日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

冬枯れの京都を行く - 損得勘定

2015-12-13 23:28:04 | 近畿
滞在時間を余すことなく使い切り、最終の急行列車で京都方面に戻ります。地下鉄経由だった往路に対し、復路は丹波橋から京阪電車に乗り継ぎ三条へ向かうつもりです。これにより「いなせや 真」には寄らず、余力があれば「大豊ラーメン」で締めくくることになるかと思います。
このような選択になったのは、違う経路で趣向を変えたかったのが一つ。そしてもう一つの理由は、身体がこれ以上酒を欲していないことです。長い休養をとり最低限体調を回復したつもりでも、昨夜の後遺症から完全に立ち直るには至らなかったということかもしれません。

実は、教祖お勧めの「鬼無里」が日曜も開いていると分かり、今更ながら後悔しています。結果として、昨晩「いっしょう」を飛ばして「小鍋屋いさきち」で締めくくると、今夜も万全に近い体調で臨むことができ、五時の開店に合わせる形で奈良へ行くことができたわけです。そうすると「鬼無里」とはしごしても十時前には京都に戻ることができ、「いっしょう」で締めくくるという選択が可能でした。余力があれば「いなせや 真」にも行けたでしょう。二晩を通じて考えれば、「鬼無里」と「いなせや 真」の最大二軒分を損したことになります。
このように、損得勘定としては明らかに負けといえる結果です。しかるに敗北感がそれほどでもないのは、「蔵」での時間に心から満足できたためでもあります。おでん舟の前の特等席を独占し、閉店間際の落ち着いた店内で、何の気兼ねもなく心ゆくまで呑めたという点では、過去に何度か訪ねた中でも間違いなく最高でした。今回奈良を訪ねたのは、少なからず「蔵」で呑むためでもあった以上、その機会を最高の形で終えられたことには、他店に行く機会を逃した分を補うに足る価値がありました。

★近鉄奈良2257/2220レ/2334丹波橋2341/B2300Z/2351三条
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冬枯れの京都を行く - 蔵

2015-12-13 21:22:03 | 居酒屋
「京都へ行くことは赤垣屋へ行くことである」は教祖の弁ですが、これは様々な局面に応用できる表現でもあります。たとえば、自分にとって大津へ行くこととは「小川酒店」で酒を買うことに他なりません。そして奈良については、この店で呑むことだと言い切ることができます。今年も「蔵」に戻ってきました。

時間によってはあわや満席ということもある人気店ではありますが、日曜の九時過ぎという時間帯もあってか、昨日の「赤垣屋」と同様お客の入りは適度です。コの字型をしたカウンターの左右にそれぞれ四名の先客がおり、椅子が三つ並んだ手前側が空いていたため、必然的にそこへ着席。カウンターの角に据え付けられたおでん舟に正対しつつ、店内を隅々まで見渡すことのできる特等席です。
布製の傘をかぶった電球で、古びた店内は心地のよい明るさに照らされています。やはり、この心地のよい明かりは電球にしか出せません。経済性を大義名分にして、白熱球の製造禁止とLED照明への転換などという愚策がまことしやかに検討されている昨今ではありますが、せめてこれと同じ明かりを出せるようになってからにしてもらいたいものです。

何度も訪ねた店だけに勝手は分かっています。まず酒を、次いでおでんを選び、時間のかかるきも焼を予め注文しておいて、あとは正面の壁にある短冊から何を選ぶか考えるという流れです。その中で今回是非ともいただきたいと思っていたのが油揚げでした。炙った後に手でちぎるここの油揚げについては、このblogで繰り返し絶賛してきたところではありますが、去年の正月に訪ねたときには品切れになっており、今年の正月は完全な素通りとなってしまったため、ほぼ二年近くにわたって待ち焦がれたのでした。
半分量でも出せるとの申し出をあえて断り、本来の分量でお願いした油揚げは、葱、大根おろしと鰹節をたっぷり添え、山盛りになって運ばれてきました。「魚仙」の油揚げに出会ってからというもの、これを超える油揚げはなかろうとさえ考え始めていたところ、こちらの油揚げも全く引けをとりません。やはり自分の感覚に狂いはなかったようです。店内一の特等席を独占して悠然と酒を酌み、二年間待ちわびた油揚げもいただいて、今回の再訪は完全勝利のうちに幕を閉じました。


