日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

この季節の楽しみ 2015(20)

2015-07-19 19:45:25 | 野球
明け方の目が覚めるような快晴が昼過ぎから失速し、それとともに蒸し暑さが増幅された連休二日目、耐えがたき暑さをひたすら耐え忍んで終了となります。高校野球の地方大会は昨日から五週目に入りました。試合数は大幅に増え、39大会299試合の開催です。

・遠距離
この日開幕した北北海道の本大会を除けば、直線距離で150km離れた岩手の久慈工対一関学院が白眉、それに次ぐのが110km離れた宮崎の延岡工業対都城西でした。

・離島
離島勢の戦いは最終盤に入りつつあり、新規は香川の土庄1校のみです。
鹿児島の離島勢最後の砦となった徳之島がこの日も勝ち、4回戦進出を果たしました。一方、沖縄で4強に進出していた宮古は散り、離島勢の戦いは終幕を迎えました。しばしば上位に進出する八重山と違い、宮古としては異例の戦績であり、37年ぶりといわれる決勝進出を見てみたかったと思うのは人情ながら、離島勢が初日で全滅した去年を思えば、8強以上に2校が入った今季は大健闘といってよいでしょう。

・接戦
群馬大会で、久々に見応えのある試合結果が並びました。8試合全てが9回以降まで戦われ、そのうち3試合が1点差、2点差、3点差、4点差が各1試合で、残る2試合が5点差という内容でした。8試合で41の総得点は、1試合当たりにすれば5点強にしかならず、両軍合わせて11点入った同日の球宴の半分以下にしかなりません。中でも唯一延長戦にもつれ込んだ一戦を制したのは、往年の北関東の盟主桐生です。惜しかったのは埼玉大会で、コールドが4試合あるにはあるものの、全16試合中8試合が1点差の息詰まる展開でした。

・伝統校
明治以前からの歴史を持つ伝統校が揃い踏みしました。尾張の藩校明倫堂を発祥とする明和、幕末の孝明天皇により創立されたというただならぬ由来を持つ十津川、これも藩校を発祥とする鳥取西の3校です。中でも鳥取西は、第1回大会の代表校10校の一つであり、しかもその記念すべき初戦で大会初勝利を挙げ、以降予選に皆勤し、さらには大正一桁から平成二十年代まで全ての年代で全国大会に出場しているという、高校野球界の生ける伝説でもあります。
既出のところでは、青森が4強進出を果たしました。このまま勝ち上がれば、八戸学院光星相手とは決勝で相見え、昨夏の雪辱戦が実現します。私立の強化校による筋書き通りの結末が待ち構え、終盤になればなるほど白けてくる東北の地方大会ですが、青森大会からは俄然目が離せなくなってきました。
この他、会津は二戦目で姿を消したものの、熊谷、耐久、岡山朝日、倉敷青陵、小松の各校は勝ち上がっています。耐久は延長戦を、岡山朝日は高梁日新との伝統校同士の対決を制しての2勝目でした。

・鳶が鷹
愛知で西尾東と起工が揃い踏みしました。片や岩瀬の、片やシュート打ちの名人山内の母校です。大阪には、野茂を生んだ成城工改め成城の名もあります。中村紀洋の母校である渋谷が、今や全くの無名ながらも善戦を続けているのに対し、こちらは一方的な敗戦を喫することが多く、暁星国際ほどではないにしても、弱小と形容してよさそうな存在です。しかしながら、今季は中日吉見の出身校金光大阪を相手に9回まで戦い抜いており、近年では1点差で惜敗した昨夏に続く健闘でした。
なお、既出では由良育英改め鳥取育英が敗退しています。

・地名・校名
観音寺一が2勝目を挙げました。相手は初代代表校の高松で、記念すべき大会創設百年目は、三重四中改め宇治山田に続く2校目の初戦敗退で終わりました。

・古豪
前出の鳥取西と高松に加え、早稲田実、そして初代覇者の京都二中改め鳥羽が初戦に臨み、開幕29日目にして初代代表10校が出揃いました。前年代表である八頭を下した鳥取西を含め、8校が初戦突破という結果はさすがです。その一方で、勝ち進んでいた久留米商が8強を目前に散り、宇治山田、秋田、高松に次ぐ4校目の敗退となりました。
この他新規では、大体大浪商が初戦に危なげなく勝ち、既出でも前出の桐生に加え横浜商、箕島、鹿児島商といったところが勝ち上がっています。磐城、丸子修学館、鹿児島玉龍は散りました。
そして予想通りというか何というか、真打の松山商は西条との二戦目に敗れました。2回までに6点取られながらも徐々に追い上げ、5回までに1点差と詰め寄りながらも、その後は両軍とも追加点が奪えず、そのまま試合終了という結末です。善戦したといえなくもないものの、かつての盟主にしては儚い散り際でした。

