに混んではいないかと身構えたものの、幸い杞憂に終わりました。終点の博多まで乗り通します。

★熊本1402/さくら404(5404A)/1440博多
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - 武者返し

2019-12-22 13:59:21 | 九州
熊本城の堀端で記念撮影を済ませると、一時過ぎに出る800系の列車には惜しくも間に合わない見通しとなりました。さりとて上熊本へ行って戻ると、今度は二時過ぎの列車を逃しかねません。宿に預けた荷物を引き取り、熊本駅を通り過ぎ、終点の田崎橋まで往復して締めくくるという顛末です。それでもなおわずかな時間が残ったため、新装なった熊本駅を見ていきます。
ようやく全貌を現した高架駅を昨晩初めて見たときは、下見板張の巨大な壁が印象に残りました。しかし、日中に眺めると暗い中では分からなかったことにも気付いてきます。再度眺めて思ったのは、そそり立つような壁面が、熊本城の武者返しに着想を得たのだろうということです。同じく城の建築に着想を得たと思われるものに、在来線のホームの上屋を支えている巨大な角材による木組みがあります。四本のホームが並ぶ大分駅に対して、切り欠きの2線を含め6番線まで、つまり在来線ホームとしては二本だけのささやかさではありますが、威風堂々たる佇まいはあちらをむしろ上回るといっても過言ではありません。全体を貫く、虚飾を排した質実剛健たる意匠も特徴的です。外壁の下見板張は灰黒色、コンコースの床は洗い出しと石畳で仕立てられ、月並みな言葉を借りれば水墨画のような色彩をしています。さすがはJR九州と思わせる名建築です。
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - 下通

2019-12-22 11:47:52 | 九州
厄介なことに雨風とも昨日より強めです。これでは電車を降りて街を歩こうという気分にもなりませんが、屋根のある場所ならその限りではありません。乗ってきたのと同じ電車で繁華街へ戻り、商店街を歩いてみることにしました。
通町筋の電停から辛島町の方へ向かって延びるのが下通のアーケードです。夜には無数のネオンが灯る熊本の繁華街を、明るいうちに歩いてみると異なる一面に気付きます。アーケードがとにかく広くて高いのです。県都のアーケードでこれに匹敵するものといえば、即座に思いつく限り、松山の大街道がせいぜいでしょうか。しかし、長さまで含めればこちらが上かもしれません。人口だけ比べれば、鹿児島との間に歴然とした違いはないものの、飲食街もアーケードもこちらが一回り、いや二回りほど大きいという事実を再認識させられます。伊達に政令指定都市を名乗っているわけではありませんでした。
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - 旧型車

2019-12-22 10:38:54 | 九州
今日は朝から本降りです。これでは電車に乗る以外の使い道がありません。とはいえ路線が長いため、往復するだけでもそこそこ楽しめます。不要な荷物を宿に預けて、最寄の電停から乗り込みました。
最初に来た低床車を見送ると、狙い通りの旧型車が次に来ました。しかし面食らったのは、都会の通勤電車並みに混んでいたことです。もう一本見送ろうかと躊躇しながらも乗ったのは、いずれ空いてくるだろうと見込んだからでもあります。その狙いはおおむね的中し、辛島町と通町筋で大半のお客が降りていきました。このまま終点の健軍町まで乗り通します。
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - 法華クラブ熊本

2019-12-22 09:22:04 | 九州
鹿児島では定宿となっている法華クラブも、熊本ではまだそこまでの位置付けに及びません。しかし、今回は二泊とも法華クラブを押さえることができました。鹿児島での教訓を生かし、朝食、風呂の順に済ませたところです。
元々ここを押さえられるとは思っていませんでした。宿が空く年末年始の時期とはいえ、土曜の宿泊料はどうしても上がります。最初に照会したときには、朝食付きで八千円台中盤でした。クリスマスを口実にして奢るにやぶさかではないものの、自分にとって即決できる値段でもありません。選り好みさえしなければ、どこかに泊まれそうなのを確認の上、手配を直前まで見合わせました。出発の前日に再度照会したところ、朝食付きで六千円を切っていたため、その時点でようやく決断するという顛末です。
公式サイトの予約画面にはアウトレットの文字がありました。安さには何らかの理由があるということです。その理由とはユニットバスがないことでした。しかし、大浴場があればユニットバスなどそもそも必要ありません。通常の部屋とは千円以上の価格差がつくこともあり、今回はこちらを試しに選んでみました。ユニットバスがない分だけ間口は狭くなるものの、奥行についてはおそらく他の階にある客室と同じでしょう。ユニットバスが占有するはずの部分にエキストラベッドが置かれており、そちらをソファ兼荷物置場にできるため、むしろ広々しているという印象さえあります。ユニットバス以外にも割り切りは要るのかと覚悟するも、自分にとっては願ったり叶ったりでした。

大浴場と並ぶ法華クラブの名物といえば朝食です。鹿児島と掛け持ちしたことにより気付いたのは、似たようなものでも食材、呼び名が変わることでした。薩摩揚げは天草揚げ、豚味噌は桜味噌、豚骨は馬のすじ煮、鶏飯は太平燕にそれぞれ変わるという具合です。郷土色を重んじる、法華クラブらしい献立でした。
食堂と風呂が二階にある鹿児島の法華クラブと違い、こちらでは風呂が三階、食堂が最上階に分かれます。その最上階からの眺めが秀逸でした。床から天井まで立ち上がる大きな窓が連続し、外を一望できるという仕掛けです。最上階といっても九階で、ほぼ同じ高さの建物も多く、城山、桜島、錦江湾など絵になるものは多くありません。しかし、駅の西にある小高い山が顔を出し、手前のバルコニーは砂利を敷いた庭園風に仕立てられていて、雰囲気を含めて好ましいのです。その造りが最も活かされる、西と北の両方向に窓が開けた一角でいただきました。天候こそ全く振るわなかったものの、酒場と宿に関してはいずれも上々だったのが救いです。
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - 三日目

2019-12-22 07:29:15 | 九州
おはようございます。二日続けて遅い目覚めとなったのは、夜更かししたのもさることながら、九州の日の出が遅いということでもあります。外が明るくなってきたのに気付いて起きると、時計は既に七時過ぎでした。それとともに気付いたのはタイヤが水を切る音です。深夜にようやく止んだ雨が、再び降り出したのでした。この雨が夕方まで続くというのが最新の予報です。出発前から予想された通りではありましたが、九州上陸後の天候はさっぱりです。さりとてまっすぐ帰れば時間を持て余します。昼頃まで滞在してから熊本を出るのが今のところの予定です。
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