奈良市光明院町16
0742-22-8771
1700PM-2230PM(LO)
木曜定休

ハートランド・篠峯・貴仙寿
おでん二品
油揚げの焼いたん
きも焼
松前鮨
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冬枯れの京都を行く - 復活

2015-12-13 20:15:44 | 近畿
五時間もの空白を経てようやく復活しました。これほど長い間が空いてしまったのは、疲労によるところが半分、和室の居心地によるところが半分といったところでしょうか。
結局今夜は奈良へ行くことにしました。現地に着くのが九時、「蔵」で一献傾けてから戻ると、京都に着くのは日付が変わる頃になるでしょう。ただでさえ呑み屋の選択肢が狭まる日曜の晩、その時間から入るとすれば「いなせや 真」しかありません。最大二軒という状況が、四軒訪ねた昨夜に比べていささか淋しいのは事実です。とはいえ、五時の開店と同時に始めたとしても、京都に戻ってさらに一軒上積みするのがせいぜいだったのではないでしょうか。昨晩四軒目を欲張ったしわ寄せが今夜に回ったと思えば、帳尻は合っているといえなくもありません。
それに加えて、「蔵」一軒でも十分満足できてしまうことは経験上分かっています。たまには新規開拓をと思いながらも、毎回一軒で完結してしまうのは、それだけこの店の居心地がよいということでもあるのでしょう。数を稼ぐことができない今夜を奈良に回すのは、ある意味理にかなっているわけです。終電まで粘っても二時間足らずの短い滞在ではありますが、実質的には去年の正月以来、ほぼ二年ぶりとなる再訪を楽しむことができれば幸いに思います。

★京都市役所前1955/755レ/1957烏丸御池2001/231レ/2013竹田2022/2061レ/2054大和西大寺2057/2033レ/2103近鉄奈良
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冬枯れの京都を行く - 空振り

2015-12-13 15:08:58 | 近畿
晴天にぬか喜びするという展開は、昨日と同じになりました。結局空が曇ってしまったのですorz
予報は依然として晴となっているにもかかわらず、昼過ぎから日が陰り、時間が経てば経つほど空が暗くなっているという状況です。日没も迫っており、今日はもう使い物になりそうにもありません。
予定通り神戸に行っていればよかったのかもしれません。とはいえそれは結果論です。実は昨晩深酒し過ぎたこともあり、酒はもういいという気分でした。そのような状態で無理に呑んでも仕方ないため、今日はこれでよかったのだと納得しています。
幸いにも、宿の好意で早めに部屋へ入ることができました。しかも今回は九畳間です。昼の部は打ち切りにして休息をとり、体力の回復を図ります。この調子では軒数を稼げそうにもないため、今夜奈良に行ってくるのも一案と考えているところです。
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冬枯れの京都を行く - 新福菜館

2015-12-13 14:17:19 | B級グルメ
苑内を一周したところでお昼をいただきます。毎度おなじみ「新福菜館」の中華そばですが、わざわざ駅前まで下りてきたわけではありません。本日訪ねるのは御所の近くの府立医大前店です。
この店舗には三度意表を突かれました。店舗が事前に聞いた場所から移転していたのが一つ。行列も覚悟していたところ全く待たずに入れたのが一つ。そして店内が極度なまでの安普請なことです。テーブルも間仕切りも、最近のMOSが多用する白木調の張りぼてで、壁紙などにも普請の安さがありありと感じられます。安く造って、劣化したら改装すればいいという使い捨ての発想なのでしょう。テーブル席が窮屈だったり、カウンターが壁向きだったりするのもいただけません。
肝心のラーメンは本店と比べても遜色なく、チャーシューが大きめで脂身が多いといった違いも店の個性と思えば済みます。しかし、接客設備の貧弱さは明確な難点であり、それが待たずにいつでも入れるという利点を帳消しにしているのが残念です。移転前は今より真っ当な店舗だったのでしょうか。その頃に訪ねてみたかったというのが本音です。

新福菜館 府立医大前店
京都市上京区上生洲町197-6
075-212-7698
1100AM-2200PM
水曜定休
特大新福そば900円
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冬枯れの京都を行く - 糸冬日シ帯在

