日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

この季節の楽しみ 2015(6)

2015-07-01 23:54:44 | 野球
開幕11日目となる昨日は、釧根、旭川の両地区が開幕する一方、小樽地区の開幕戦が雨天順延、札幌地区でも2試合が雨天中止となり、北10試合、南9試合の開催にとどまりました。しかし、試合数の割には見所の多い日でもありました。北から順に振り返ります。

北海道らしい地名が散らばる中でも、とりわけ注目に値するのは北見地区でしょう。美幌、留辺蘂といった、字面も響きも美しい地名に加え、津別・清里・常呂という、一辺50kmの正三角形に散らばる3校連合が出色です。数字の上では大したことがなさそうにも思える50kmという距離ですが、関東地方に当てはめれば横浜、千葉、大宮の三都市を結んだ領域にほぼ等しく、北海道の距離感は別物だという当たり前の事実を実感させられます。阿寒・霧多布・釧路東・白糠の4校連合が解消された今季、道内でも随一の広域連合チームです。

北北海道でもう一つ注目するのは旭川東です。創立明治36年、道内では函館中部、札幌南、小樽潮陵に次ぐ四校目の旧制中学を発祥とする伝統校であり、球場名にも刻まれた郷土の英雄にして我が国初の300勝投手、スタルヒンを生んだ同校ですが、それ以外にも高校野球史上において特筆すべき記録を有しています。地方大会の決勝で10度にわたり敗れ去り、なおかつ全国大会の出場経験が一度もないことです。
決勝で負け続けたといえば、思い出すのは昨年11度目の挑戦にして初の選手権出場を果たした二松学舎大附ですが、同校と並んで「地方大会決勝戦10連敗」という珍記録を持つのが旭川東です。同様の例としては他に高知があるのみで、旭川東を除く2校はいずれも後年全国大会出場を果たしており、今なお連敗記録を「継続」しているのは唯一無二ということになります。
あと一つが勝てない悲運のチームは昔も今も輩出しており、当代随一なのは何といっても過去7年で5度敗退の霞ヶ浦です。このblogでおなじみの遠軽も、過去10年で4度敗退しています。しかし、10回ともなるとさすがに例がほとんどなく、今のところこれに迫りそうなチームは現れていません。それでは、自らの持つ記録はさらに更新されるかというと、そのような可能性はないかもしれません。最後の決勝進出は半世紀近くも前の昭和44年で、近年は地区予選を突破できれば上出来という戦績だからです。地方大会決勝での10連敗は、不滅の珍記録となって残るのでしょうか。

なお、前日延長15回引き分けとなった江陵と帯広農の再試合は、またしても延長戦にもつれ込み、二戦合わせて27回の激闘を江陵が制しました。両軍無得点の投手戦だった前日に対し、序盤に先制・加点した江陵を帯広農が中盤で一時逆転、その直後に江陵が追いつき、12回に決勝点という幕切れです。しかも両軍とも主戦が二試合を完投するというおまけつきでした。興味があるのは結果のみ、経過については度外視の本blogですが、息もつかせぬ好試合を戦い抜いた両軍には敬意を表しなければなりません。

北に比べてやや地味な南北海道ではありますが、試合数が二桁にもなれば、それなりの見所は出てきます。まず注目するのは、札幌南と札幌東の伝統校同士による直接対決です。札幌南は言わずと知れた道内一の名門校で、今年創立120年。対する札幌東は高等女学校を発祥とする108年の歴史を持ちます。二回表に東が先制、その裏に南が逆転したところで降雨ノーゲームとなったため、両校の対決がもう一度見られることになります。
この日は第二札幌中学を発祥とする創立103年の札幌西も初戦に臨み、甲子園出場経験を持つ尚志学園を下しています。これで創立113年の札幌北が揃えば、道立四天王による揃い踏みが実現するところでした。なお、高等女学校を発祥とするのは札幌北も同様ながら、札幌区立として発足した札幌東に対し、札幌北は当初から道立だったという違いがあります。

北海道ではそれほど珍しくもない、遠隔地のチーム同士の対戦ですが、えりも対苫小牧高専の組み合わせはなかなか振るっています。往年の名曲にも唄われた最果ての地から、ほぼ道央圏の苫小牧まで、直線距離にして150kmもの隔たりは、道内の地区予選としてはかなりのものです。勝ったえりもは北海道の南端をなぞりつつ町に戻り、三日後には次戦のために再び往復300km超の大移動に望むことになります。いかにも北海道らしい戦いぶりです。
ちなみに、この日は北北海道で釧路、旭川の両高専も登場し、釧路だけが初戦を突破しました。これで道内に4校ある高専が出揃い、既に敗退している函館高専を含め、3校が姿を消しています。上位進出がほとんどない高専としては、まあ順当な結果といったところでしょうか。
この他、室蘭地区では25対6という大差の試合が出ました。20点近くの差がつく試合にもなると、負けた側がほとんど0点、とっても1点、2点がせいぜいなのは経験上分かっています。6点取り返した気概は見上げたものです。

★北北海道大会(6/30)
・釧根地区1回戦
 標津0-9釧路高専
・十勝地区1回戦
 江陵6-4帯広農(延長12回)
・旭川地区1回戦
 東川0-10旭川東
 旭川高専4-5x留萌
・北見地区1回戦
 津別清里常呂3-5美幌
 留辺蘂7-5小清水
★南北海道大会(6/30)
・室蘭地区1回戦
 登別青嶺6-25室蘭栄
 えりも5-0苫小牧高専
・札幌地区2回戦
 尚志学園6-9札幌西
 札幌東(中止)札幌南
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