日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

小春日和の瀬戸内へ 2019 - おはし

2019-12-20 21:50:06 | 居酒屋
「分家無邪気」でのひとときは上々でした。しかし、全てが思い通りにいくわけでもありません。次いで訪ねた「菜々かまど」にはあえなく振られてしまいました。カウンターは空いているにもかかわらず断られるという、当店においてはありがちな結果でした。おそらく二階の座敷にいる宴会客の注文が立て込み、店主自ら捌き切れる限界だったのでしょう。とはいえ一応想定内の結果でもあります。そうなったとき、代わりに行こうと思っていた一軒へ飛び込みました。「おはし」の暖簾をくぐります。
去年右往左往した末に飛び込んだのが、七年前に一度だけ訪ねたこの店です。印象は決して悪くなかったにもかかわらず、素通りを長らく続けてしまったのは、鹿児島に泊まる機会も年に一度か二度がせいぜいということになると、どうしても贔屓の店に寄ってしまい、他の店にまで手が回らなかったという事情によります。しかしその贔屓の店が徐々に姿を消していき、残った店にも立て続けに振られるという事態に至り、この店の存在が俄に浮上したのでした。そしてその結果は上々でした。地元客御用達の雰囲気も、店主と若主人による実直な仕事ぶりも好ましく、長年の食わず嫌いを思わず後悔させられたという顛末です。
その美点は今回も何一つ変わることなく保たれていました。華やかさこそ有名店に譲るものの、飾り気のなさがむしろ尊いもののように感じられます。いぶし銀と形容したい名店です。

おはし
鹿児島市山之口町10-23
099-224-4676
日祝日定休

小鶴くろ
突き出し(しゅんかん)
ミニ盛り合せ
メヒカリ唐揚げ
いわしつみれ汁
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - 分家無邪気

2019-12-20 20:15:56 | 居酒屋
12月下旬の金曜日という条件は、図らずも去年と同じになりました。忘年会の最盛期です。あの晩は「菜々かまど」にも「分家無邪気」にもあえなく振られ、あまつさえ天文館の中心部が根こそぎ地上げされているという、あるまじき現実を目の当たりにさせられました。今夜も難航しそうなのは想像がつきます。何はともあれ一軒目に滑り込むのが当面の課題です。風呂には入らずそのまま宿を出てきました。しかし、身構えた割には拍子抜けさせられました。最初に訪ねた「分家無邪気」にあっさり入れてしまったからです。
去年はまず金曜の晩に訪ね、満席で振られるという初めての経験をしました。再挑戦すべく訪ねた二日後も、開店とほぼ同時に乗り込んだにもかかわらず、先客と予約であらかた埋まっており、角の半端な席に甘んじるという結果でした。一昨年は前夜の飲み過ぎが祟って万全な状態ではなく、そのもTVの音が気になったと当時の記録に綴られています。さらにその前年も、大型連休という条件が災いし、同じく角の半端な席に甘んじました。その前が、今はなき「ぶんご」の後の二軒目だったため、よくよく考えると直近の五年続けて何らかの妥協が要る状況だったことになります。しかし今夜は久々に会心の出来でした。
通されたのはカウンターの右奥、直前に入ったらしき一人客の隣です。この位置で、背後から聞こえてくるTVの音が気になったという経験をしたこともあります。しかしあれはたまたまだったらしく、今夜はそれほど気になる音量でもありません。右隣にいた二人組はすぐに出て、しばらくしてから御常連らしき一人客が入りました。直交するもう一本のカウンターにも御常連らしき方々が並んでおり、一見客ばかりだった前回とは全く異なる顔触れです。これが当店本来の姿なのでしょう。しかし、久々に心置きなく呑める条件が重なったにもかかわらず、日程の短縮により一泊限りとなってしまった事情がそれを許しません。今回も串焼き、おでんと鶏刺しを肴に焼酎を空け、余力を残して席を立つという結果です。
もう一泊できる状況なら、今夜はここでとことんやるという選択もできたでしょう。あるいは翌日再訪し、一晩目とは違う品を試してみるのも一興でした。実際それができたというと、瓢箪から駒で五連泊した七年前です。天文館で毎晩呑み歩いた日々は最高だったと、今振り返っても思います。あの夢よもう一度と思わせる出来事でした。

分家無邪気
鹿児島市東千石町11-4
099-222-4976
1700PM-2300PM(LO)
第二・第四月曜定休

不二才・アサヒ・三岳
突き出し(温奴)
おでん三品
串焼き二品
地鶏盛合わせ
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - 投宿

