二軒目を一軒目に繰り上げたことにより、再びスライド登板の必要性が出てきました。続いて訪ねるのは本来明後日に予定していた「一耕」です。
この店との出会いは、五連泊した昨秋の第一夜でした。日曜の晩で選択肢が限られる中、流れるような文字で半紙にしたためられた店先の品書きに目がとまり、思い切って飛び込んだところ当たりだったという思い出の残る店です。
一年ぶりに訪ねると、前回主に接客してくれた女将の姿がなく、無口で職人気質の親方が一人でカウンターに立っています。一階はカウンターのみで六席、二階に座敷はあるものの、カウンターと厨房の狭さを考えると、それほど大きな店ではないのでしょう。厨房と客席との間を仕切る簾の使い方、頭上に張り出された店先と同じ半紙の品書き、氷を盛ったステンレスケースとぴかぴかの魚、銀杏など季節の野菜を盛ったざるなど、カウンター回りを眺めるだけでも楽しめるよい店です。
店先の品書きにもあった通り、ここではそばが名物のようで、折しも親方が先客のために黙々とそばを切っているところでした。新そばの季節だけに食指が伸びかけるものの、後にラーメンが控える状況では自制せざるを得ません。まずは焼酎だけ注文し、あとは品書きを眺めつつ組み立てを考えます。
そうこうする間に差し出された突き出しは、小蛸と煮貝、にがごりと茄子の味噌炒めという三品で、これならあと一品選べば二軒目には十分です。それではその一品に何を選ぶかと思案するに、候補は四つに絞られました。まずは薩摩の秋の風物詩である秋太郎、次いでこれも九州らしいあらかぶの煮付け、あとは揚げ銀杏に鶏刺しです。土地と季節を考えれば何といっても秋太郎というところ、いかんせん値が張ってしまい、同じ値段で銀杏と鶏刺しが両方選べるかと思うと手が出づらいものがあります。結局、一軒目に続いてまたしても鶏刺しという選択に落ち着きました。
馬鹿の一つ覚えというなかれ。一口に鶏刺しといっても、店によって使っている鶏はもちろん部位や切り方などがそれぞれ違い、はしごをしても飽きることはありません。しかしてこの店の鶏刺しは、皮と身を別々に切ったもので、一人客には十分すぎるほどの丸く大きい皿に気前よく盛られてきました。あらかた腹が満ちたところで席を立ちます。
★一耕
鹿児島市千日町4-12
099-227-2308
焼酎
突き出し三品
地どり刺身
この店との出会いは、五連泊した昨秋の第一夜でした。日曜の晩で選択肢が限られる中、流れるような文字で半紙にしたためられた店先の品書きに目がとまり、思い切って飛び込んだところ当たりだったという思い出の残る店です。
一年ぶりに訪ねると、前回主に接客してくれた女将の姿がなく、無口で職人気質の親方が一人でカウンターに立っています。一階はカウンターのみで六席、二階に座敷はあるものの、カウンターと厨房の狭さを考えると、それほど大きな店ではないのでしょう。厨房と客席との間を仕切る簾の使い方、頭上に張り出された店先と同じ半紙の品書き、氷を盛ったステンレスケースとぴかぴかの魚、銀杏など季節の野菜を盛ったざるなど、カウンター回りを眺めるだけでも楽しめるよい店です。
店先の品書きにもあった通り、ここではそばが名物のようで、折しも親方が先客のために黙々とそばを切っているところでした。新そばの季節だけに食指が伸びかけるものの、後にラーメンが控える状況では自制せざるを得ません。まずは焼酎だけ注文し、あとは品書きを眺めつつ組み立てを考えます。
そうこうする間に差し出された突き出しは、小蛸と煮貝、にがごりと茄子の味噌炒めという三品で、これならあと一品選べば二軒目には十分です。それではその一品に何を選ぶかと思案するに、候補は四つに絞られました。まずは薩摩の秋の風物詩である秋太郎、次いでこれも九州らしいあらかぶの煮付け、あとは揚げ銀杏に鶏刺しです。土地と季節を考えれば何といっても秋太郎というところ、いかんせん値が張ってしまい、同じ値段で銀杏と鶏刺しが両方選べるかと思うと手が出づらいものがあります。結局、一軒目に続いてまたしても鶏刺しという選択に落ち着きました。
馬鹿の一つ覚えというなかれ。一口に鶏刺しといっても、店によって使っている鶏はもちろん部位や切り方などがそれぞれ違い、はしごをしても飽きることはありません。しかしてこの店の鶏刺しは、皮と身を別々に切ったもので、一人客には十分すぎるほどの丸く大きい皿に気前よく盛られてきました。あらかた腹が満ちたところで席を立ちます。
★一耕
鹿児島市千日町4-12
099-227-2308
焼酎
突き出し三品
地どり刺身