日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

冬枯れの京都を行く 2019 - 小鍋屋いさきち

2019-12-04 23:09:20 | 居酒屋
宿から南へまっすぐ下り、二条通りに突き当たったところにあるのが「きのした」です。そこから東へ歩いて行き、鴨川を渡ったところに「赤垣屋」があります。そのような位置関係から、これらの二軒をはしごするのがよくある流れで、今夜もそうするつもりでした。しかし、一軒目の滞在時間が延びたことで、残念ながら「赤垣屋」の看板には間に合わなくなりました。代わりにどこへ行くか思案の末、やってきたのは祇園です。「小鍋屋いさきち」を再訪します。
この時間から呑み直すということになると、事実上祇園か木屋町の二者択一でした。その中から祇園を選んだのは、お昼にラーメンをはしごしたことと関係しています。木屋町で呑んだとすると、必然的に「大豊ラーメン」で締めくくる流れとなりますが、ラーメンはもういいという気分でした。そこで祇園に河岸を替え、余力があれば「おかる」のカレーうどんをいただこうと思い立った次第です。
それに加えてもう一つの理由がありました。教祖が推すこの店を、四年前に一度だけ訪ねたことがあります。やはり初冬の今頃でした。しかし、はしご酒の四軒目に余勢を駆って飛び込んだため、酔いが相当回っており、本当のよさを理解するには程遠い状態だったのです。あれ以来、中途半端な状態で訪ねたことに対する申し訳なさが片隅に残っていました。小鍋で温まりたくなる寒い夜、あのときの借りを返すにはよい機会と思い立ち、暖簾をくぐったという事情があります。
教祖も評している通り、一人でカウンターに立つ店主に愛想はありません。しかし、一見すると無愛想でも、的確に目を配っています。なじみのあるところでいうなら、「ぬる燗」の店主を彷彿させるとでも申しましょうか。店主が一人で仕切るにもかかわらず、目移りするほど品が豊富なところもあちらと同様です。具材、調理の違いにより何種も揃う出汁巻は、小鍋と並ぶ店主の十八番なのでしょうか。その中から選んだ出汁巻あんかけは、呑んだ後でもいただけそうな、優しい味わいの逸品でした。小料理屋とでも形容したい雰囲気と品書きには、木屋町とも一味違う、祇園の店ならではの趣があります。それをようやく実感できたという点で、再訪した甲斐はあったといえそうです。

小鍋屋いさきち
京都市東山区祇園花見小路新橋西入巽小路上ル
075-531-8803
1800PM-230AM(LO)
日祝日定休

酒二合
突き出し(鰤ととろろの和え物)
だし巻あんかけ
九条ねぎととり
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冬枯れの京都を行く 2019 - きのした

2019-12-04 21:10:56 | 居酒屋
去年に比べわずかに減りはしたものの、今年も五度にわたって京都を訪ねることができました。しかし、年内はおそらくこれが最後です。慣れたところで締めくくろうと思っていました。宿から一本道を下り、まず訪ねたのは「きのした」です。
今年は店主の療養による長期休業という開店以来の危機がありました。自分が知る限り三代目の助手が去って以来後釜も決まらず、最近は店主一人での営業です。来たるべき10周年を目前にして、苦境に陥ったかのようではありますが、ご本人はむしろ意気軒昂なのかもしれません。そのように思うのは、店のfacebookが毎営業日更新されるようになったからでもあります。しかもその投稿が秀作です。一押しの品を選んで写真とともに紹介するという、一見ありがちな内容ではありますが、その品に込められた仕事を、過不足のない字数で解説しているところに特徴があります。おおよその調理法だけでなく、その調理法を採ることによる効果が明快に述べられており、料理人としての見識の深さが窺われるという仕掛けです。これ以上長ければ、当代全盛を極めるスマートフォンでは見にくくなり、毎日更新し続けるのも一苦労です。さりとて短ければ、いわゆる「インスタ映え」するだけの月並みな投稿にしかなりません。試行錯誤を重ねた末、今の形に落ち着いたのでしょう。
この試みが奏功したか、今夜は非常に忙しそうです。二つあるテーブル席こそ空いているものの、七席あるカウンターには三組五人の先客がおり、間にある二席分が残っているだけでした。個室でも宴会が催されているようです。それぞれからの注文を店主一人で捌く以上、必然的に時間が要ります。それでいながら間延びしたように感じないのは、入っている注文がいくつあり、今どの品を調理していて、各人の注文が何番目になるのかをそれとなしに伝えることで、どれだけかかるかおおよその見当がつくという効果によるところが大きそうです。腕はもちろん、客あしらいも冴えています。渾身の仕事ぶりは一見の価値があるものでした。
一時は長期療養していたにもかかわらず、これほど根を詰めて大丈夫なのかという老婆心が頭をもたげてくるところではありますが、ともかく繁盛していそうなのはよいことです。次までは多少の間が開くと予想されます。近年の通例に従えば来年の梅雨時になるでしょうか。店が10周年を迎えた直後です。次なる十年、いかなる進化を遂げるのかも楽しみにしておきましょう。

