日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

小春日和の山陰へ - 橘屋

2019-12-14 23:40:38 | B級グルメ
松江の夜は奈良と同様全国的に見ても早く、10時を回ればほとんどの呑み屋が暖簾を下ろします。しかし、「庄助」と「やまいち」の双璧をはしごでき、思い残すことはひとまずありません。別腹に入るそばだけすすります。今回も「橘屋」の暖簾をくぐりました。
一瞬意表を突かれたのは、ベテランが仕切っていたはずの店内を、見慣れない三人組の若手が仕切っていたことです。経営者の高齢化に伴い代替わりしたのでしょうか。しかし、酔客御用達の雰囲気に変わったところはなく、増税によりわずかに値上げされた程度の違いにがあるにすぎません。この店が次の世代へ受け継がれていくのであれば、むしろ歓迎すべきでしょう。

橘屋
松江市東本町2-64
0852-25-0496
1100AM-1400PM/1800PM-100AM
日祝日定休
割子そば830円
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小春日和の山陰へ - やまいち

2019-12-14 20:33:19 | 居酒屋
五時から始めたことにより、適度に腹がこなれてから呑み直す余裕ができました。宿に一旦引き上げて、一休みしてから出直しました。満を持して訪ねるのは「やまいち」です。
去年は同様の状況で足をすくわれました。「庄助」で先に一杯やった後、腹ごなしを経て訪ねようとしたところ、無情にも行灯の明かりが消えていたのです。その時点でまだ八時半を回っていなかったのではないでしょうか。九時半までとの情報はあるものの、品数が少なくなったり、お客が早く帰ったりすれば、早仕舞いはあり得るということです。
教訓を踏まえて八時過ぎには乗り込むつもりが、何だかんだでほぼ同じ時間になりました。松江大橋から眺めれば、一本東の橋の袂に、店の明かりがついているのは分かります。あちらまで歩く間に消えてしまっては痛恨の失策です。心持ち急ぎ足で大橋川の畔を歩き、一目散に飛び込んだところ、既にお客は一巡しており、カウンターの中ほどに首尾よく収まるという顛末です。

「庄助」では狙い通りの特等席に収まりましたが、こちらの席も上々です。目の前でおでん舟が湯気を立て、やや上を向けば短冊の品書き、左斜め前には惣菜の大皿が並びます。品書きの筆頭を飾るのは日本海と宍道湖の幸です。しかし、少なくとも刺身についてはそこまで食指が動きません。というのも、この店でいの一番にいただきたいものは何かと考えたとき、まず浮かんだのは「庄助」とも渡り合える大ぶりで食べ応えのあるおでんだったからです。二軒目という条件からしても、もう一品追加してから、ご飯としじみ汁で締めくくれば十分だろうと思っていました。
その一品に選んだのは蟹コロッケです。よくあるカニクリームコロッケではなく、牛肉コロッケの牛肉の代わりに蟹身を使ったようなものといえばよいでしょうか。じゃがいもと蟹身の配合が絶妙な、よそではなかなか味わえない名品です。常々申している通り、蟹にはそれほど頓着がなく、松葉蟹に大枚をはたく気など毛頭ありません。そのような者にはこれで必要にして十分です。

去年行き損なったことについては、強く後悔しているわけでもありません。毎回同じ店ばかりというのも芸がなく、趣向を変えるよい機会とさえそのときは思いました。実際のところ、代わりに訪ねた「橙」もよい店でした。しかし、今回に関していうなら話は別です。二年続けて行き損なえば、生涯の残り時間を考えても少なからぬ損失となります。「庄助」の次はここしかないと決めていたのです。店はその期待に見事答えてくれました。再訪できてよかったと、しみじみ思った次第です。

やまいち
松江市東本町4-1
0852-23-0223
1630PM-2130PM(日祝日 -2100PM)
不定休

豊の秋・賀茂鶴
豆腐・巾着
蟹コロッケ
めし汁漬物
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小春日和の山陰へ - 庄助