2019-12-20 19:49:50 | 九州
早朝の出発以来ほぼ休みなく列車を乗り継ぎ、13時間近くをかけて鹿児島に着きました。新幹線なら一時間で済む広島から博多の間に六時間もかけたのが大きかったとはいえ、余計にかかった分を引いても八時間です。沖縄への行きがけに寄った先月も、広島での滞在を含め九時間近くかかっています。鹿児島は遠いと実感させられる結果です。投宿し、これでようやく一息つけます。
大半の時間を車内で過ごしたため、出がけを除き上着を羽織りませんでした。広島で降りたときから合羽は畳んだままです。小倉駅のホームでは若干肌寒かったものの、鹿児島まで下ってくれば気候がまるで違います。引き続き上着は必要なさそうです。長袖シャツ一枚の軽装で天文館に繰り出します。
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - さくら415号

2019-12-20 17:30:07 | 九州
博多でも一瞬だけ外の空気を吸いました。新幹線に乗り継いで鹿児島へ向かいます。
鹿児島まで行く列車は頻発していても、800系を狙うとなると選択肢は絞られます。最も多く乗ってきたのが、五時過ぎに出るこの列車かもしれません。しかし、この列車には混みやすいという難点があります。しかもたちが悪いのは、終点が近付いてもなかなか空いてこないことです。全区間にわたって帰宅時間に重なるからでしょう。「ソニック」が珍しく混んでいたことからしても、この列車ならなおさらだろうと覚悟しました。それでもあえて強行したのは、一本前後したところで五十歩百歩と思われたのに加え、800系に乗車できる貴重な機会をむざむざ見過ごし難かったからに他なりません。暮れなずむ西の空を眺めつつ下ります。

★博多1718/さくら415(5415A)/1854鹿児島中央
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - ソニック38号

2019-12-20 16:38:13 | 九州
一瞬だけ外の空気を吸ってから戻りました。後続の「ソニック」で博多へ向かいます。
発車の10分前の時点で、乗車口の先客は片手で数えるほとでした。ところがいざ乗ってみて面食らいました。大分方面から乗ってきた先客でほぼ埋まっており、窓側には着席できなかったからです。幸運にも、黒崎で隣の席が空いたため窓際に移れたものの、折尾では再び隣が埋まりました。同じ区間を同じ時間帯に乗ったことは何度かあります。しかし、これほど混む列車だったという記憶はありません。暮れもいよいよ押し詰まり、旅行者が少なくなった一方で、用務客が相当増えたということでしょうか。年の瀬の慌ただしさを実感する一幕です。

★小倉1605/ソニック38(3038M)/1647博多
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - かしわうどん

2019-12-20 15:57:36 | B級グルメ
下関から乗った列車を小倉で降りると、同じホームの向かい側から博多へ向かう「ソニック」にほどよい間合いで乗り継げるところでした。それをむざむざ見送ったのは、三時のおやつにかしわうどんをいただきたかったからに他なりません。先日清水を訪ねたときに思ったのですが、なまじ一食抜いてしまうと胃の働きが鈍くなり、次に何かをいただいたとき、すぐ満腹になるような気がします。広島で一杯やってから時間が経ちました。ここで小腹を満たしておけば、鹿児島に着く頃には絶妙な腹具合になっているだろうという寸法です。
四本ある在来線のホームのうち、北九州駅弁当が運営するのは両脇の二本にある店舗です。大分行の特急が発着する第四ホームの店舗には三月に寄ったため、今回は本屋に近い第一ホームの店舗にしました。近年の改装により巨大な電光看板が掲げられたり、食券制に変わったりしたあちらのホームの店舗に対して、普通列車しか発着しないこちらの店舗は手狭です。しかしこれは雰囲気で上回るということでもあります。小春日和もいつしか曇り、時期相応に薄ら寒くなってきました。北へ向かって構内を見渡す位置に陣取れば、折しもその方角から風が吹き、立ち上る湯気の暖かさが伝わってきます。一本やり過ごしてでも訪ねた甲斐はありました。

★北九州駅弁当
小倉駅1-2番ホーム
700AM-2150PM(LO)
かしわうどん390円
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - 関門トンネル

