日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の大地を行く - 梅光軒

2015-09-24 19:45:36 | B級グルメ
腹八分目で呑み屋を辞去した後は、残りをラーメンで満たすという予定通りの流れです。旭川で呑んだ後に行くといえば「味特」ですが、七時台という条件を考えると、行けそうでなかなか行けない有名店を選ぶのが賢明というものでしょう。その一つである「梅光軒」を選びました。
買物公園に面した立地はいかにも俗な印象を受け、個人的にはさほどの期待感を抱きません。店先には6名ほどの待ち客が出ており、普段ならばそれを見るやいなや敬遠しているところです。しかし今日に関していえば、多少の待ち時間は酔い覚ましの代わりと考えればよく、またこれを逃せば再挑戦の機会がいつ訪れるかは分かりません。その結果、主義に悖る部分はありながらも列に加わり、10分ほどの待ち時間を経て着席と相成りました。
名店がひしめく旭川でも屈指の知名度を誇る当店ですが、個人的にはそこまでのものかというのが率直なところではあります。麺に関していえばボソボソした食感の「味特」が、スープに関していえば焦がしラードの風味を効かせた「蜂屋」の方が個性的であり、その点こちらの麺とスープには際立った特徴が感じられないのです。しかし、厚切りのチャーシューと極太のメンマには食べ応えがあります。特に、濃い味付けで柔らかく煮込まれたチャーシューが、基本のラーメンにも三枚乗ってくるのは天晴れでした。

梅光軒旭川本店
旭川市2条通8丁目 ピアザビル B1F
0166-24-4575
平日 1100AM-2030PM(LO)
日祝日 1100AM-2000PM(LO)
正油ラーメン730円
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晩秋の大地を行く - 独酌三四郎

2015-09-24 18:06:02 | 居酒屋
西の空にまだ明かりが残っているのを眺めつつ、駅前の宿から歩いて「独酌三四郎」にやってきました。
ここを外せば代わりがないという旭川の呑み屋事情を考えると、確実に入りたいなら予約をしておいた方が無難ではあるのでしょう。しかし前回、予約をするかどうかで逡巡した挙句安全策をとったところが、いざ入店するとがら空きで、思わず苦笑したという経験をしています。その経験から、五時、六時なら予約は不要と考え、臨時休業というまさかの事態がないことだけを確認の上、あえて予約をせずに乗り込みました。
店内に入ってまず現れたのは竈の前の店主、次いで見覚えのあるお姉さん、そして丸眼鏡白割烹着の名物女将です。数回訪ねただけの取るに足らない客にもかかわらず、「いらっしゃいませ」に代えて「こんばんは」の一言で迎えられると、なじみの場所に戻ってきたような安堵感が押し寄せてきます。幸いにしてカウンターにも十分な余席があり、手前のカウンターの一番奥、正面が神棚、右手前が女将の定位置という、まずまずの位置に着席しました。まず品書き、次いでお通しが差し出され、品書きを眺め終わった頃に泊まって再び女将が現れて、そこで一品注文するといった阿吽の呼吸も秀逸です。

ただし、開店直後のお客もまばらな店内を想像していたところが、本日は思った以上の賑わいです。手前のカウンターには和装のおばちゃん、いやお姉さん四人組が陣取り、奥のカウンターにも一人客と二人組、小上がりには大人数の集団がいて、その後も予約客が小上がりと二階の座敷に次々収容されて行きました。
大量の注文が入ったのか、玄関脇の竈は休む間もなく、本来酒燗器の定位置である奥の竈にまで網が乗って、それぞれからもうもうと煙が上がっています。二杯目からは燗酒をと考えていたはずが、肝心の酒燗器がない状況でどうするのかと思っていたところ、一杯目を干したところで酒の品書きが差し出されました。その結果二杯目も冷酒という想定外の流れに。しかし、三杯目に意を決して燗酒を頼むと、何のことはない、網の上にいつもの酒器を置いて直燗し始めました。やはり、古い居酒屋には長年かけて熟成された流儀があるものです。
このような慌ただしさを敬遠してのことか、今日は常連の一人客の姿がありません。やはりこの店では、予約客が一巡した少し遅めの時間に訪ねて、居並ぶ常連に混じって一杯やるのが最善なのでしょうか。明日夜明けと同時に出れば、一日で北見に行って戻ることも不可能ではありません。そうなったときには再び旭川に泊まり、遅い時間に訪ねてみるという選択肢も出てきます。二日続けて行くのも芸がなく、今のところキャンプをするつもりではいるものの、旭川が近付いて再び悪魔がささやいたときには、流れに任せるのも悪くはなさそうです。