・職業校
この日の白眉は焼津水産、天竜林業なき今は、愛知の瀬戸窯と並ぶ、東海地方の職業校の双璧というべき存在です。それ以上の変わり種は香川の高松工芸、芸術系にしては珍しく、しばしば上位に進出する実力校でもあり、今年も初戦を突破しました。
既出では、初戦で延長15回を戦い抜いた会津農林が散り、西東京の四商も散りました。長野では諏訪蚕糸改め岡谷工が松商学園の餌食となり、下伊那農も敗退しています。一方、大阪では工芸を含む5校連合が2勝目を挙げています。たった1校を相手に、5校が寄ってたかって二度も勝ってしまったわけで、こうなると救済策も本末顛倒といった感は出てくるものの、ともかく今季あと一回はこの校名を目にすることができるわけです。
高専では沼津高専が登場し、木更津高専は敗退、昨季県8強の大分高専は2勝目を挙げました。

・その他
霞ヶ浦が連戦をものともせず大勝で8強入りする一方、常総学院は伏兵に足をすくわれ散っています。
徳島では、出場校中唯一の私立だった生光学園が初戦で足をすくわれました。過去5年で県大会の決勝に1回、4強に2回、8強に1回出場している同校ですが、あと一歩のところで及ばないのは霞ヶ浦と同じで、今回の敗退により公立校の聖地徳島は今年も守られたことになります。常々不思議に思うのは、徳島で歴史上私立の代表校が一度も出ていないという事実です。もちろん、上記の通り私立の出場校が生光学園しかない以上、同校が敗れればその時点で公立校しか残らないのは当たり前です。根本的な疑問は、隣の香川で私立の強化校が乱立し、近畿圏からの野球留学先と化している中、より近畿に近い徳島が公立の聖地として残ったことにあります。とはいえ、少子高齢化が際限なく進む中、都道府県の人口第44位の徳島に、今更新設校が入り込む余地があるとも思えません。生光学園が悲願の初優勝を果たすか、県下にあと二つある私立校が野球強化に乗り出すか、通信制の高校が参入するかのいずれかが起きなければ、徳島から私立の代表校が出ることはなさそうです。

★青森大会準々決勝
 青森4-3青森商
★岩手大会4回戦
 久慈工1-4一関学院
★福島大会3回戦
 安積黎明5-0磐城
 東日本大昌平7-3会津
 会津農林4-7尚志
★茨城大会4回戦
 霞ヶ浦10-1水海道一
 常総学院1-2東洋大牛久
★群馬大会3回戦
 樹徳5-0中之条
 大間々1-5高崎商
 桐生2-1桐生市商(延長13回)
 健大高崎1-0利根実
 関東学園大付1-0利根商
 富岡実3-7前橋工
 四ツ葉学園2-5高崎経済大付
 太田工5-3大泉
★埼玉大会3回戦
 鷲宮0-1西武文理
 朝霞西1-0川越東
 北本2-1山村学園
 昌平5-4新座柳瀬(延長10回)
 南稜4-3越谷北
 岩槻商4-5x市浦和
 本庄1-8x熊谷
 富士見0-1朝霞
 坂戸西1-2獨協埼玉
★千葉大会3回戦
 成東6-1木更津高専
★西東京大会3回戦
 早稲田実8-4東大和南
 専大付4-1四商
★神奈川大会3回戦
 横浜商6-2磯子
★長野大会3回戦
 岡谷工3-11松商学園
 田川7-2下伊那農
 丸子修学館3-10x長野日大
★静岡大会1回戦
 沼津高専1-11x島田商
 焼津水産0-7x聖隷
★愛知大会1回戦
 鶴城丘0-5明和
 富田2-9西尾東
 起工1-11x桜丘
★京都大会2回戦
 鳥羽10-0京都農芸
★大阪大会2回戦
 金光大阪9-3成城
 北淀・能勢・工芸・茨田・西淀川1-0大手前
 大体大浪商6-2鳳
★奈良大会2回戦
 十津川3-4大宇陀・吉野
★和歌山大会3回戦
 貴志川1-2箕島
 和歌山東4-5x耐久(延長10回)
★岡山大会2回戦
 岡山朝日2-1高梁日新
 倉敷青陵6-4倉敷古城池
★鳥取大会2回戦
 米子西4-0鳥取育英
 八頭2-3鳥取西
★香川大会2回戦
 坂出1-2高松工芸
 土庄7-0三木
 観音寺一2-1高松
★徳島大会1回戦
 穴吹4-2生光学園
★愛媛大会2回戦
 内子6-11小松
 西条6-5松山商
★福岡大会5回戦
 久留米商4-9東海大五
★大分大会3回戦
 大分高専3-2大分雄城台
★宮崎大会2回戦
 延岡工2-0都城西
★鹿児島大会
・3回戦
 志布志1-4徳之島
 鹿児島水産3-4鹿児島商
・4回戦
 鹿児島玉龍1-8x鹿児島情報
★沖縄大会準決勝
 糸満7-2宮古
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