旬味きのした
京都市中京区二条通寺町東入ル榎木町92-7 佐野ビル1F
075-213-2929
1730PM-2200PM(LO)
火曜定休

鹿鳴・遊穂
突き出し二品(おひたし・胡麻豆腐)
煮込風鴨ロース
ぶり大根炊き合わせ
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冬枯れの京都を行く 2019 - 投宿

2019-12-04 20:47:50 | 近畿
下鴨本通をそのまま下れば河原町通につながります。投宿し、部屋に入って一息ついたところです。
先日訪ねた清水では、一日中飲まず食わずだったにもかかわらず、一軒目で軽く飲み食いしだだけでほぼ満腹となってしまい、二軒目ではいまだかつてないほど苦戦しました。ここまで食が細ったかと、その日は愕然としたものです。しかし、あれは当日の調子によるところも少なからずあったようです。昼にラーメンを二杯、実質三玉いただいて、用務先でも軽食のご相伴に与ったにもかかわらず、今のところ腹具合には余裕があります。清水では時間より先に体力が尽きてしまいましたが、今夜はそれなりに戦えそうです。
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冬枯れの京都を行く 2019 - 栄盛湯

2019-12-04 19:57:43 | 温泉
図らずも、店を出るや再び晴れ出すという場面が繰り返されました。またもや真如堂に戻り、持ち時間を使い切るまで粘った後、野暮用を片付けて一安心。投宿の前に一風呂浴びていきます。
野暮用が終わり次第、銭湯に寄っていくこと自体は既定方針でした。問題はどこの銭湯へ行くかです。宿の近くには桜湯という年代物の銭湯があります。用務先からの経路上にあるという点でもお誂え向きです。その一方で、この手の古い銭湯が、京都にはいくつかあるということも分かってきました。手近なところにあるならば、そちらに寄っていくのも一興です。そのつもりで調べたところ、下鴨にもただならぬ構えの銭湯があるようでした。宿から行くにはやや遠いものの、用務先から向かうならどうということはない距離です。今しかできない方を選ぶという基準に照らし、情報を頼りに自転車を走らせました。下鴨本通を北上して北大路に至る手前、右に折れて路地に入ると現れたのが「栄盛湯」です。
まず思ったのは「またか」ということです。木造二階建ての一階部分を高く造り、明かり取りの小窓を連続させることにより、遠目には三階建てに見えるという仕掛けが柳湯と桜湯に共通します。おそらくこれが、ある時代の京都で流行った銭湯建築の典型なのでしょう。しかし、典型の一言では片付けられない個性をもこの銭湯は持っています。具体的には前庭です。まず、立派な門柱にしなだれかかるような松の木が、ただならぬ存在感を放っています。唐草模様をあしらった鉄製の門のをくぐり、さらに進むと二度驚きました。通路の両脇に欄干が建っており、その両側で立派な鯉が泳いでいたのです。石燈籠と灌木も配置され、全体が庭園のように見えるという仕掛けでした。当時としても斬新な造りだったのではないでしょうか。この手の銭湯が次から次へ出てくるとは恐るべしです。わざわざ走ってきた甲斐はありました。