2019-12-20 15:16:13 | 中国
三時間半の旅を終え、本州最西端の下関に到着。余韻に浸る間もないまま、向かいに待機していた列車に乗り込みました。関門トンネルで九州へ渡ります。
種車に由来する空気バネ台車の恩恵により、すこぶる快適な乗り心地だったのに加えて、徳山と新山口での停車時間もよい息抜きとなりました。新車の増備が着々と進む中、こちらの115系にもあと何度乗れるか分からなくなってきましたが、今年も最後に乗車の機会を作れたのは幸いです。復路も最長で下関から新山口までの乗車を予定しています。明後日にまたお会いしましょう…

★下関1515/5173M/1528小倉
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - 山陽本線

2019-12-20 11:51:03 | 中国
広島から岩国までは単なる移動に過ぎませんでした。ここから先が天文館と並ぶ本日の主題の一つです。普通列車で下関へ下ります。117系の流れを汲む、3500番台を組み込んだ編成による運用です。
全国のどこへ行っても、普通列車が短編成かつ短区間に分断されていく中、近年まで健在ぶりを示していたのが岡山以西の山陽本線です。長距離の直通列車が何本も下っていく沿線には、大幹線の面影が色濃く感じられました。しかし、あれも今振り返れば時間の問題でしかなかったようです。新車への置き換えを前に糸崎と岩国で系統が分断され、わずかに残った直通の運用も今春の改正でなくなりました。しかも、岩国まで行ったとしても全ての列車が下関まで直通するわけではありません。輸送力を半減させた二両編成の代物も混じります。岩国から下関まで、四両編成が明るいうちに走りきるという条件まで加えると、正午前に出るこの列車が事実上の最後でした。後ろ髪を引かれつつ、広島を足早に出てきたのもそのために他なりません。
数年前なら来た列車にそのまま乗ればよかったのです。それがこうなってしまったのは、取りも直さず運用が縮小されてきたということでもあります。出発前に調べてみて驚いたのは、1000番台、2000番台の編成があらかた廃車され、四連の編成は3000番台と3500番台にほぼ集約されつつあるという事実でした。乗車の都度異なる番台の編成が来たのも、今は昔ということです。新潟に続き、下関の115系にもいよいよ終焉の時が迫ってきました。実質一年ぶりに巡ってきた乗車の機会が、道中唯一となるだろう好天に重なったのは、結果として幸運だったのかもしれません。

★岩国1144/3331M/1514下関
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - 想定内

2019-12-20 11:12:57 | 中国
想定内ではありましたが、一杯やるのが限界でした。店を出た時点で発車の10分前でした。なおも欲張り駅前の酒屋に寄ろうとするも、よりによって先客がクレジットカードを使いだす始末。待っていては間に合わないと判断し、手に取った酒を冷蔵庫に戻して、そのまま駅へ向かうという顛末です。再び西へ下ります。
昨年は数少ない115系の運用に重なるという僥倖に恵まれましたが、今春の改正後はそれもなくなり、岩国までは窓と座席の配置すら合っていない代物での移動となります。あまつさえ、発車間際に駆け込んだため、当然ながら席にあぶれてしまいました。しかし、短編成のワンマンカーに詰め込まれる北陸よりはるかにましです。先へ行くほど空いていき、廿日市で空いた席に収まるという顛末です。

★広島1051/2633M/1143岩国
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - 源蔵本店

2019-12-20 10:00:47 | 居酒屋
新幹線から降り次第、脇目も振らずに酒場を目指すという場面が、福山以来五日ぶりに繰り返されました。「源蔵本店」の暖簾をくぐります。
あのとき訪ねた「自由軒」は大盛況でしたが、平日の10時から呑む物好きはさすがにいないということか、こちらは先客皆無です。接客のお姉さんからはおはようございますとの第一声が。こちらも一言挨拶して、玄関の左脇にあるテーブルにつきました。
駅前から歩けば五分弱の見当ではありますが、新幹線の先頭車から降りて歩くと、何だかんだで10分かかってしまいました。帰りもおおむね同じだけ見ておくということになると、実質的な持ち時間は長くとも40分です。軽く一杯やるだけなら、それでも十分かと思いきや、意外にそうでもありません。席に着くなり飲み切りボトルを注文し、冷蔵庫から刺身を選び、頃合いを見計らって天ぷらを注文すると、出てきた時点で20分が経っていました。それだけで切り上げるのも惜しまれて、豆腐の煮付けを追加するも、それが出るまでなお10分が経過して、次第に時計が気になってきました。結果としては、天ぷらまでにした方が、時間的には余裕を持てたのかもしれません。
そのようなわけで、予想通り慌ただしくなってしまいました。しかし、元々は年内に一度限りで終わりかねなかったところです。全くないのと一度でもあるのとでは大違いですが、一度と二度の違いもそれに匹敵します。駆け足とはいえ再訪の機会を作れたのは収穫といってよいでしょう。始発列車で出てきた甲斐はあったというのが実感です。

