魔法の鏡をみつけたら

なお子改め夏海遙のブログ

「トゥーランドット」

2019年07月22日 | 日記

知人のN氏にお願いして、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」千秋楽に連れていっていただきました。(指揮・大野和士、演出・アレックス・オリエ、管弦楽・バルセロナ交響楽団)
観劇の前に、坂田康太郎氏の講演会に出席。
今回は新演出で、ラストがこれまでに上演されてきたハッピーエンドとは違うそうだ。これまでのも観たことないけど、坂田氏の面白い解説のおかげで期待は高まります。

まず、舞台セットがSFのような、銀河鉄道009にでてくる灰色の機械の街のようなものすごい数の階段が入り組んだ高さのあるセット。
トゥーランドット姫と皇帝は、宇宙船のような巨大なポットに乗って降りてきます。

美しい中国の皇女トゥーランドットは、祖先の姫が異国の男に陵辱された恨みから、自分は誰とも結婚しない、と決めています。
姫への求婚者たちは、姫から問われる3つの謎を解くことができないと処刑されてしまうのです。

第3幕、勝利を確信した王子カラフが歌う「誰も寝てはならぬ」。フィギュアスケートの宇野昌磨くんや荒川静香さんの演技で聴き慣れていましたが、歌詞をみながらオペラのストーリーの中で聴くとこんなにエロティックな意味のある歌だったんだなと思いました。
奴隷の女リューの犠牲があり、王子カラフに口づけされ彼の愛をしぶしぶ受け入れるかに見えたトゥーランドットですが、ラストは死を選びます。それは誇りからなのか、絶望からなのか…。

自分の国を追放されてきたカラフ王子達もまた、トゥーランドットにとっては侵略者になってしまった。戦争の色が濃く出た舞台でした。
登場人物たちの思いが絡みあう、ものすごい熱量の応酬の第3幕後半は圧巻でした。ラストの民衆の歓喜のコーラスから衝撃的な姫の死で幕が下りるまで、鳥肌がたちました。

N氏が常々、「世界最高の舞台芸術はオペラだ」と言っている意味の半分くらいはわかった気がしました。
(トゥーランドット=イレーネ・テオリン、カラフ=テオドール・イリンカイ、リュー=中村恵理)
新国立劇場 オペラパレス

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