日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

関東一円はしご酒 2015初秋 - 大統領

2015-09-13 23:21:15 | 居酒屋
まっすぐ帰るかというとさにあらず。上野の「大統領」で軽く一杯引っかけます。
「和浦酒場」で徳利を二本空け、〆のカレーもいただいて、腹具合としては十分だったのです。それにもかかわらずわざわざ下車したのは、乗った電車が上野止まりだったのが一つ。日曜深夜の「大統領」の雰囲気に浸りたかったのが一つです。
朝から晩まで終始盛況の当店ではありますが、これだけ遅くなるとさすがにお客もまばらになり、見慣れた四人組が大鍋の煮込みを中鍋に移したり、豆腐を皿に取り分けたりして店じまいの準備を始め、一週間がこれで終わるという実感が押し寄せてきます。頭上を行き交う電車の音を聞きつつその光景を見届けるのが、小旅行を締めくくるにはおあつらえ向きなのです。

大統領
東京都台東区上野6-10-14
03-3832-5622
1000AM-2400PM

雪中梅
煮込み
茄子一夜漬け
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関東一円はしご酒 2015初秋 - 和浦酒場

2015-09-13 21:22:37 | 居酒屋
自力開拓も辞さずと意気込んではみたものの、結局無難な選択に落ち着きました。教祖おすすめの「和浦酒場」を訪ねます。
実は、ここへ来るまでには紆余曲折がありました。そもそも土地勘の全くない浦和で、日曜という条件まで重なった以上、これはという酒場を探し出すのは至難の業というものでしょう。そのことには少し歩いた段階で気付いたため、まずは教祖が推す「おがわ」に目標を切り替えました。教祖と組んで「全国居酒屋紀行シリーズ」を作った小川ディレクターが、引退後に自宅を改造して開いた店です。それほどの人物が自らの理想を集大成した店なら、まず間違いはなかろうと期待してのことでした。ところが、そうは問屋が卸さないということか、駅から相当離れた住宅街の一角の店舗が、外からのぞき込んでも満席と一目で分かる盛況です。これでは取り付く島がありません。
それで「和浦酒場」に入ったのかというとさにあらず。めぼしい店があれば飛び込むという方針で再び駅へ向かって歩くと、唯一期待できそうな呑み屋街が現れ、その一角に古い一軒家を使った「和浦酒場」の支店を発見。ここが開いていれば即決というところ、今度は日曜定休で振られました。仕方なしにそのまま歩くと、次に現れたのがおでんの老舗「お多幸」の支店です。自身愛用してきた新橋の店との類推からしても、十分期待はできるのでしょう。しかし、唯一にして最大の問題点は、わざわざ浦和に来た以上、都内にもある「お多幸」をここで選ぶ必然性が感じられないということでした。結局踏み切れずに「和浦酒場」を目指したところまでが第二段階です。
迷走はまだ終わりません。「和浦酒場」の店先まで行ってはみたものの、店構えが今一つ直感に響かず、一旦見送り周辺をもうしばらく歩きました。しかし、これまでの流れから予想できた通り、めぼしい店は見当たりません。そこで最後の望みをかけ、「おがわ」まで再び歩いたものの、状況は何一つ変わっておらず、元の鞘に収まったというのがここまでの顛末です。延々一時間以上歩いたにもかかわらず、徒労感だけが残る結果となりましたorz

