日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の大地を行く - 独酌三四郎

2015-09-24 18:06:02 | 居酒屋
西の空にまだ明かりが残っているのを眺めつつ、駅前の宿から歩いて「独酌三四郎」にやってきました。
ここを外せば代わりがないという旭川の呑み屋事情を考えると、確実に入りたいなら予約をしておいた方が無難ではあるのでしょう。しかし前回、予約をするかどうかで逡巡した挙句安全策をとったところが、いざ入店するとがら空きで、思わず苦笑したという経験をしています。その経験から、五時、六時なら予約は不要と考え、臨時休業というまさかの事態がないことだけを確認の上、あえて予約をせずに乗り込みました。
店内に入ってまず現れたのは竈の前の店主、次いで見覚えのあるお姉さん、そして丸眼鏡白割烹着の名物女将です。数回訪ねただけの取るに足らない客にもかかわらず、「いらっしゃいませ」に代えて「こんばんは」の一言で迎えられると、なじみの場所に戻ってきたような安堵感が押し寄せてきます。幸いにしてカウンターにも十分な余席があり、手前のカウンターの一番奥、正面が神棚、右手前が女将の定位置という、まずまずの位置に着席しました。まず品書き、次いでお通しが差し出され、品書きを眺め終わった頃に泊まって再び女将が現れて、そこで一品注文するといった阿吽の呼吸も秀逸です。

ただし、開店直後のお客もまばらな店内を想像していたところが、本日は思った以上の賑わいです。手前のカウンターには和装のおばちゃん、いやお姉さん四人組が陣取り、奥のカウンターにも一人客と二人組、小上がりには大人数の集団がいて、その後も予約客が小上がりと二階の座敷に次々収容されて行きました。
大量の注文が入ったのか、玄関脇の竈は休む間もなく、本来酒燗器の定位置である奥の竈にまで網が乗って、それぞれからもうもうと煙が上がっています。二杯目からは燗酒をと考えていたはずが、肝心の酒燗器がない状況でどうするのかと思っていたところ、一杯目を干したところで酒の品書きが差し出されました。その結果二杯目も冷酒という想定外の流れに。しかし、三杯目に意を決して燗酒を頼むと、何のことはない、網の上にいつもの酒器を置いて直燗し始めました。やはり、古い居酒屋には長年かけて熟成された流儀があるものです。
このような慌ただしさを敬遠してのことか、今日は常連の一人客の姿がありません。やはりこの店では、予約客が一巡した少し遅めの時間に訪ねて、居並ぶ常連に混じって一杯やるのが最善なのでしょうか。明日夜明けと同時に出れば、一日で北見に行って戻ることも不可能ではありません。そうなったときには再び旭川に泊まり、遅い時間に訪ねてみるという選択肢も出てきます。二日続けて行くのも芸がなく、今のところキャンプをするつもりではいるものの、旭川が近付いて再び悪魔がささやいたときには、流れに任せるのも悪くはなさそうです。

独酌三四郎
旭川市2条通5丁目左7号
0166-22-6751
1700PM-2300PM
日祝日定休

風のささやき・烈・麒麟山
お通し(酢大豆)
〆にしん
落葉おろし
ぬた
青なんばん

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