独酌三四郎
旭川市2条通5丁目左7号
0166-22-6751
1700PM-2300PM
日祝日定休

風のささやき・烈・麒麟山
お通し(酢大豆)
〆にしん
落葉おろし
ぬた
青なんばん
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晩秋の大地を行く - ワシントンホテル旭川

2015-09-24 17:14:12 | 北海道
そのようなわけで、只今宿に入りました。本日世話になるのは定宿のワシントンホテルです。
一昨年二泊しただけであり、その程度で定宿と称するには語弊があるかもしれません。しかし、今回宿を選ぶにあたって迷いはなく、ほぼ即決に近い形で決めました。というのも、旭川には激安の宿があまりなく、似たり寄ったりの価格帯だけに、安いところを血眼になって探すよりも、以前泊まってそこそこよかった宿を選んだ方が早いからです。去年泊まった「サンホテル」にしてもここにしても、部屋は十分広くて設備も整っており、価格を含めて全くの互角という状況で、どうせなら久しぶりの方にするかと考えました。
車中泊、船中泊の後にキャンプが三泊続いて、ベッドで寝るのも六日ぶりということになります。長旅の中間点で、よい休養になりそうです。
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晩秋の大地を行く - 悪魔のささやき

2015-09-24 16:19:29 | 北海道
この展開を予想できた方はいらっしゃるでしょうか。悪魔のささやきに負け、本日は旭川に泊まることにしました。
自分にとって、この時間に早々と投宿するなど通常は考えられないことです。今日に限って異例の早じまいを決めたのは、早い話「独酌三四郎」で呑みたかったからに他なりません。ただし、もともとそのつもりはなく、旭川市街に入る直前までは、素通りして先を目指すつもりでいました。そのまま走れば留辺蘂のキャンプ場に適度な時間で着くため、今夜はそこで夜を明かし、明日石北本線沿線を旭川方面へ戻って、そのときに宿泊しようという構想でした。
ところが、あと一時間もすれば「独酌三四郎」が開くという状況で市街を通過する展開に至ったとき、このまま泊まって呑みたいという悪魔のささやきがにわかに聞こえてきました。もちろん、留辺蘂まで150kmの移動を明日に残してしまえば、終盤の日程が苦しくなってくる可能性はきわめて大です。しかし、旭川で呑むとは「独酌三四郎」で呑むのと事実上同義であり、遅くまではしご酒をするつもりはありません。五時の開店と同時に入り、あとはラーメンをいただく程度で切り上げて、その分明日早く出るという手もあるでしょう。北海道の交通の流れなら、留辺蘂までは三時間前後もあれば着きます。キャンプの場合は撤収で時間を消費し、出発が八時頃になることを考えると、早起きして旭川を五時に出れば帳尻は合うわけです。そのような皮算用を思い付いてからさほどの間も置かず、今夜の宿を手配してしまいました。
そのような皮算用が得てして破綻することは経験上分かっています。しかし、何の変哲もない平日の、開店直後に呑める機会は貴重であり、むざむざ見過ごせなかったとでも申しましょうか。決めてしまった以上迷う余地はないため、明日は明日の風が吹くと割り切って、冬以来の再訪を心ゆくまで満喫します。
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晩秋の大地を行く - 給油

2015-09-24 15:44:59 | 北海道
留萌方面での活動を終え、次なる舞台となる北見方面へ向かってしばしの移動となります。道央から道北、オホーツク方面へ向かうとき、重要な中継点となるのが旭川です。渡道の際に毎度世話になっている宇佐美のスタンドで給油を済ませて行きます。
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晩秋の大地を行く - 変化球

2015-09-24 14:56:15 | 北海道
このところ渡道するたび取り上げている話題に、道内各都市における「条」と「丁目」の使い分けがあります。例外がないわけではないものの、幹線国道が東西方向に走っている街ではそれを基準とし、並行する通りを「条」、直行する通りを「丁目」で数えるというのが、道内各都市を訪ね歩いた上での経験則です。
これに対し、そもそも「条」と「丁目」で数えない街というのが少数ながらあります。旭川がそうで、東西方向の通りが条、南北方向の通りが丁目なのかと思いきや、「3条通6丁目」などと「通」をつける独自の流儀があり、さらにその後「右」「左」などの位置関係が加わります。今回訪ねて気付いたのは、深川でもその手の変化球が使われていることでした。「3条6番」といった具合に、「丁目」に代えて「番」を使うのが独特です。
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晩秋の大地を行く - 深川駅