★栄盛湯
京都市左京区下鴨膳部1
075-781-0744
1500PM-2300PM
月曜定休
入浴料450円
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冬枯れの京都を行く 2019 - あかつき

2019-12-04 13:52:45 | B級グルメ
ラーメン屋をはしごするのは久々のような気がします。しばしの間合いを経て初見の店へ飛び込みました。
「ますたに」に寄った時点では、一軒限りにするつもりでおり、大にしたのもそのためです。しかし、その後再び日が陰り、野暮用の時刻まで間が空きました。昼から入れる銭湯がないだろうかと探したものの、軒並み三時以降では間に合いません。思ったよりも腹具合に余裕が残ったこともあり、かねがね気になっていた「あかつき」を、試しに訪ねてみようと思い立った次第です。
白川通りに面した店舗は「ますたに」より一回り小さく、厨房に接したL字のカウンター八席分と、通りに面した窓際のカウンターが四席分という構成。機能的な厨房を、店長と助手のお姉さんが二人で仕切ります。ラーメンと100円違いの値段につられ、二軒目という条件も顧みず注文したのはチャーシューメン750円也。龍を描いた小さめの丼に濁った醤油スープを満たし、縮れのない細麺、薄切りのチャーシュー、メンマと九条葱を組み合わせた出で立ちは、「ますたに」にも通ずる京都の正統派です。ただし背脂は浮いておらず、麺も若干黄色を帯びるという違いがあります。野菜に由来するだろうまったりした風味のスープは、「天下一品」との共通性をも感じさせる独特の味わいです。伝統を受け継ぎつつも独自の味へと昇華されているところに、店の実力が感じられます。
もう一つ特筆すべきは値段が総じて良心的なことです。ラーメン一杯で800円を超す店も珍しくなくなった中、ラーメンが650円、チャーシューメンが750円で、1.5玉が50円増、2玉でも100円増という気前のよさには恐れ入ります。それらとともに目に留まったのは定食でした。唐揚げ三個とご飯がついて900円ということは、実質250円増でいただけるということですが、先客に出された唐揚げの大きさを考えればお値打ち品です。いかんせんラーメンをもう一杯すするのが限界で、昼時は無料というご飯も辞退せざるを得なかったものの、いずれは腹を十分空かせ、あの唐揚げをいただくべく再訪する必要がありそうです。

ラーメンあかつき
京都市左京区北白川別当町13
075-702-8070
1130AM-245AM(LO)
不定休
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冬枯れの京都を行く 2019 - 三重塔

2019-12-04 12:48:11 | 近畿
ありがたいことに、店を出た頃から再び日が射してきました。真如堂に舞い戻り、もう一周したところで再び日が陰るという経過です。短い晴れ間だったとはいえ、先程日が陰ってしまった三重塔の周辺で、これはという画を切り取ることができました。一貫して晴れているわけではないにもかかわらず、要所で晴れるという点で、本日の天候は絶妙です。
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冬枯れの京都を行く 2019 - ますたに

2019-12-04 11:57:20 | B級グルメ
京都に着いた時点の予報では、11時頃から曇るとされていました。その予報はおおむね的中し、11時半が迫ったところで上空が雲に覆われました。しかし、むしろこれで丁度よかったともいえます。混み出す前に早めのお昼をいただけるからです。現在地との関係上、選択肢は中華そばに自ずと絞られました。久々に「ますたに」を訪ねます。
「新福菜館」の営業時間が短縮されてからというもの、駅前にある双璧の敷居が上がってしまいました。両方開いている状況ならともかく、一方だけでは必然的に混むからです。平日に訪ねる機会が久々に巡ってきたかと思いきや、よくよく考えると「新福菜館」が定休の水曜でした。「第一旭」の一軒だけでは、朝から行列必至です。素通りしてきたことにより、ここまでお預けとなっていたのでした。
今回は久々に大を注文してみました。10時の開店と同時に入れれば、腹ごなしを経てもう一軒はしごするにもやぶさかではなかったのです。しかし、この時間まで延びてしまうと、野暮用の時間まで三時間弱しか残りません。ならば「ますたに」一軒に絞り、代わりに大をいただこうという寸法です。
100円の価格差以上に多いというのが、一度だけいただいたときの印象でした。その記憶に狂いはなかったものの、改めて気付いたこともあります。丼の大きさ自体にそれほど違いはないことです。直径が一回りか二回り大きくなる一方で、高さはおおむね同じに見えます。これは、並に比べて麺がぎっしり詰まっているということでもあります。価格差以上、見た目以上の物量感ある一杯でした。

