日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

キャンプ総括 2019続編

2019-12-18 23:13:54 | 旅日記
今年泊まり歩いたキャンプ場とライダーハウスを振り返るこの話題、第二夜は北海道編の終盤以降を取り上げます。

・ライダーハウス旧萱野駅(北海道三笠市)
初めて旅した10月中旬の北海道の印象は鮮烈でした。たちまち傾いていく西日、十三夜を挟んだ月の満ち欠け、錦繍の山々、どれもが上旬までとは全く違う晩秋の季節感に充ち満ちていました。毎回世話になっている萱野駅のライダーハウスでも、やはり晩秋ならではと思える場面に出会いました。
ますます寒くなってきた状況から、今回ばかりは暖房が要りそうだと見込んでいました。暖房費を収めて拝借したのは、煙突つきの灯油ストーブです。着火と消火にそれぞれ数分かかる代物でしたが、小窓の向こうで揺れる炎には、電気仕掛けの暖房にない温かみがあるものです。その上にやかんを乗せて湯を沸かせば、現役当時の駅もかくやと想像させられました。寒さが緩んだ翌日、東の空から昇る月を眺めながら晩酌したのも忘れがたい出来事です。

・雨晴キャンプ場(富山県高岡市)
無料または格安で泊まれるキャンプ場の充実ぶりにおいて、北海道の右に出るものはありません。それどころか、これに迫る存在すらおよそ見当たらないのが実情です。しかし北陸の充実ぶりは特筆されます。自身愛用してきた北陸のキャンプ場といえば、旧北陸本線キャンプ場こと海浜公園キャンプ場、それに園家山キャンプ場ですが、それらに勝るとも劣らないキャンプ場に、今秋連泊することができました。最初に泊まったのは雨晴キャンプ場です。
その名の通り、立山連峰の眺望で名高い雨晴海岸にあるキャンプ場です。レンタカーで活動していた若かりし頃、一度とはいえ泊まったこともあります。宿泊費を浮かすために車中泊をすることも珍しくなかった頃です。ここについても、キャンプをしに来たというよりは、車中泊の延長線上のようなものでした。深夜に着いてテントを張り、翌朝早々に出発したというのがそのときの顛末です。それだけに、当時の記憶はあやふやで、今回が事実上の初見でした。
全国のどこへ行っても宿が混む11月の三連休、金沢、富山はもちろんのこと、高岡の宿でさえほぼ埋まっていました。それでも悠長に構えていたのは、無料で泊まれるキャンプ場の心当たりがあったからです。そしてそのいずれもが、居酒屋との両立という条件を兼ね備えた希有なキャンプ場でした。キャンプと居酒屋の両立といえば、園家山でも同様の経験をしたことがあります。ただし、駅まで30分近くもかかるあちらに対して、こちらはおよそ20分でした。しかも本数はそこそこあり、帰りの列車も11時近くまであるため、さほどの苦もなく両立できてしまうのが特徴です。富山湾に面した静かな入江の景観も、渺茫たる日本海が広がるだけの園家山に勝っています。
このキャンプ場が無料となれば、当然人も集まります。連休初日という事情を割り引いても、11月でこれかというほどの人出でした。とはいえ、少し離れた松林に設営でき、ソロキャンプならどうにかなるということも分かりました。翌朝眺めた立山連峰も印象に残っています。園家山と比べても甲乙つけがたいキャンプ場です。

・袖ヶ浜キャンプ場(石川県輪島市)
連休初日は雨晴でキャンプを張りました。ただし元々行こうとしていたのは能登でした。輪島にも無料のキャンプ場があり、なおかつそこから市街まで歩けることが分かっていました。そのキャンプ場に連泊すれば、半島の先端まで無理なく行って戻れるという寸法です。しかるに足踏みした結果、初日は雨晴でキャンプを張り、翌日一版だけ世話になるという顛末です。
期待を大きく上回った雨晴のキャンプ場に対して、こちらでは中途半端に終わりました。理由は偏に天候です。キャンプ場へ向かうに先立ち、一風呂浴びて上がったところ、東の空が一瞬光り、その時点で不穏な空気が漂いました。その予感は見事に的中し、キャンプ場へ着くや否や雨粒が落ちてきました。雨だけならまだしも雷まで鳴り出しては敵いません。場合によっては車中泊にする前提で、設営を後回しにして呑み屋へ向かいましが、この判断は正解でした。やがては傘を差してもずぶ濡れになるほどの土砂降りに変わったからです。
予報の上では降るとしても一瞬、それも小雨だろうとのことでした。しかし、キャンプ場へ戻る頃には止まないかという期待も空しく、その後も断続的に降りました。加えて海の方からは不穏な風まで吹く始末。いずれまた急変しないかと気を揉みながらでは安眠できません。雷雨に怯えて車中に逃げ込むという結果は、四年前の増毛の再現と相成りました。そのようなわけで、キャンプとしては実質的に成り立ちませんでしたが、適度な広さの入江にあるささやかなキャンプ場の雰囲気と、居酒屋との両立を可能にしてくれる利便性は期待通りでした。

以上が今年の記録です。キャンプ自体は形骸同然だったものの、何だかんだで色々あったと今振り返れば思います。
正月は例年通り四国への遠征に出る予定です。その都度企てながら果たせていないことの一つに、来島海峡でのキャンプの再現があります。長距離フェリーを含む大小様々な船舶が、瀬戸内海の難所に挑む様子を目の当たりにしながらの晩酌は最高でした。あれほどの暖冬は後にも先にもその年だけで、再現できないのもそのために他なりません。しかし、今日と同程度の陽気ならキャンプも十分成り立ちます。隙あらばと密かに窺っている次第です。
コメント