日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

新緑萌える東北へ 続編 - 月夜の盛岡

2016-05-22 23:24:33 | 東北
碇ヶ関から鹿角八幡平まで東北道に乗り、あとは一般道を経由して盛岡に着きました。津軽から盛岡までの移動もあって走行距離が大きく延び、今日だけで360km以上を走ったことになります。通算17万kmまではあと450kmを切っており、次回の活動で到達する可能性が濃厚です。
東北道をまっすぐ走ればよいものを、一般道を延々走ってきたのは、秋田にも足跡をつけておきたかったのが一つ。それに加えて、線形がよい上に先行車も皆無に近いことを前回の経験で知ったためです。線形と車窓に適度な変化があり、なおかつ終始他車を気にせず走れることを考えると、単調で眠気を誘う高速道と比べても、時間的大差はつかないだろうと考えました。実際にも、温泉を出てからの所要時間は二時間少々でした。津軽から盛岡までは意外に近いというのが実感です。十六夜の月とそれを映した水鏡、さらには月明かりに浮かび上がった岩手山を眺めながらの一人旅でした。

盛岡もいつの間にやら三泊目です。出発初日に泊まり、弘前との間を行き来して戻ったのが一週間後、それから再び北上し、北海道と津軽を旅して戻ったのが三週間後の今日ということになります。出発の時点では、これほど長い旅になるとは全く予想できませんでした。
前回泊まったときは、津軽から帰るつもりが土壇場で延長に突入し、盛岡に泊まって翌朝の新幹線で帰るという、今回と似たような状況でした。しかし、霧が出て寒かったそのときと違い、今夜は半袖一枚でも心地よく感じられます。日中も気温が上がって汗をかきました。北国を旅する間にそれだけ季節が進んだということです。最初に出発したのは先月の23日、一時帰京を繰り返しつつ延長してきた長旅は、明日から二月目に突入します。
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新緑萌える東北へ 続編 - 鷹の羽温泉

2016-05-22 20:52:20 | 温泉
温泉で一風呂浴びて、長きにわたる津軽滞在を締めくくります。大トリを飾るのは平賀の「鷹の羽温泉」です。
今回の活動で訪ねた三湯は、いずれも商人宿風の旅館を併設した飾り気のない施設でした。対するこちらは家族風呂併設の日帰り温泉です。しかしここがが異端なのかというとそうではなく、近くでいえば「からんころん温泉」に「境関温泉」など、同じ路線のところは多いような気がします。小ぎれいで現代的な建物は、これらの温泉に共通する特徴です。これもまた津軽の温泉の典型なのでしょう。
雰囲気こそ大きく異なるものの、お湯だけはどこへ行っても外れがありません。中央に鎮座する変わった形の浴槽はもちろん源泉掛け流し、カランが腐食していることからしてこちらもおそらく源泉でしょう。浴槽は熱めで塩辛く、カランは温めで金属臭を感じるのが特徴的です。

この一帯の温泉も二巡目三巡目に入ったと昨日申しました。こちらについては二回目ですが、前回からはかなりの時間が経っています。しかし津軽に数多ある温泉の中でも、自身にとってとりわけ思い出深い温泉の一つです。
初めて訪ねたのは七年前の暮れ、冬の北海道を自走するという、自身にとって空前絶後の活動の帰り道でした。函館から夜行のフェリーで青森に渡り、そこから秋田を通ってその日のうちに帰京しようなどという、今思えば無謀としかいいようのない行程の途中に寄ったのがここです。悠長に風呂など浴びるうちに当然ながら時間が押し、秋田に着いた頃にはすっかり暗くなって、盛岡を出てから疲労が一挙に噴出し、帰宅は翌朝八時という、若気の至りとしかいいようのない結果でした。
そのときほどの切迫ぶりではないにしても、盛岡まで移動するにはいささか厳しい時間になってきました。不本意ながら、東北道をひたすら飛ばした方がよさそうです…

★鷹の羽温泉
平川市本町村元228-3
0172-44-4526
630AM-2230PM
入浴料350円
泉質 ナトリウム-塩化物泉
泉温 51.0℃
pH=7.8
湧出量 180L/min
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新緑燃える東北へ 続編 - 怪我の功名