ますたに
京都市左京区北白川久保田町26
075-781-5762
1000AM-1900PM(日祝日 -1800PM)売切御免
月曜及び第三火曜休業
チャーシュー麺大900円
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冬枯れの京都を行く 2019 - 真如堂

2019-12-04 11:02:08 | 近畿
続いてはお隣の真如堂を訪ねます。去年とほぼ同じ眺めだと申しましたが、前言を撤回する必要がありそうです。参道の手前にある、境内でもとりわけ遅く紅葉する楓がまだ鮮やかに色づいており、その先に並んだ木々にもまだ多少の紅葉が残っています。去年こちらを訪ねたときは、手前の楓もすっかり嗄れた後でした。あれを思えば健闘している部類といってよいでしょう。紅葉狩りに関していえば、今の時点で去年の成果を早くも上回ったと言い切れます。
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冬枯れの京都を行く 2019 - 金戒光明寺

2019-12-04 10:34:36 | 近畿
野暮用を控えている関係上、そう遠くへは行けません。今日のところはなじみの場所を回れれば十分と思っていました。続いて訪ねるのは金戒光明寺です。
頂明寺を訪ねたとき、去年と比べても大差はないことに気付きました。銀杏がほとんど散っており、大量の落葉が積もっていたからです。その状況からおよそ想定した通りではありますが、こちらの楓も盛りは過ぎたように見えます。しかし歴然として違うのは天候です。晴れるかどうかが何とも微妙な状況の中、先週末に引き続きよい方向に振れてくれたのは助かります。
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冬枯れの京都を行く 2019 - 頂妙寺

2019-12-04 09:58:02 | 近畿
本日は第二の定宿京都モーリスホステルを押さえました。ホテル杉長と比べるまでもなくです。これは、今回の行程を考えたとき、無料の貸自転車の効用が非常に大きいからでもあります。不要な荷物を預けておき、自転車で手近な場所を回りつつ、そのまま用務先へ向かおうという算段です。只今頂妙寺を訪ねています。
都内では雲一つなかった青空に、名古屋が近付く頃から雲が出始めて、京都までほぼ同じ空模様が続きました。最新の予報を見ても、まあこんなものかと思えるような天候でした。しかしありがたいことに、こちらを待っていたかのごとく、空が再び晴れてきました。去年と同様大分散ってはいるものの、本堂の前に二本並んだ銀杏の彩りが鮮やかです。盛りこそ過ぎたとはいえ、これなら紅葉も絵になるでしょう。しかし明日がどうなるかは何ともいえません。今のうちに動けるだけ動きます。
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冬枯れの京都を行く 2019 - のぞみ293号

2019-12-04 06:30:00 | 関東
始発の直後に出る臨時列車が、今日は設定されませんでした。直後の博多行も見送り、4分後に出る臨時列車で下るという流れは先々週と同様です。本日は新大阪行の293号としての運行です。
12月の平日という条件からしても、臨時列車の設定状況からしても、それほど混まないだろうとは思っていました。実態はその予想をも上回りました。品川を出た時点でも、乗車した2号車には片手にやや余る程度のお客がいるにすぎません。これなら新横浜で乗るとしてもたかが知れています。少なくとも名古屋まで隣が埋まることはないでしょう。

★東京620/のぞみ293(9293A)/838京都
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