日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

モスバーガー、お前もか(2)

2013-11-06 23:27:43 | MOS
フードコートを中心とした店舗の濫造に歯止めがきかず、いよいよ末期症状を呈してきた最近のMOSですが、これで完全に終わったと実感させる出来事が起きました。北勢地方に開店するイオンへの出店です。
イオンのフードコートへの出店など今や日常茶飯事であり、なぜそれが致命傷なのかと思われるかもしれません。しかし、その背後には、フードコート店がまた一軒増えるというだけでは片付けられない事情があります。というのも、このイオンというのが、近畿からの帰り道の立ち寄り場所として近年愛用している東員店のすぐ近くにできるのです。
東員店は、505号という店舗番号からして、少なくとも三十年近く営業している古参であり、そこを経営しているのはホクセイスーパーという地場の小さなスーパーです。そんなスーパーにとって、すぐ近くにイオンの超大型店ができるのは死活問題と言っても過言ではないでしょう。そんな中、MOSは長年にわたりチェーンを支えてきた地場のオーナーをないがしろにして、大手商業資本の刺客ともいうべきイオンに与するような真似を働いたわけです。

もちろん、目下血道を上げているフードコートへの出店を進める上では、イオンが最も重要なパートナーの一つとなることは間違いないでしょう。今回の出店も、合理性を考えるなら当然の結果であり、何一つ責められるべきものではないのかもしれません。しかし道義的にはこれでよいのでしょうか。結局のところ、安く造って使い捨てるという経済性、合理性最優先の発想に、MOSもとうとう染まり切ったというしかありません。
他のファストフード店がまず出店しないであろう小さな町に、オーナー自ら店頭に立つ個人経営の店舗を作り、他店の規格化されたサービスにはない手作りの温かさを売り物にしてきたMOSは、いわば草の根運動のようでもありました。それが今では、大政党に追従し、弱者をないがしろにするような政策を次々打ち出しているかのように思えてなりません。少なくとも、路地裏出店の頃から続くMOSの理念は、完全に失われたと確信しました。

ミスドとの提携から五年、当初抱いた不安は見事なまでに的中し、MOSもとうとう懐古趣味の世界に入りました。奇しくも、MOSの店舗を巡るようになってからこの冬で二十年です。一区切りついたところで終わるのも、ある意味運命だったのでしょう。今後MOSに行くことがあるとすれば、古きよき店舗を再訪するときだけとなりそうです。
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