2016-05-22 19:41:49 | 東北
そもそも自分が無知だっただけの話ではありますが、運がよかったと前向きに受け止めます。こちらの読み通り工臨がやってきました。
五時前に金木から上ってきた列車を、一昨日訪ねた津軽飯詰の築堤で撮ったところ、幸運にもその直後にいわゆる「バカ停」があったため、その間に先回りして五農高前でもう一度押さえるという結果です。その後すかさず津軽道と東北道を乗り継いで黒石で下り、尾上高校前で影絵になった列車を撮って締めくくりました。只今昨日と同様に蛙の合唱を聴きつつ、暮れゆく岩木山を眺めています。
工臨についてはこちらの計算不足もあり、惜しくも会心の一枚とまでは行きませんでした。しかし、弘南鉄道のラッセル車よりも貴重な津軽鉄道の工臨を、二回撮れただけでも十分のような気がします。加えて、最後に撮った弘南線の電車が最高でした。風が止んで完全な水鏡が現れ、影絵になった岩木山と高架橋が映し出されたのです。田圃に水が張られたのはこちらが着いた木曜日、それ以来最後までこの水鏡が残ってくれたのも幸運でした。
幸運に加え、一昨日の経験が生きた面もあります。たとえば津軽鉄道については、一昨日沿線を訪ねたことで多少なりとも要領を得て、工臨に遭遇してから無駄なく動くことができました。そこから東北道を飛ばして戻ったのも、一昨日走って一般道の流れがよくないと分かっていたからです。ぼやけた空が終日続き、空振りにも思えた一昨日でしたが、終わってみれば怪我の功名だったことになります。

昨日は暗くなるまで夕景を眺め、それから弘前に戻りました。しかし、長きにわたった滞在も残念ながらこれにて打ち止めです。この後は一風呂浴びてから盛岡に移動します。
実は、新青森から始発の新幹線に乗っても翌日の始業には間に合います。しかし、それでは駐車料と往復の交通費が割高になるばかりか、列車の手配も面倒です。そして何より、新青森を起点にすると、翌週も津軽に居残ってしまう可能性が少なからず出てきます。去りがたさはあるものの、これを花道にして切り上げるのが最善でしょう。好天にも幸運にも恵まれ、二週にわたり津軽の初夏を満喫できたことに感謝しています。
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新緑萌える東北へ 続編 - 工臨

2016-05-22 16:19:36 | 東北
その後津軽鉄道の沿線に移動し、上下各二本の列車を撮りました。本来ならばそれで切り上げ弘南線の沿線に戻るつもりだったのですが、一縷の望みをかけて引き続き列車を待ち構えています。というのも、沿線でまさかの工臨を目撃したのです。
まずは列車の撮影と関係なく、終点の津軽中里から駅に寄りつつ南下しようとしたとき、深郷田の駅で突然踏切が鳴り、さほどの間もなく機関車に無蓋車二両を連ねた工臨が現れて、そのまま走り去っていきました。実は、沿線の鉄橋に同業者が一人いるのを目撃しており、列車のない時間帯に何を狙っているのか不可思議に思ってはいたのですが、その時点ではこのような事態を予想できませんでした。
しばらく呆気にとられた後、我に返って津軽中里に戻ったとき、列車の姿は既になく、機回しだけ済ませて早々と折り返したようでした。しかしその後金木の駅に止まっているのを確認したため、いずれ上ってくるだろうと見て、確証のないまま待ち構えている次第です。首尾よく仕留めることができれば、滞在延長は完全に吉と出るのですが。
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新緑萌える東北へ 続編 - 迷ったら買え

2016-05-22 12:12:57 | 東北
予定通り午前いっぱい弘南電車を撮って一区切りつきました。あとは給油を済ませて移動開始というところなのですが、ここで大幅な予定変更があります。結論から申しますと、今日帰るのを見送って滞在をもう一日延長します。
我ながらもうきりがないだろうとは思ったのです。少なくとも、宿を出る時点ではこのまま帰るつもりでいました。ところが、最後になるはずだった正午前の列車を見送っても、これで終わったという実感が一切湧かず、津軽鉄道の列車をもう一度撮りたい、岩木山に沈む夕日をもう一度眺めたいという考えが浮かんでいました。空は雲一つない快晴、吹く風はさわやか、どこへ行っても水鏡という状況が、来年以降巡ってくるだろうかと考えたとき、しばしの葛藤はありながらも、滞在を延ばすという結論に至った次第です。