このような経緯があるだけに、過剰な期待をしていたわけではありません。上記の通り、期待感を削いだ理由の一つとして店構えがあります。無味乾燥なビル群が並んだ伊勢丹の裏手の一角には、およそ名酒場などなさそうに見え、2階にある店舗も若い店主が造った現代的な店のようにしか見えなかったのです。しかし、ビルの古び方にしても、通りから見る店内の様子にしても、遠目には仙台で長年愛用してきた「おのちゃん」にどこか通ずるものがあります。心底感動するほどではないにしても、ほどよい種類の地酒が選べて季節に応じた肴が揃い、機転の利いた若い衆の接客も心地よいのだろうということが、ある程度予想できました。そして、この予想はかなりの精度で的中しました。
店内は外見ほど広いものではなく、10人ほど着席できるL字のカウンターを中心にテーブルがいくつかという構成で、20人少々も入れば満席といったところでしょう。カウンターには木材の風合いを活かした分厚い一枚板が奢られており、純和風とは一味違って、イタリアン、ビストロなどの洋風酒場としても使えそうな雰囲気です。高架下から最近移転してきたという割に、相応の年季が感じられることからしても、居抜きで入った店なのでしょうか。いずれにしても、ダウンライトのほどよい明かりを含め、カウンターの居心地は上々です。
品書きは日替わりの黒板と手元のメニューブックの二本立てで、筆ペンを使って大きく書かれたメニューがいかにも若い店ならではといった感があります。しかし、酒は燗上がりのするもので統一され、有名どころから無名の蔵まで、全国各地の地酒を適度な数だけ揃えています。その酒は長い時間をかけて湯煎され、上品な白磁の徳利に注がれて、同じく白磁の盃とともに供されました。和らぎ水の代わりに白湯を添えるところは、燗酒を宗とする当店流。決して大きくはない店内を4人で仕切る布陣は万全で、店長格のお姉さんによる付かず離れずの客あしらいも堂に入っています。
全国各地の中でもとりわけ個性が希薄な埼玉だけに、これが「埼玉らしい」「浦和らしい」かというと、特にそうとは思いません。「まるます家」で呑むために赤羽へ行くことはあっても、この店で呑むために浦和へ行きたいかというと、そこまでには及ばないというのが率直なところではあります。しかし、風合いのよいカウンターに向かって、話し上手な店長相手に一杯やる向きには上々な店であり、店構えから「おのちゃん」を連想した自分の直感は正しかったことになります。
次に浦和で降りるのが、何年後のことになるかは分かりません。しかし、その機会が再び訪れたときには、挨拶がてらもう一度寄ってみたいと思う一軒でした。

和浦酒場
さいたま市浦和区高砂2-7-7 セブンビル 2F
048-824-0701
1700PM-2330PM(LO)

竹泉・ひこ孫
お通し(夏野菜と厚揚げの煮付け)
鰹刺身
秋刀魚塩焼き
本日のカレー
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関東一円はしご酒 2015初秋 - 浦和駅

2015-09-13 19:27:51 | 関東
ニューシャトルに一駅だけ乗り、大宮から中距離電車に乗り継いで浦和にやってきました。大宮といえば駅前の「いづみや」が有名であり、一旦下車したからには当然選択肢に入ってきそうなところではあります。しかし、今回に関していえば、大宮よりも浦和を優先したいという考えがありました。というのも、大宮、赤羽と違って浦和で降りる機会がほとんどなく、前回いつ降りたかも定かでないだけに、趣向を変える上ではその方がよかったのです。加えて、一年中で一番酒がうまいこの時期、酒が選べる店にしたかったという事情もあります。
かくして下車した浦和駅ですが、まず驚いたのは駅構内も駅前も一変していたことです。高架を改築したのは聞いていたものの、ここまで様変わりしていたとは知りませんでした。しかし、少々歩けば古い呑み屋街が現れるかもしれません。教祖の推奨店はいくつかあるものの、浦和で呑むという貴重な機会を、安直な選択で済ませるのはもったいないというものでしょう。時間には十分な余裕があるため、駅の周りを一通り歩いてみて、これはという店があれば入り、そうでなければ教祖の導きに従います。
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関東一円はしご酒 2015初秋 - 見学終了

2015-09-13 18:03:12 | 関東
六時の閉館とともに見学終了です。前回の分と合わせてようやく一周できると思っていたはずが、今回も積み残すというまさかの結果に終わりました。混むのを嫌ってシミュレータには一切近寄らず、映像資料も割愛しながら、なお積み残しが出てしまったのは、展示物がそれだけ多かったということでもあります。特に、交通博物館時代の二倍はあろうかという壮大なレイアウトと、全長ざっと200mはあろうかという、鉄道草創期から現代までを一覧形式にした年表には見応えがありました。