2019-12-14 17:14:23 | 居酒屋
ありがたいことに、今夜の宿は松江大橋の袂にあります。橋を渡れば「庄助」にすぐさま行けるということです。とるものもとりあえず宿を出て、脇目も振らずに乗り込みました。
開店と同時に暖簾をくぐるとき、最も懸念されるのは、一見するとがら空きにもかかわらず、予約満席を理由に振られてしまうことです。そうなったときの気まずさは例えようがありません。前回同じく開店直後に飛び込んで、そのような心配が要らないことは分かっています。しかしあれは平日でした。週末にどう変わるかが一抹の不安材料ではありました。しかし幸いにして、カウンターの先客は一組のみ。それも玄関から見て反対側でした。その結果、狙い通りの玄関側に首尾よく着席。付きっ切りで鍋を守る女将、もといお姉さんの仕事ぶりを目の当たりにでき、やや左を向けばおでんが湯気を立てていて、その延長線上に松江大橋の明かりが揺れるという仕掛けです。それにもかかわらず、ほぼ毎回ここに着席できているのは、背後にある玄関をお客が出入りする度に、冷気が吹き込むからでしょうか。しかし、人並み外れた暑がりにとっては、これしきのことなど何でもありません。ここが自分の特等席だと言い切れます。

そのようなわけで、何もかもが狙い通りに決まってくれましたが、小一時間でも遅れれば微妙でした。次から次へとお客が入り、六時を前にほぼ埋まってしまったからです。一人なら滑り込める余地はあるものの、好みの位置を選べるのは、早く訪ねた者だけに許される特権ということになります。
その一方で、「残り物には福」といえそうなことも一つだけありました。ロールキャベツがまだ煮え切っていなかったのです。一品目に所望したところ、まだ早いとの理由により断られ、終盤に満を持して再挑戦するも、煮えが若いというのがお姉さんの返答でした。その忠告通り、もちろん悪くはないものの、さらに煮込めばなおよかっただろうと思える味わいです。後から頼んだお客に説明していたところによると、あと少し待っても大差はないとのことでした。かしわめしに使われる鶏のような肉を詰めたロールキャベツは、ここでしかいただけない逸品の一つですが、少なくとも序盤においては封印し、代わりの品を選んだ方がよいのかもしれません。今後に向けての参考とします。

庄助
松江市八軒屋町16
0852-21-4238
1700PM-2230PM
日曜及び祝日の月曜定休

隠岐誉
豆腐
天ぷら
ねぎま
玉子焼き
里芋
昆布
ロールキャベツ
ポテトサラダ
スズキ昆布〆
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小春日和の山陰へ - 投宿

2019-12-14 17:04:33 | 中国
松江は意外にバスの便がよいところです。少なくとも京都の比ではありません。駅前に出るやいなや、バスが頃よく来たため飛び乗り、市街に移動し投宿したところです。
日の入りが底を打ったと先刻申しましたが、あれは東京を基準にした話です。こちらでは30分近くも遅い16時55分が年内の最速となり、それが一昨日1分延びて、本日も16時56分が日の入りの時刻となります。ほぼ終日曇か雨の、いかにも冬の山陰らしい天候ではありましたが、西の空にはまだ明かりが残っています。「庄助」のカウンターで、暮れなずむ大橋川を眺めつつ一杯やれれば最高でしょう。今から早速行ってきます。
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小春日和の山陰へ - スーパーまつかぜ7号

2019-12-14 15:22:36 | 中国
三時間あまりの滞在は思ったよりも短く感じられました。甚だお粗末ながらも切り上げ、投宿地となる松江へ向かって移動します。例年なら帰りに再び立ち寄る機会が出てくるところ、今回はさらに西へと下るため、鳥取に戻ってくることはありません。また来年…

★鳥取1508/スーパーまつかぜ7(2007D)/1635松江
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小春日和の山陰へ - 谷本酒店

2019-12-14 14:52:26 | 酒屋
束の間の滞在も残りわずかになってきました。最後は谷本酒店に立ち寄ります。日置桜、瓣天娘、諏訪泉といった有名どころを主体にした品揃えの中で、目に留まったのは此君なるなる初見の酒でした。二夏の熟成を経て蔵出しされたひやおろしという触れ込みです。

