日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

二年ぶりの復活

2019-12-25 21:47:58 | 居酒屋
暮れの恒例行事が二年ぶりの復活です。職場を少し早めに引けて、板橋のBETTAKOにやってきました。
焼酎ブーム華やかなりし一昔と少し前、仲間内で愛用していた店の一つです。居酒屋で呑むという習慣が確立する以前から世話になってきた、自身にとって原点といえる場所の一つでもあります。独酌が主体となった後もなお、年末に挨拶がてら訪ねるのを恒例としてきました。先代から受け継がれてきた池袋の店が閉じられたことにより、その習慣も一昨年をもってひとまず幕を下ろしたわけなのですが、店は屋号もそのままに一駅隣の板橋で盛業中です。去年は暮れに訪ねる機会を逃したため、今年こそはと考えていたのでした。
先日「三枡」を訪ねたとき、初めて訪ねた頃からの移り変わりについて語りましたが、それ以上に様変わりしたのがこの店です。串焼き、もつ鍋など焼酎酒場らしい品々が中心だった往年に対して、近年の主役はむしろ魚、特に刺身であり、しかも年々その傾向は強まってきました。しかもただ切って出すだけでなく、一仕事加えたものが多くを占めるところに特徴があります。物珍しさに釣られて注文した首折れ鯖の昆布漬けは、文字通り昆布出汁に漬けたものだというのが店主による説明です。白身と違い、青魚は昆布〆に向かないと小耳に挟んだことがあります。さりとて〆鯖では月並みに過ぎることから、出汁に漬けるという着想に至ったのでしょうか。焼酎については昔から一家言ある店主でしたが、肴についても独自の世界が確立されつつあるようです。
そのようなわけで、店も変われば品書きも変わり、客観的には全く違う店になったといっても過言ではありません。しかし暖簾をくぐるや否や、女将からは年末ですねと第一声が。この時期に決まって訪ねることを覚えていた上での一言でしょう。新天地に移ってからはたかが二度目の分際にもかかわらず、なじみの店に戻ってきたかのような感慨が押し寄せてきました。やはり、場所は変われど原点は原点です。生活圏外の板橋へ、そう滅多に通えるわけでないものの、年の瀬の挨拶だけは続けたいものだと思います。

BETTAKO
東京都北区滝野川6-84-10
03-5394-8033
1700PM-2300PM
月曜定休(祝日の場合営業し翌日休業)

白金乃露・さつまおはら・鶴見・親父のこごと
首折れ鯖の昆布漬け
店主謹製もつ煮込
荒ごしあん肝のひと品
ホタルイカの松前漬け
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