昨日の時点で念頭にあったのは、さらに一週延ばすとすれば、今回も七戸十和田を起点に一時帰京するという行程でした。この場合、日没を待たずして移動を開始せざるを得ず、しかも往復の新幹線の手配にも手間取ることが予想されました。しかし、盛岡に一泊してから翌朝の始発列車で帰るとすれば、日が暮れてから津軽を出ても間に合います。盛岡までなら自由席という選択肢もあり、七戸十和田に比べて融通も利きやすくなります。そのことを思いついたとき、このまま帰るつもりでいたはずが正反対の結論に変わっていました。
一方で、盛岡を起点にする場合の難点もあります。翌朝の始発列車で帰るという強行軍になり、宿代と駐車料も必要です。七戸十和田と盛岡を比較した場合、運賃と料金を合わせても往復で千数百円の違いしかないため、金銭的には明らかに不利なのです。それだけに、そこまでして延ばす必要があるのかという考えは当然ありました。最終的な決め手になったのは、仲間内に伝わる「迷ったら買え」の鉄則です。収集物を買うかどうか迷ったとき、何はともかく買っておけば後悔しないという教えですが、それは旅においても当てはまります。この選択が本当に正しいのかどうか、今はまだ確信できない状況ではありますが、後々振り返ればあれでよかったと納得できそうな気がしています。
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新緑萌える東北へ 続編 - 禅林広場

2016-05-22 08:41:07 | 東北
弘前市街を出る前に禅林広場へ立ち寄ります。先週訪ねたばかりというのに、眺めがまたも変わりました。岩木山の残雪が更に少なくなり、その分緑に覆われた山肌が広がってきました。高台の下から伸びた木にもますます葉が茂り、花見の頃に見えていた岩木山の左の裾野は完全に隠されて、山頂だけが顔を出しています。夏場はどうなってしまうのかと思うほどの成長ぶりです。
秋に再訪したとしても、この木がますます茂って岩木山を隠してしまうのは分かっています。冬は雪に埋もれて立ち入ることすらできなくなることについても。三本並んだソメイヨシノと岩木山の取り合わせは来年の花見まで見納めです。そのときにまたお会いしましょう…
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新緑萌える東北へ 続編 - 出発

2016-05-22 08:06:27 | 東北
朝食をいただいて出発します。二週にわたり四泊した弘前国際ホテルでしたが、連泊したことによって朝食の充実ぶりを改めて実感させられました。全体の構成はおおむね同じながらも、相当数の惣菜が入れ替わるため、二、三日連泊しても全く飽きないのです。加えて品数が多く、少しずつ皿に乗せても何品かは選びきれずに残ってしまいます。人により好き嫌いがあるのを考慮の上、皿一枚に乗り切るよりも少し多めの品数を揃えているのでしょう。これだけの品数を仕込むのに、毎日どれだけの時間をかけているのだろうかと想像させられます。
それに加え、食堂を仕切るおばちゃんとお姉さんの気配りが行き届いていて、連泊すると追加で一皿差し出されるといった心遣いもありがたく感じられました。館内の造りこそ素っ気のないビジネスホテルとはいえ、地場の宿ならではの家庭的な雰囲気が、連泊するほど分かってきたというのが実感です。
秋に再訪するかどうかが微妙な情勢を考えると、次に弘前へ戻ってくるのは来年の正月でしょうか。そのときは久々に弘前東栄ホテルの世話になりたいという考えではありますが、もし連泊することになった場合は、二泊目をこの宿にする可能性は少なからずありそうです。
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新緑萌える東北へ 続編 - 四日目

2016-05-22 07:04:30 | 東北
おはようございます。昨夜は「はすや」を出た後弘前公園を散策して宿に戻りました。八重桜が大分散りながらもまだ咲いていたのに加え、ソメイヨシノにまだ花が残っていたのに驚かされました。そして何より、本丸から眺める月明かりに浮かび上がった岩木山が印象的でした。
一夜が明け、窓の外には雲一つない青空が広がっています。もちろん歓迎すべきこととはいえ、雲が全くないと絵柄としてはむしろ単調にならざるを得ず、作画の余地も限られてくるものです。やはり今日は手短に切り上げて帰路につくのが賢明でしょう。往生際の悪い自分に見切りをつけさせ、なおかつ有終の美も飾れるようにするため、天が与えてくれた機会と受け止めます。
そのようなわけで、午前中は別れの挨拶代わりに弘前市街を巡った後、もう一度弘南電車を撮って締めくくるつもりです。その後は東北道の沿線から大きく離れない形で南下していき、日が暮れるまでには東北道に乗って一気に距離を稼ぐといった流れになるかと思います。ただし、連続走行が300kmを超えると体力、集中力が途切れてくるのは経験上分かっているため、仙台か福島あたりで一旦高速道を下り、小休止してから最後の長距離移動に臨むというのが現時点の構想です。
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