日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

北海道花見の旅 2016 - 独酌三四郎

2016-05-06 21:20:23 | 居酒屋
旭川に泊まったのは、道北で花見ができる、宿でゆっくり休息できるといった理由によるところもさることながら、何といっても春から初夏にかけての「独酌三四郎」がいかなるものか知りたかったからに他なりません。しかし、旭川へ行くと決めた時点で、入れるかどうかについては不確定な部分がありました。
去る二月に訪ねたときは、この店が有名なTV番組で紹介された結果、にわかに混み合っているという現実に直面しました。そこで今回再訪するにあたっては、臨時休業していないかどうかの確認を兼ねて、事前に電話を一本入れました。すると予想通り予約満席との返答が。ただし電話口のおばちゃんからは、後で再び電話するようにと促され、遅い時間ならどうにかなると高を括って乗り込んだというのが実情です。
たとえば「籠太」の場合、予約満席が常態化しているのは同様ながら、店にかなりの収容力があるため、遅い時間になればまず間違いなく入れるのが分かっています。しかし、この店に一人で入ることを前提にした場合、詰めても八席程度のカウンターが埋まってしまえば事実上の満席です。前回も先客の方々に詰めてもらってどうにか座れたという経験をしているため、満席という懸念を抱いたまま店へ向かう結果となりました。
こうして店へ向かうと、入れ替わるようにして二人組の先客が店から出てくるところでした。これは席さえ選ばなければどうにか入れるということでもあり、あとはカウンターが空いているかどうかの問題になりました。五分五分の心境で玄関をくぐると、あらかた埋まった手前のカウンターにわずかな空間があり、そこにあった先客のお姉さんの荷物をどけてもらって、前回前々回と全く同様の、女将の定位置の正面に収まるという結果です。紙一重のところで立て続けに特等席へ通されるとはできすぎた話であり、いつの日か足をすくわれそうな気がしてならないとはいえ、ともかく今日のところは無事着席できた幸運に感謝すべきでしょう。

着席に関しては幸運に恵まれた反面、春から初夏にかけての「独酌三四郎」がどうなのかという点については、ズバリこれだというものを発見するまでには至りませんでした。これは、開店以来の盛況もあって少なからぬ品が切れてしまったからでもあります。席に着くなり告げられたのは、刺身がツブ、北寄しかないということで、その他については品切れでした。残っていたアスパラも目の前で品切れになってしまいました。
とはいえ、予約を入れて早い時間に来るべきだったと、意味のない仮想をしているわけではありません。それどころかカウンターの特等席で酒を酌む時間は今回も最高でした。何度か訪ねるうちに気付いてきたのは、季節の品よりいつでもあるものを選んでしまうということで、豆腐にいか焼きなどはまさにそうです。文字にすればごく平凡な品々でありながら、肴として完成し尽くされているのもこの店の偉大さの一つであり、かような観点からは一見すると平凡な品々こそこの店の真骨頂ともいえるからです。

そして何より、今回も特等席に座れたことによるところが大きいのでしょう。訪ねた回数こそ決して多くはないものの、いつ行っても見覚えのある御常連が一人か二人はいて、その方々といつの間にやら意気投合しているというのがここでの常です。皆一人で立ち寄りながら、常連同士が鉢合わせて意気投合している光景は、名古屋の聖地「大甚本店」に通ずるものがあります。同じくTVの影響で一躍有名店となった中洲の「一富」が、特に客層の面において一変してしまったのに対し、このカウンターの雰囲気が何一つ変わることなく保たれたのは幸いです。
今回の場合、同じく常連のお姉さんを一人挟んだ右隣に以前隣り合わせた阿久悠似の御仁がいて、左隣は前回も見かけた「先生」と呼ばれている医療関係の御方でした。実は、豆腐といか焼きを頼むようになったのは、以前右隣の御仁が席に着くなり頼んでいたのを真似たもので、自分にとっては世話になった先達の一人ということになります。久々の再会を祝して杯を交わし、看板の時刻とともに先生以下三人同時に店を出て、それぞれ次の店へと散っていきました。

独酌三四郎
旭川市2条通5丁目左7号
0166-22-6751
1700PM-2200PM(LO)
日祝日定休

風のささやき
麒麟山三合
お通し(酢大豆)
友人手造りどうふ
いかやき
ほっけ
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北海道花見の旅 2016 - 道北到達

2016-05-06 21:08:18 | 北海道
東北で終わりにするつもりが、いつの間にやら道北にまで到達しました。12号線を経由し旭川に着いたところです。出発からの通算走行距離は1950kmに達しています。