2015-12-13 12:08:52 | 近畿
結局終日滞在ということで結論が出ました。宿に荷物を預けて自転車を借り、京都御苑にやってきたところです。
薄ら寒かった昨日から一転、今日は再び季節外れの陽気です。現在の気温は15度、宿まで歩く間もかなりの汗をかいてしまい、途中で半袖に着替えました。 この陽気のせいもあるのか、多少色褪せながらもかなりの場所で紅葉が残っています。しかも拍子抜けするほど閑散としており、これなら10月の平日に訪ねたときと何ら変わりません。やはり、この時期を選んだのは正解でした。

ちなみに、神戸と奈良については明日に回すことも検討しますが、再び晴れれば昼酒どころではないため、もう一日京都に滞在することになるでしょう。ただしその場合でも、奈良には行っておきたいという考えがあります。というのも、フェリーに乗るという明確な目的があった神戸と違い、奈良は全くの素通り同然であり、あれで訪ねたとは到底いえないからです。
最後に京都駅から新幹線に乗ることを考えると、明日少し早めに切り上げて移動し、奈良で一献傾けてから帰るのが経路としては理想的でしょう。しかし、京都を主題にした旅ならば、最後は京都で終わりたいという考えもあり、この場合は今夜奈良に行って戻ってくる必要があります。どちらをとるかは日が暮れたときの気分次第です。
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冬枯れの京都を行く - 二日目

2015-12-13 10:05:13 | 近畿
おはようございます。その後千鳥足で宿に戻り、気付いたときには着衣のままカプセルに倒れ込んでいました。長崎で六軒はしごしたときよりも、消耗の度合としては上のような気がします。どうにか立ち直って朝食を済ませ、一風呂浴びて宿を出ようとするところです。
出発前の構想では、本日は神戸と奈良を訪ねて京都に戻ってくる三角形の経路を予定していました。神戸で昼酒をあおり、夜は奈良と京都を掛け持ちするつもりだったわけです。しかしありがたいことに予報が上向き、今日は朝から晴れています。これなら昼酒などしている場合ではありません。明日は夕方から曇ってくるとの予報も出ており、晴天が期待できる今日のうちに京都市内を回った方がよさそうな気がしてきました。先月ならば取りつく島もない混みようだったところ、この時期ならば人出も適度になってくるのではないかという期待もあってのことです。
そのようなわけで、まずは今夜の宿に荷物を預けるついでに市街を歩いてみます。その結果どうにか耐えうる人出であればそのまま京都に滞在し、そうでなければ予定通り神戸に向かうつもりです。
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冬枯れの京都を行く - 小鍋屋いさきち

2015-12-13 01:31:38 | 居酒屋
教祖の新刊を紹介したとき、この中から一軒、二軒訪ねてみるのもよさそうだと申しました。中でもとりわけ注目していたのが「小鍋屋いさきち」です。これまでほとんど足を運んでこなかった、しかし今夜の宿には近い祇園にあって、小鍋で温まって締めくくれるばかりか、三時まで開いているという条件まで揃った以上、今回立ち寄らない手はありません。散々飲み食いしたはずが、つい欲張って四軒目に突入となりました。
場所は先斗町の裏路地並みに入り組んだ、人がどうにかすれ違える程度の狭い小路で、他の店がことごとく明かりを落とした中、この店の行灯だけが灯っていました。格子戸からのぞいた店内に先客の姿はなし。ただでさえ一見客には取り付きにくい小路の店に、先客もない深夜にいきなり飛び込むことにはいささか躊躇しながらも、意を決して暖簾をくぐると、店主が一人で営業していました。
店内はカウンター一本に小上がり二卓、小さな経木の品書きが、カウンターの正面の左右に並んでいます。主役の小鍋はもちろん一品料理も豊富で、これなら一軒目でも使えそうです。突き出しのおからは独特のフルーティーな味わいをしており、主役の小鍋も期待通り。やはり教祖の推す店に間違いはありません。
惜しむらくは、四軒はさすがに欲張り過ぎたか、酔いが相当回ってしまい、この店の本当のよさを理解するには程遠い状態だったことです。特段粗相を働いたつもりはないものの、素面の店主には見苦しかった可能性もあるでしょう。どうやらここは再訪する必要がありそうです。寒さが肌身に沁みる夜、もう一度訪ねてみたいと思う一軒でした。

小鍋屋いさきち
京都市東山区祇園花見小路新橋西入巽小路上ル
075-531-8803
1800PM-300AM

酒二合
突き出し
九条葱と鶏
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