大宮には鉄道博物館が、名古屋にはリニア・鉄道館があり、来春には京都にも同種の施設ができます。各地に立派な博物館が造られたのは、愛好者としてもちろん歓迎すべきことではあるのでしょう。しかし見方を変えると、これは鉄道が過去の遺物と化しつつあることの現れともいえます。
例えば、鉄道華やかなりし頃を支えた名車と、無残なまでの安普請に成り果てた現代の車両を並べて展示しうるでしょうか。当の鉄道会社が、それらの車両をあたかも存在しないかのごとくに扱い、ほとんど走ってもいない国鉄型をCMに映している現状は、自社の造った車両にその価値がないと自ら認めているに等しいものがあります。少なくとも、現代の鉄道車両に旅情を求めるのは、およそ筋違いと言わざるを得ません。人々の夢と希望を運んだ鉄道は博物館の住人となり、現代の鉄道は単なる移動手段としての性格をますます強めているわけです。北海道では二昔前から見られた光景が、いよいよ全国に広がってきたかと思うと、何とも複雑な心境にさせられるというのが本音ではあります。
もっとも、これは抗うことのできない時代の流れであり、今更どうなるものでもありません。博物館ができただけでもありがたいと、割り切って考えるしかなさそうです。
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関東一円はしご酒 2015初秋 - 鉄道博物館

2015-09-13 14:55:08 | 関東
ニューシャトルに揺られて鉄道博物館にやってきました。去年の暮れにも訪ねたものの、何分展示物が多すぎて、全てを見学することはできませんでした。そのときの積み残しを中心に回り、六時の閉館まで粘る予定です。
終了後は一献傾けてから帰りますが、大宮まで来た以上、上野や浅草を選んでは芸がなく、今回は大宮、浦和、赤羽あたりを河岸にするのが順当でしょう。いずれについても評判の酒場はあり、日曜だからといって選択肢に窮することはなさそうです。冴えない曇り空は相変わらずながら、今にも降り出しそうだった先週、先々週よりましではあります。このまま最後まで乗り切れるかもしれません。
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関東一円はしご酒 2015初秋 - 東宮原駅

2015-09-13 13:52:32 | 関東
徒歩で東宮原駅に移動してきました。ここからニューシャトルに乗って鉄道博物館へ向かいます。
新幹線の高架に併設された無味乾燥な駅だけに、当然無人化されているだろうと思いきや有人駅でした。しかも事務室が売店を兼ねており、改札脇にはKIOSKのごとく新聞、雑誌、煙草に菓子などが陳列されています。駅周辺に店らしい店もなかった開業当時、ここが貴重な商店を兼ねていたのでしょう。その後どこへ行ってもコンビニで用が済むようになり、山手線内の駅にさえKIOSKがないのが当たり前となった今、ここに昔ながらの売店が残っているとは思いませんでした。
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関東一円はしご酒 2015初秋 - モスバーガー宮原東口店

2015-09-13 12:41:51 | MOS
大宮で降りるかというとさにあらず。高崎線にそのまま乗り、一駅先の宮原で降りました。目当ては駅前にある新MOSです。
新MOSといっても、開店したのは二年前です。往年の自分なら、未踏のMOSが一軒でもあれば気が済まず、ましてや二年も放置するなど考えられないことでした。しかし、後年MOSがその他の外食チェーンと大差のない安普請の店舗に成り下がり、それと同時に自身の興味も次第に失せて、骨董品級の古い店舗だったり、経路上にたまたまあったりなどの事情がない限りは、MOSに立ち寄ることもなくなって現在に至ります。MOSに寄るのは六月の浅草以来、新規の店舗に関して言えば実に正月以来です。
一時の最悪期こそ脱したとはいえ、よくも悪くも現代的なMOSです。店内の造りは総じて安っぽく、特に張りぼてのテーブルと仕切り壁はみすぼらしくて辟易させられます。しかし、弧を描いたレジカウンターが独特で、その直上の天井が、レジカウンターに合わせるかのごとくに一段下がり、そこが赤く塗られてダウンライトが埋め込まれ、カウンター周りを明るく照らすようになっていて、とかく単調になりがちなビル内の店舗に、適度な変化を与えているようです。
客席の中央には、向かい合わせで10人座れるカウンター席があって、各席につき一つずつコンセントが設けられており、このあたりは都会の店舗らしい配慮ということになるでしょうか。しかも、張りぼてのテーブルに対し、こちらのカウンターには寄木が奢られています。往年の店舗によく見られた、玄関脇の作り付けのテーブルを、現代的に再構成したのがこのカウンターということになるかもしれません。