今朝方申した通り、終盤の行動を考えた場合、明日のうちに道南を射程圏に捉える場所まで南下しておきたいという考えがありました。かような観点からすると、明日の起点が旭川では移動が厳しくなるのは必至です。それにもかかわらず旭川を選んだのは、春の「独酌三四郎」で一献傾けたいという事情もさることながら、終盤の行動自体を見直す可能性が出てきたからでもあります。
ここへきて浮上してきたのは、明後日晴れるとの予報に賭けて最後まで道央に残り、日曜の晩に苫小牧から夜行のフェリーに乗って、翌朝の始発の新幹線で帰京し、東京駅から職場に直行するという最終手段です。当初の構想通り函館まで南下してから帰ったとしても、既に桜の盛りは過ぎています。それなら道南を潔く切り、奥の手を繰り出すことで道央での滞在時間をさらに一日捻出するのも一案かと考え始めた次第です。
上記の行動を踏まえた場合、本日は旭川まで北上し、翌日折り返して道央でもう一泊するのが順当になります。そして、夜行のフェリーと始発の新幹線を乗り継いで帰るという強行軍を想定すると、フェリーでは往路と同様寝台を使うのが事実上必須であり、それ以前も十分な休養をとっておく必要があります。実は、先月以来中一日、二日で旅を続けていることもあるのか、かなり疲労が蓄積してきており、どこかである程度まとまった休息をとる必要性を感じていました。その点旭川ならはしご酒の可能性は低く、宿でゆっくり休むこともできるため、その先の強行軍も考慮の上、上記のような結論に至った次第です。

もっとも、以上は日曜が晴れるという前提があってのことです。日曜の天候も期待できなくなれば、当初の構想通り函館まで南下して新幹線で帰る可能性も残されています。最終的な決断は明日以降となりそうです。
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北海道花見の旅 2016 - 最北の夜桜

2016-05-06 18:16:36 | 北海道
陰影があった過去二日の空と違って、今日の曇り空はどこまでも平板です。これでは夕景など望むべくもなく、早々に切り上げて移動するかと一時は思いました。しかしそれは早計だったようです。六時を前にして街灯とぼんぼりが点灯しました。
夜桜見物の風習自体がほとんどない北海道で、夜桜を鑑賞できる場所が道北にいくつあるのでしょうか。少なくとも釧路にそのようなものはありませんでした。ぼんぼりを使った夜桜としては、もしかするとこれが我が国最北かもしれません。貴重な夜桜を眺め、これでどうにか痛み分けには持ち込むことができそうです。
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北海道花見の旅 2016 - 東明公園

2016-05-06 17:55:04 | 北海道
275号線を月形まで走り、そこから道道に入って美唄に着きました。空知屈指の花見の名所、東明公園を訪ねます。一昨年の秋に北海道を旅したとき、小高い丘に桜の木々が林立するこの公園を訪ねて、花が咲けばいかなる眺めかと想像させられました。しかし、その機会がそう簡単に訪れるとは思っていませんでした。それが今回、思いがけない形で北海道へ渡る機会を得たことにより、宿願達成と相成ったわけです。

十中八九かそれ以上がエゾヤマザクラの北海道にあって、ソメイヨシノが中心の希少な名所というのが事前情報であり、自ら訪ねたときの印象もそうでした。しかし花が咲いた時期に訪ねてみると、ソメイヨシノとエゾヤマザクラがほぼ半々です。ただし、半々とはいっても交互に並んでいるわけではなく、表と裏ではっきり分かれるとでもいえばよいでしょうか。炭坑在りし頃の市街に面した南側はソメイヨシノばかりで、市街から公園へ続く道にもソメイヨシノの並木が続きます。それに対して、北側の斜面に林立するのはエゾヤマザクラです。エゾヤマザクラの方が総じて若く見えることからすると、市街の側にソメイヨシノを植えたのが始まりで、その後反対側にエゾヤマザクラを植えていったのかもしれません。
白樺、落葉松、ポプラなど、様々な木々に混じって桜が咲くのが北海道にありがちな光景のところ、ここでは桜が林立しています。ソメイヨシノが多く、夜桜のぼんぼりもあることを含め、道内では珍しい、しかし道外から来た余所者には懐かしく感じられる光景です。西側の視界が開けて石狩平野が広がっており、彼方に残雪の山々が連なるところなどは、語弊を承知でいうなら赤湯の烏帽子山公園にどことなく通ずるものが感じられます。

