本日の晩酌 - 天鷹

酒屋に立ち寄るとき、常々念頭に置いていることがあります。この場所で、この時期にしか買えない酒を選ぶということです。地酒とはその土地の風土を映す鑑であり、四季の移り変わりを持つ我が国が生んだ偉大なる文化だと思います。かような観点からすれば、酒販店では地元の酒を選び、なおかつその時期にしか手に入らない旬の地酒を選ぶのが一番ということになるわけです。
そして、特に前者の観点から有力な候補の一つとなるのが、酒販店が酒蔵に特注した限定品です。もちろん、今しか買えない、ここでしか買えないという消費者の心理をあおって物を売る行為は、度を過ぎれば外食チェーンの常套手段である「限定商法」にもつながりかねません。しかし、一家言ある酒屋が、同じく一家言ある酒蔵に特注して造った酒には、得てして外れがないものなのです。この「天鷹」もその手の酒の一つです。
ほのかな発泡感と水のように淡麗な喉越しはまさに「上善如水」を形にしたかのようで、事前に知らなければ18度以上という高アルコールとは気付きません。しかし、開封してから時間が経つにつれて、上品で複雑玄妙かつ控えめな吟醸香が際立ってきます。さりげない造りのよさが純米大吟醸ならではです。

★天鷹 純米大吟醸生原酒
天鷹酒造(栃木県大田原市)
原料米 山田錦
精米歩合 50%
アルコール分 18度以上19度未満
栃木県宇都宮市 関口酒店にて購入