2015-09-24 14:34:39 | 北海道
足掛け三日を費やして、ようやく留萌本線の全駅を訪ねることができました。最後を飾るのはもちろん深川駅です。
函館、留萌の両本線を分け、かつては深名線も発着していた要衝だけに、駅舎は留萌に負けず劣らず立派なものです。鉄筋コンクリート二階建てはあちらと同様ながら、張り出した二階部分がこちらの特徴で、全体としては積み木を二つ重ねたような形をしています。その二階部分には十字のサッシをはめ込んだやや縦長の窓が、隙間なく幅一杯に並べられ、さらに周囲が少し張り出して縁取りになっており、その部分が緑に塗装されて、駅舎の表情を効果的に引き締めています。
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晩秋の大地を行く - 北一已駅

2015-09-24 13:45:17 | 北海道
一度聞いたら忘れられないその響き、深川の一つ隣の北一已駅を訪ねます。
この駅には思い出があります。去年北海道を旅したとき、例によって日程が押し気味となり、道内滞在最終日に音威子府から小樽まで300kmもの移動を残してしまいました。当然脇目も振らずに先を急ぐべきところが、旧深名線の沿線などを通ったばかりに、寄り道を繰り返して時間が切迫し、フェリーに間に合うかどうかの瀬戸際に立たされました。結局、高速道と接続する秩父別に着いた時点で、必死に走れば間に合うかもしれない状況のところ、最後に慌てるのを嫌って滞在を一日延ばしたというのがそのときの顛末です。時間との熾烈な戦いから解放され、ようやく一息ついたところでこの駅に立ち寄り、石狩平野の夕景をしばし眺めたのでした。
お隣の秩父別と同様、木造駅舎が残るこちらの駅ですが、いかにも北海道らしい正統派だった秩父別に対し、こちらの駅舎は少々個性的です。全体としては切妻ながらも、左端にある玄関は民家のようで、全体の大きさも民家と大差がありません。待合室のホーム側がやや奥まっていて、その部分が雁木のような役割を果たすところは、飯山線の越後岩沢などに通ずるものがあります。未舗装の駅前も、駅の周囲に稲穂が広がる眺めもよく、時間を忘れてしばし滞在したくなる駅の一つです。
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晩秋の大地を行く - 秩父別駅

2015-09-24 12:56:46 | 北海道
再び留萌本線沿線を上ります。只今秩父別に着いたところです。
去年ここを訪ねたときは、日没間際で既に日が陰っており、一応押さえたという程度の画しか撮れませんでした。そして昨日も全く同じ展開に終わりました。しかし、峠下と並んで木造駅舎がそのまま残る数少ない駅の一つだけに、是非とも明るいうちに訪ねておきたかった次第です。峠下と同様北海道らしい木造駅舎で、なおかつ十分な引きがとれ、背後の樹木との対比もよく、絵になる駅舎だと改めて思います。
今回再訪して驚いたのは、駅舎の羽目板と腰板が張り替えられていたことです。それも樹脂製の安い建材などではなく、羽目板については無塗装の天然木です。屋根とホーム側の壁はそのままになっており、真新しい羽目板と風雪で痛んだ屋根との組み合わせは、一見すると釣り合いません。しかし、玄関脇とホームの柱は色とりどりの鉢植えで飾られ、昔からのものであろうホーム上のベンチもきれいに塗り直されていて、できる範囲で精一杯のことをしたのだろうと推察されます。
古びたものの味わいを求める趣味的な観点からすれば、ややくたびれていた改装前の方が本来ならばありがたいのです。しかし、沿線を三日かけて訪ね歩き、駅も車両も荒れ放題の状況を目の当たりにして、JR北海道の疲弊ぶりを痛感していただけに、一駅だけでもきれいに修復されたことが、むしろ喜ばしく思えてきました。先行き不透明な留萌本線ではありますが、面目を一新した駅舎が大切に使われて行くことを願って止みません。
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晩秋の大地を行く - 明日萌

2015-09-24 11:36:24 | B級グルメ
悠長に朝風呂など浴びている間に、併設のそば屋が開きました。温泉併設の食堂というと、とかく中途半端という先入観があり、普段ならば見向きもしないところです。しかし、沼田町産新そばの触れ込みにまんまと釣られ、朝兼昼は三日続けてそばをいただきます。
繰り返し申している通り、新そばの味と香りを明確に区別できるわけではありません。しかし確実にいえるのは、分量に関しては増毛のそば屋よりもこちらの方が圧倒しているということです。これなら増量する必要はなかったかもしれません。そば湯もすすってすっかり満腹です。