ソメイヨシノについていえば、市街に近い場所では満開間近、丘の上の方ではまだ五分咲きかそれ未満という状況で、全体を通じていえば見頃といっても差し支えありません。おそらく今週末には最盛期を迎えるでしょう。
惜しむらくは今日の天候です。モエレ沼へ着いた直後に短時間だけ日が射したものの、その後は時間が経てば立つほど空が平板で暗くなってしまい、これでは桜も絵になりません。せめて薄日が射せばと思うのは人情です。
もっとも、上陸以来二日にわたり思いの外健闘してきたことを思えば、今日については致し方なしではあります。札幌からここまで移動する間も、農家の庭先に桜が点在していたり、日陰の雪がいまだ溶けずに残っていたりといった光景を眺め、これが石狩平野の春かと実感できたことについては満足しています。
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北海道花見の旅 2016 - モエレ沼公園

2016-05-06 14:37:50 | 北海道
まずは北東へ車を走らせモエレ沼公園にやってきました。北海道らしい広大さは昨日訪ねた真駒内公園と同様ながら、こちらは三日月湖のほとりの平地にある公園で、地形に起伏がない分だけ広大さも一層際立ってきます。しかも秀逸なのは、園内の南側に三角形の高い塚があり、その広大さを視覚的に体感できるようになっていることです。
早くも晩秋の気配漂う九月の末に訪ねた前回に対し、今回は薫風の季節の再訪です。園内に入った瞬間、どこもかしこも白樺の新緑に彩られており、桜が全くないのに一瞬当惑しました。しかし、塚に上って周囲を見渡すと、円形の広場を中心にした北側の一角に、かなりの数の桜が集まっているのが見えました。地形の起伏の有無もさることながら、桜がまばらに散らばるか、一ヶ所に集中するかという点においても真駒内公園とモエレ沼公園は対照的です。
何かと地味なエゾヤマザクラだけに、何本集まろうともソメイヨシノのような絢爛豪華な眺めにはなりません。しかし、白樺やポプラの新緑と重なる様子は絵になっています。城跡や寺社仏閣との組み合わせが絵になる内地の桜に対し、木々の緑とともに楽しむのが北海道の桜といえるかもしれません。
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北海道花見の旅 2016 - 朝食

2016-05-06 10:16:53 | 北海道
昨夜は法華クラブに連泊したため、朝食バイキングも二日連続となりました。かすべの煮付けをメヌケの焼魚に、カレーをホワイトシチューに変え、ご飯の供も半分近く入れ替えるなど、要所に変化を持たせることで連泊の利用客にも飽きさせないという配慮はありがたく、新たに登場した品々もことごとく北海道らしいのは見事です。法華クラブの実力と、北の大地の豊かさをしみじみ実感する秀逸な献立でした。二日間にわたり快適に過ごさせてもらったことに感謝しています。
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北海道花見の旅 2016 - 四日目

2016-05-06 09:37:49 | 北海道
おはようございます。長旅が続いて疲労も蓄積しているということか、目覚める時間が少しずつ遅くなっています。
昨夜の雨はすぐに止みました。窓の外は昨日に続き明るい曇り空となっており、短時間とはいえ晴れ間も期待できそうな状況です。明日は再び崩れると予想されてはいるものの、全体の日程を考えるとそれでよいのかもしれません。というのも、中盤から終盤へ移行するにあたり、そろそろ帰りのことを考えなければなりません。かような観点からすると、今日まで花見に注力し、明日は道南を射程圏に捉えるまで距離を稼いでおくのが理にかなっているわけです。
今日は札幌を出てさらに北上します。一昨年の秋に訪ねた美唄の東明公園が、北海道にしては珍しい、ソメイヨシノを中心にした名所だったため、この時期に是非再訪したいという考えがあってのことです。真駒内でもソメイヨシノはまだ五分咲きだったことからして、あちらも盛りにはまだ早いかという情勢ではありますが、もし開花が進んでいれば、かなり見応えのある光景が期待できます。
夜半からは雨が降るとの予報です。必然的にキャンプは厳しくなるため、今回も萱野のライダーハウスの世話になるのが最も賢明と思われます。その一方で、旭川まで足を延ばすという拡大策も検討中です。道北で花見をしたいというより、春の「独酌三四郎」がどのような趣なのかを知りたいという考えがあります。距離にして片道70kmから80kmほど延びるとはいえ、北海道の流れなら二時間弱で走れる距離であり、なおかつ次の機会が巡ってくる可能性は何ともいえません。唯一無二の機会といえる今回、それをむざむざ見過ごすのも惜しいような気がしています。日が暮れた時点の流れ次第で、どちらを選ぶか決めるつもりです。
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