谷本酒店
鳥取市末広温泉町274
0857-24-6781
900AM-2100PM
日曜定休
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小春日和の山陰へ - 日乃丸温泉

2019-12-14 14:46:50 | 温泉
時節柄、日本海側の天候には多くを期待できません。自転車をなおも走らせ鳥取城を訪ねるも、あいにく雨が降り出しました。それも、本来なら傘をさしたくなるほどの降りようです。これではもはや引き返すしかありません。半分ほどの区間にわたり、アーケードで避けられたのは助かりましたが、それでもかなり濡れました。当然ながら身体も冷えます。残り時間の使い道はこれしかありません。駅前の「日乃丸温泉」に駆け込みます。
自転車で行ける範囲に限っても、温泉銭湯が何軒かあると聞いていました。初見のところに行ってみたいのはやまやまでしたが、この雨の中では仕方がありません。むしろ、手近なところで温まれたのは助かりました。

★日乃丸温泉
鳥取市末広温泉町401
0857-22-2648
平日 600AM-1000AM/1400PM-2400PM
土日祝日 600AM-2400PM
第二月曜及び元日休業(祝日の場合翌日休業)

入浴料400円
泉質 ナトリウム-硫酸塩塩化物泉
泉温 46.6度
pH 6.6
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小春日和の山陰へ - 武蔵屋食堂

2019-12-14 13:17:55 | B級グルメ
直近の二度にわたり鳥取市街を走ってみて思ったのは、飲食店すらほとんどないということです。その一方で、街がこれだけ古ければ、昔ながらの食堂が一つや二つにあってもよさそうな気がしました。図星とすれば、そこでお昼をいただくのも一興です。果たして噂を探った結果、それらしき店の候補が少ないながらも出てきました。その一つに早速飛び込みます。「武蔵屋食堂」の暖簾をくぐりました。
明治末期の創業ということは、市内の飲食店の中でも屈指の老舗でしょう。今まで気付かなかったのは、表通りから少し外れた路地裏という立地によるところが大です。しかし、前を通ればすぐさま直感に訴えてきそうな、いかにも老舗の大衆食堂然とした雰囲気を漂わせています。小さめのテーブルが整然と並んだ店内で、老若男女様々な地元客が麺類をすする光景も、こちらの想像通りです。
短冊を二段組にして額に収めた品書きは、上段が右側からうどんとそば、下段が丼物、それに素ラーメンなる聞きなれない品の組み合わせです。小耳に挟んだところによると、素うどんのうどんを中華麺にしたのがその正体で、当店を発祥とする鳥取名物の一つだそうです。しかし、今日は何故かうどんをすすりたい気分でした。名物を差し置いて選んだのはあんかけうどん、素うどんの出汁にとろみをつけて焼海苔と生姜を添えた、寒い日にはお誂え向きの一杯でした。

武蔵屋食堂
鳥取市職人町15
0857-22-3397
1030AM-1700PM
日祝日定休
あんかけうどん539円
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小春日和の山陰へ - 若桜街道

2019-12-14 12:58:58 | 中国
三時間の旅を終えて鳥取に着きました。松江への行きがけの駄賃ではありますが、今回も自転車に乗って市内を回ります。
鳥取で自転車を借りるのは三度目です。初回だった一昨年は手堅く鳥取城址を訪ねました。去年は趣向を変えようとして、前年走らなかったところを主体に回ったものの、殺風景な場所が多くて今一つでした。そこで今年は原点に立ち返り、再び城址を目指すことにしました。一度走ったところでも、再び走れば発見が一つや二つは出てくるものだからです。その経験則はここでも見事に妥当しました。
駅前から県庁へ向かって行く国道53号線、通称若桜街道が、市街一の目抜き通りにあたります。しかし、他の県都と同じものを想像してはいけません。箱型をした鉄筋コンクリート二階建てまたは三階建てが、うらぶれたアーケードの両側に並んでいるだけのささやかさです。初めてそこを走ったとき、鳥取市街の成り立ちが何となく分かりました。戦後の大火で灰燼に帰した市街を再建するときに、ほぼ同じ高さの建物が表通りに並んで、その多くが今日まで生き永らえてきたのだろうと推察しました。今回新たに分かったのは、同様の形跡が周辺の通りにも現れていることです。街道に直交する形で、かつては賑わっただろう、しかし今ではすっかり寂れた商店街、というよりその跡とでも形容したい通りが何本か走っており、その多くが一直線なのです。たとえば京都の場合、地図の上では一直線のように見えても、実際に走ってみるとT字路が意外に多く、はるか彼方の人影まで見分けられる路地はそれほどありません。おそらくは、城下町特有の入り組んだ路地が、復興に合わせて区画整理された結果なのでしょう。鳥取の街並みの独特さが、さりげないところにも現れています。
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小春日和の山陰へ - 複々線