ちなみに、ハウピアシェイクなるものがあったためこちらを注文。ハウピアといえば、思い出すのは二昔前にあったハウピアサンデーです。アイスにココナッツ風味の熱いソースをかけたのがその正体で、ハワイから持ち込んだという触れ込みより、兎にも角にも強烈なのはその甘さでした。
思うに、「激辛」を謳うものは世の中にごまんとあります。これに対し、ありそうでほとんどないのが「激甘」ではないでしょうか。その点、「激甘」と形容するにふさわしいのがこのハウピアサンデーで、少なくとも自分の半生で経験した中では、次点を大きく引き離す最高峰と断言します。これは限度を超えた甘さということでもあり、傑作かといえば全くそのようには思いません。しかし、「期間限定」と称する無数の品々が現れては消えて行く中、今なお鮮明な記憶として残っているのは、それだけ強烈な甘さだったからに他なりません。
そのハウピアの名を引き継いだハウピアシェイクは、夏の風物詩玄米フレークシェイクを二回りほど小さくしたような出で立ちながら、上からかかったソースは紛れもないハウピアサンデーの味です。二十年の時を経て、若かりし頃の記憶が蘇ってきました。

モスバーガー宮原東口店
さいたま市北区宮原町3丁目824-1 JR宮原駅ビル1F
048-669-2110
700AM-2300PM
第5024号
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関東一円はしご酒 2015初秋 - まるます家

2015-09-13 09:11:49 | 居酒屋
常々申している通り、なまじ休むと腑抜けになります。しかし、貴重な週末を三度続けて棒に振るわけには行きません。堕落しそうな我が身を奮い起こして日帰りの活動に出ました。鉄道博物館の巡礼にかこつけて、沿線の酒場を巡るのが本日の主題です。まずは9時の開店に合わせて赤羽の「まるます家」に乗り込みます。
常時満席、場合によっては行列覚悟の人気店ではありますが、開店10分後ということもあり、店内はざっと五分の入りで、どの位置も選び放題という状況。選んだのはW型をしたカウンターの左上、正面にはカウンター、右前方には通りに面した鰻の焼き台、左前方には小窓で仕切った厨房と、店内の全貌が見渡せる好位置です。しかし、特等席を確保して悦に入っていたのも束の間、次から次へとお客が入り、九時半を過ぎると待ち客が出始めました。少なくとも土日に関していえば、この店で確実に着席するためには、開店と同時に入るか、遅めの時間を選ぶかのいずれかなのでしょう。今後の参考にしますφ(. . )

前回ここを訪ねたとき、盤石の横綱相撲と評しました。これは、年季の入った店内、壁面を埋め尽くした短冊の品書き、手練れの一人客が居並ぶカウンター、各自の持ち場できびきび動くおばちゃんに板前など、あらゆる点が大衆酒場として完成し尽くされているということに他ならず、その印象は今回も当然ながら変わりません。しかし、再訪して初めて気付くことも往々にしてあるものです。今回に関していえば、コの字型を二つ並べたカウンターの造りということになるでしょうか。
一見すると左右対称に見えながら、厨房に向かって右半分は完全に閉じ、自分がいる左半分の片隅だけが途切れていて、そこから客席との間を行き来するように造られており、右半分をおばちゃん一人が、左半分を二人組のお姉さんが仕切っているのもそのためなのでしょう。左右のカウンターから出た注文を、それぞれを仕切るおばちゃんとお姉さんがまず受け、次いで中央に鎮座する筆頭格のおばちゃんが、名調子と言うべき口調で厨房に伝える様子も眺めていて楽しいものがあります。東京の北の聖地は今回も絶大なる安定感を見せてくれました。

まるます家
東京都北区赤羽1-17-7
03-3901-1405
900AM-2130PM
月曜他不定休

長陵三合
鯉生刺
水ナス新香
牛すじ煮こみ
なまずから揚
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