日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

この季節の楽しみ 2015(9)

2015-07-08 23:21:03 | 野球
北海道と沖縄だけで細々と戦われてきた今季の地方大会も、先週末で三度目の週末を迎えました。新たに茨城、東東京、岐阜、福岡、熊本の5大会が開幕したものの、雨天中止も多く試合数は伸びません。最盛期は少し先のことになりそうです。

・第15日(7/4)
茨城、東東京、岐阜、福岡の4大会が開幕する一方で、同じく開幕予定だった鹿児島大会は雨天順延となりました。南北北海道と沖縄を加えた、7大会37試合の開催です。
ほぼ二巡目に入った北海道ですが、この日は昨年甲子園まであと一勝に迫った伝統校の小樽潮陵が、大差で初戦を突破しました。12校に対して代表枠が2つある小樽地区で2回戦から登場した同校は、早くも地区代表決定戦進出となります。一昨日訪ねた真狩は、余市紅志との連合チームで出場するも、22点差の大敗により散りました。
二戦目以降のチームとしては、釧路東・白糠・阿寒の三校連合と、霧多布・根室の二校連合が揃って散り、地方大会決勝10連敗の記録を保持する旭川東も二戦目で敗退。勝った旭川西は高等女学校を発祥とする伝統校で、旧制中学を発祥とする旭川東とは兄妹校同士の対戦でした。同様の「兄妹対決」が空知地区でも出現しており、旧制中学発祥の岩見沢東が、高等女学校発祥の岩見沢西を延長戦の末に下しています。北見地区では湧別、美幌、留辺蘂といった郡部のチームが相次いで散り、地区予選も終盤の様相を呈してきました。南北海道では、昨年小樽潮陵と決勝進出を賭け激闘を繰り広げた浦河が、再び勝って地区代表に王手をかけています。

連戦も珍しくはないのが北海道の高校野球で、この日は士別翔雲が昨日の今日で二戦目に臨み、再び勝って翌日の地区代表決定戦に進みました。これ対して実に悠長なのが沖縄大会です。いち早く開幕したにもかかわらず、シード校の興南が初戦に臨んだのは、三度目の週末を迎えたこの日でした。これでも全出場校が出揃ったわけではなく、トリを飾る糸満は翌日の登場となります。なお、初戦を突破した離島勢二校のうち、八重山が二週間ぶりとなる二戦目に臨み、勝って16強進出を果たしました。

最後は我が母校の話題で締めくくります。東東京の開幕直後の初戦に臨んだ母校は、劇的な逆転勝利を収めました。中盤までに6点差をつけられ、7回に2点を返すもその後再び6点差とされて、あと1点失えばコールドという状況をどうにか踏みとどまり、9回に一挙8点を挙げ逆転という、いかにも高校野球らしい顛末です。これは悪くいえば五十歩百歩の戦いだったということでもあり、最終回の8点も、10四死球という相手の自滅により転がり込んだのが実態ではあります。とはいえ、この日唯一の試合ということもあり、朝刊の地域面では一面を丸々使って取り上げられており、それなりに注目された試合ではあったようです。自分の在学中、同様の状況であえなく散ったことを考えると、天晴れな戦いぶりといってよいのではないでしょうか。次戦に勝つとその次はよりによって第一シードと当たることが決まっており、くじ運には恵まれなかった今季ですが、胸を借りるのも一興でしょう。健闘を祈ります。

・第16日(7/5)
熊本大会が開幕する一方、開幕予定だった西東京と鹿児島は雨で順延となり、さらには茨城と東東京も全試合中止となって、6大会71試合の開催にとどまりました。鹿児島はこれで二日の順延となります。しかし、梅雨末期の鹿児島では必ずしも珍しいことではなく、はるばる渡ってきた離島勢が二日、三日と足止めされる場面が、毎年一度や二度はあるものです。今季もそのような場面が見られるのでしょうか。

北海道では釧根、名寄、北見、札幌、小樽の各地区が代表決定戦に突入し、いよいよ最終盤に突入です。このblog一押しの遠軽は大差で二戦目に勝ち、七年連続となる地区代表の座を獲得しました。北海道の高校野球においては一つの目標となる地区代表ですが、このチームに関する限りは単なる通過点に過ぎません。昨季から順に、8強、16強、準優勝、準優勝、4強というのが過去五年の戦績でした。初の決勝進出から今年で十年、悲願が成就するかに注目です。
なお、9点差ならコールドかというとそうではなく、8回まで2対0の投手戦が続いた後、最終回に遠軽が一挙9点を挙げるという展開でした。最後に2点取り返したのが、二度の甲子園出場経験を有する網走南ヶ丘の意地といったところでしょうか。残る2つの代表枠を勝ち取ったのは北見工、北見北斗の両校で、後者は旧制中学を発祥とする伝統校でもあります。
釧根地区では、道内4校の高専のうち唯一勝ち残っていた釧路高専が惜しくも敗退。四半世紀前の代表校中標津も、2点リードで迎えた9回裏に3点を失い、まさかの逆転負けにより地区代表の座を逃しています。名寄地区で唯一1回戦から勝ち上がってきた士別翔雲は、三連戦の疲れが出たか、同じく代表決定戦で散りました。もう一試合の決定戦を制した天塩も、21点取った初戦から中一日での登場であり、なおかつ試合がある士別までは直線距離でも100km近くという遠隔地です。規模は小さいながらも、北海道の地区予選の苛酷さを集約したかのような名寄地区でした。
南北海道では、小樽潮陵と浦河がいずれも連戦で代表決定戦に臨み、前者は本大会進出、後者は敗退と明暗が分かれています。道内屈指の伝統校札幌西も、地区代表決定戦で散りました。