明日萌
雨竜郡沼田町字幌新337
0164-35-1188
1130AM-1900PM
ざるそば540円
そば増量240円
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晩秋の大地を行く - ほろしん温泉

2015-09-24 11:18:53 | 温泉
機関車を訪ねたついでに朝風呂を浴びて行きます。この時間から風呂に入っても、すぐにまた汗をかくのは明らかとはいえ、クラウスにふさわしい舞台を作ってくれたことに対する、ささやかな礼の代わりという趣旨があってのことです。
このような経緯があるだけに、風呂に関して特段期待をしていたわけではありません。宿泊施設と日帰り温泉が別棟になり、それぞれが渡り廊下で結ばれた造りは、昨日の秩父別温泉によく似ており、お湯についても五十歩百歩といったところです。しかしながら、浴場の大きな窓の向こうには溪谷が広がり、木々がほんのわずかに紅葉しているのも見えます。少なくとも眺めについては期待以上でした。

★ほろしん温泉
雨竜郡沼田町字幌新377
0164-35-1188
1000AM-2200PM
入浴料500円
泉質 単純硫黄冷鉱泉(アルカリ性低張性冷鉱泉)
泉温 8.5度
pH8.8
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晩秋の大地を行く - クラウス15号

2015-09-24 10:15:09 | 北海道
駅を再訪する以外に、留萌方面へ引き返した理由がもう一つありました。当地に残る国宝級の機関車、クラウス15号を訪ねることです。
草創期の九州鉄道を振り出しに、関東、北海道と時代ごとに北上し、留萌の炭坑で現役を終えるまで、実に80年近く働いたのがこの機関車で、現存する我が国最古の小型蒸気機関車というのがその触れ込みです。僚機の17号は絵本の題材にもなり、今なお語り継がれているため、愛好家以外にも広く知られた機関車の一つといえます。
そのような来歴もさることながら、特筆すべきはその保存状態です。晩年を過ごした炭礦鉄道の沿線にある、宿泊施設併設の公園の一角に、機関庫を模した建屋が造られており、そこが本機の棲家となります。屋内で大切に保管しつつ、外から眺めることもできるという仕掛けです。しかしそれだけではありません。日中は機関庫のシャッターを開け、機関車を専用の移動機で庫外に出すのです。機関車自体の古風な出で立ちもさることながら、機関庫を背にして休息をとっているかのような佇まいがよく、程よい距離を置いて立ち並ぶ白樺もよい点景になっています。鉄道草創期を知る古豪にふさわしい、心憎いばかりの演出です。
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晩秋の大地を行く - 恵比島駅再訪

2015-09-24 09:37:05 | 北海道
峠下まで戻った以上、必然的に恵比島駅も再訪します。こちらは昨日も順光だったとはいえ、夕方と午前では当然ながら佇まいにも違いが出てくるからです。同様の理由により、北秩父別までの各駅も再訪することになると思われます。
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晩秋の大地を行く - 峠下駅再訪

2015-09-24 09:17:24 | 北海道
テントがおおむね乾いたところで、頃よく霧が晴れるという理想的な流れとなりました。深川留萌道を留萌方面へ一区間だけ乗り、峠下駅を再訪します。実は、昨日訪ねたとき、西日が駅舎の側面に回っていたため、順光の状態も記録しておきたかったのです。ただし、夕方の斜光線を浴びた姿もそれはそれでよかったため、昨日訪ねたのが無駄だったわけではありません。
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晩秋の大地を行く - 六日目

2015-09-24 06:51:34 | 北海道
おはようございます。言わずもがなとなりつつありますが、昨夜も日付が変わる頃の終了でした。立ち込めた霧と橙色の街灯で、上空までが同じ色に染まり、その空を月がゆっくり沈んで行くという光景が印象的でした。気温は終始15度前後、なおかつ無風の条件だったこともあり、前夜と違って寒さを感じる場面はなかったものの、長袖二枚に雨合羽を羽織ってちょうどよく感じられました。霧が体感温度を下げたのでしょうか。
一夜が明け、キャンプ場には引き続き霧が出ており、その霧が結露し樹木から小雨のように落ちてきます。道東ではありふれた光景とはいえ、石狩平野では珍しいような気がします。これではテントを干してもすぐにまた濡れてしまうため、最低限の水分だけ拭き取り、あとは適当にたたんでトランクに放り込んだ方がよさそうです。
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