2019-12-14 09:31:50 | 近畿
大阪で早々と運転士が交代しました。引き続き東海道本線を下ります。
今回の乗車にあたって気付いたことがあります。京都から在来線を下るのが、今年最初で最後になるということです。これは、京都に泊まる機会が増えたことと関係しています。あちらに泊まる前提なら、繁華街が起終点となる阪急電車か京阪電車が圧倒的に便利です。その結果、使い勝手の悪い市バスと、いつも混み合う新快速の出番は激減したという事情があります。京阪神の複々線を経由するのも、今となっては「サンライズ」で上るときがせいぜいでしょうか。そしてこの傾向は当面続くと予想されます。日中に下る機会は滅多にないということです。それほど貴重な機会なら、特等席から存分に楽しめた方がよいに決まっています。首尾よく着席できたのは幸運だったと改めて思います。
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小春日和の山陰へ - スーパーはくと3号

2019-12-14 09:08:50 | 近畿
京都からは毎度おなじみ「スーパーはくと」で鳥取へ向かいます。展望席のある先頭車が自由席になっており、早い者勝ちで乗れてしまうのがこの列車最大の特典です。発車の20分前から乗車口に一番乗りして、今回も特等席を押さえることができました。しかし僅差の勝ちだったともいえます。大型の三脚を携えた同業者が数分後に現れたからです。これは取りも直さず、最前部の特等席を左右とも同業者で占めるということでもあります。何度も乗ってきましたが、こうなったのは意外にも初めてです。
仮に順位が前後しても、運転席の直後に着席できました。しかし、前方の眺めについては助手席の直後が明らかに上回ります。親子連れと重なったのであればともかく、同じ穴の狢ならば遠慮は無用です。迷うことなく助手席側に座りました。勝ったからこそよいものの、僅差で次点に甘んじることとなった相手の心中はいかばかりでしょうか。逆に自分がこうなっていたかもしれないと思うと、いささか複雑な心境です。

★京都850/スーパーはくと3(53D)/1157鳥取
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小春日和の山陰へ - 月夜

2019-12-14 06:30:16 | 関東
日の入りの時刻はようやく底を打ち、東京では先月末から昨日までの16時28分が年内の最速でした。これに対し、最も遅い日の出は年末から元日にかけての6時50分となります。今朝の日の出は6時42分、東京駅を出た時点では当然ながら真っ暗です。その空のほどよい高さに丸い月が浮かんでおり、あたかも月夜のようでした。
その月は今もなお西の空にとどまっています。東の空から昇る月を追いかけながらの帰り道は、何度も経験してきました。しかし、沈む月を追いかけながら下るのは初めてかもしれません。日の入りが一年中で最も遅い、今しか拝むことのできない車窓です。
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小春日和の山陰へ - のぞみ291号

2019-12-14 06:15:13 | 関東
混み合う始発列車を避け、直後に出る臨時列車で下るという、定跡通りの旅立ちとなりました。本日は新大阪行の291号としての運転です。
最寄駅から東京駅へ向かう電車が珍しいほど空いており、新幹線も楽勝かと思いきや、品川で窓際がほぼ埋まるそれなりの乗車率です。しかし、繁忙期に比べればどうということはありません。隣はもちろん空いています。仮にお客が来るとしても、名古屋と京都の間だけとなりそうです。

★東京606/のぞみ291(9291A)/819京都
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