ほぼ北海道の話題に終始してきた今季の地方大会ですが、この日は岐阜が16試合、福岡が23試合と両大会で過半を占め、西日本でもようやく本格的な戦いに突入してきた感があります。岐阜で注目するのは、明治6年創立の伝統校にして、百年前の第1回大会から予選皆勤を続ける15校の一角である岐阜、巨人軍の黒歴史「湯口事件」の湯口を生んだ岐阜短大付改め岐阜第一といったところですが、県内に16校ある選手権出場経験校のうち、上記2校に加えて県岐阜商、中京、土岐商、岐阜南改め岐阜聖徳学園、岐阜城北、大垣北、関商工、東濃実、多治見工と実に11校が揃い踏みしているところも見逃せません。土岐商との直接対決に敗れた岐阜聖徳学園を除き、全てのチームが勝ち上がっているのはさすがです。
北海道にも伝統校は多々あるとはいえ、内地のそれは格が違い、福岡では藩校を発祥とする伝習館と明善が揃い踏みしました。明善は第2回大会に出場した後99年遠ざかっているのに加えて、当時存在していた敗者復活戦に敗れ、1大会で2敗するという珍記録を保持するチームでもあります。同じく珍記録を保持するのが、選手権無敗にして甲子園無敗という空前絶後の記録を保持する三池工です。同校を含め、商業校ではなく工業校が優勢だった数少ない県の一つが福岡であり、この日は戦前の古豪福岡工も初戦を突破しています。同じく古豪の一角であり、昭和30年代の選手権に4度出場した戸畑は、サヨナラ負けで散りました。
なお、沖縄では最後まで残っていた糸満の登場により全出場校が出揃い、ようやく二巡目に突入しました。宮古とコザがともに16強進出を果たす一方、沖縄水産は散っています。

★北北海道大会
・釧根地区2回戦(7/4)
 釧路東白糠阿寒4-11x武修館
 霧多布・根室1-2釧路明輝
・釧根地区代表決定戦(7/5)
 釧路高専3-8釧路工業
 中標津3-4x釧路北陽
・名寄地区2回戦(7/4)
 名寄産0-5士別翔雲
・名寄地区代表決定戦(7/5)
 天塩8-6稚内
 稚内大谷4-1士別翔雲
・空知地区2回戦(7/4)
 岩見沢東7-5岩見沢西(延長10回)
・旭川地区2回戦(7/4)
 旭川西7-1旭川東
・北見地区2回戦(7/4)
 雄武12-2湧別
 美幌5-8網走桂陽
 北見北斗15-0留辺蘂
・北見地区代表決定戦(7/5)
 遠軽11-2網走南ヶ丘
 北見工10-0雄武
 網走桂陽2-4北見北斗
★南北海道大会
・室蘭地区2回戦(7/4)
 浦河9-2静内
・室蘭地区代表決定戦(7/5)
 浦河1-8x苫小牧東
・札幌地区代表決定戦(7/5)
 札幌西1-5札幌大谷
・小樽地区2回戦(7/4)
 寿都0-10小樽潮陵
 双葉22-0真狩・余市紅志
・小樽地区代表決定戦(7/5)
 小樽潮陵
★東東京大会1回戦(7/4)
 海城10-8目黒学院
★岐阜大会2回戦(7/5)
 県岐阜商6-1本巣松陽
 岐山3-4x岐阜城北
 岐阜北0-2岐阜第一
 岐阜8-1大垣南
 郡上北0-7x関商工
 羽島2-9x東濃実
 土岐商8-0岐阜聖徳学園
 武義1-9中京
 多治見工5-4帝京大可児
 大垣北4-2関
★福岡大会
・1回戦(7/5)
 伝習館2-6柳川
・2回戦(7/5)
 香椎4-5明善
 福岡工6-2舞鶴
 三池工2-1久留米学園
 戸畑6-7x戸畑工
★沖縄大会
・2回戦(7/4)
 石川0-6興南
 八重山3-1浦添
・2回戦(7/5)
 読谷0-9宮古
 中部商4-0沖縄水産
 糸満4-3美里工
 小禄0-2コザ
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