源蔵本店
広島市南区猿猴橋町5-18
082-263-3855
平日 930AM-2100PM(LO)
日祝日 930AM-1630PM(LO)
月曜定休

醉心
シマアジ
小いわし天ぷら
豆腐煮付け
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - 羊頭狗肉

2019-12-20 07:44:24 | 東海
僥倖です。名古屋で大量に下車する一方、拍子抜けする程度の数しか乗って来ず、隣の席も空きました。ますます混む可能性しか想定していなかっただけに、逆に空くとはありがたい限りです。
ところで、賢明な読者の方は表題に違和感を持たれたかもしれません。九州へ行くにもかかわらず、前座に過ぎない瀬戸内の文字があるからです。いわば羊頭狗肉の表題となったのは、道中の天候に由来します。最新の予報を見ても、小春日和になりそうなのは広島から瀬戸内を下っていく今日しかありません。広島に寄る時間を作るべく、あえて混み合う始発列車を選んだことと同様に、日程の短縮という事情から捻り出された苦肉の策というわけです。
結果として、予定通りに出られていれば願ったり叶ったりだったことになります。道中唯一の好天が、鹿児島に終日滞在するはずだった今日と重なるところだったからです。そう思うと俄に敗北感が募ってくるのは人情というものでしょう。後々この表題がついた記事を振り返れば、出発にあたっての一悶着を否応なしに思い出すことになります。ただし、それが苦々しい出来事の一つとして蘇るか、塞翁が馬だったと感じられるかはこの先の道中次第です。少しでもよい旅になってくれるよう願います。
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小春日和の瀬戸内へ 2019 - のぞみ1号

2019-12-20 06:16:23 | 関東
先日京都から帰るとき、久々に最終列車となりましたが、始発列車はそれ以上に久々です。「のぞみ1号」で西日本へ下ります。
500系で運用されていた当時は、いささかの迷いもなくこの列車に乗っていたものです。しかし、無味乾燥なN700系に統一され、チャイム以外に差がなくなると、西日本所属車を選んで乗る理由がほとんど失われました。そうなると重視すべきは快適さ、具体的には乗車率です。後続の臨時列車が格段に空いているという事実に気付いてからというもの、東海道新幹線で始発列車に乗る機会はなくなって現在に至ります。しかるに今回、混むと分かって強行したのは、切り詰められた日程を少しでも取り返したいという目的があったからに他なりません。
元々の予定では、一昨日出発して広島に泊まり、昨日は山陽本線を下っていくつもりでした。しかるに前日までの二日が切り詰められたことにより、広島に泊まる機会は失われ、今日は昨日の行程を後追いする形となります。鹿児島に終日滞在できたはずの一日を省略し、熊本でようやく元の日程に追いつくという寸法です。しかしこのまま終わったとすれば、広島に滞在したのは沖縄への行きがけの二時間ほどが最初で最後ということになります。それではいかにもお粗末です。どうにか挽回できないかと考えて浮かんだのが、始発列車で出るという苦肉の策でした。
この列車で下ると広島には10時前に着きます。そうすると、乗り継ぐ予定の下り列車が出る時刻まで、一時間ほどが捻出されるという計算です。駅から行き来する時間を差し引いても、「源蔵」で軽く一杯やることはできるかもしれません。ならば背に腹は代えられないと判断した次第です。
久々の乗車だけに、どれだけ混むか未知数な面もありました。結果は覚悟していた以上、ただし耐えうる範囲内だったとでもいえばよいでしょうか。発車の10分少々前に乗り込むと、2号車が既に通路側まで埋まっているのに面食らいました。もはや二列席、三列席などといっていられる場合ではありません。しかし幸い、1号車の前寄りの二列席に空席が残っており、そこへどうにか滑り込むという結果です。当然ながら発車までには通路側もほぼ埋まり、新横浜を出た時点では三列席の中央がいくつか空いている程度にすぎません。しかし、通路にまで立ち客が出る場面もしばしばあることを考えると、この程度ならまだましです。とりあえず新大阪までは仕方がないと割り切ります。その先で多少なりとも空いてくれればといったところでしょう。

★東京600/のぞみ1(1A)/949広島
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