花の春 月の秋こそ恋しけれ雪に人来ぬ冬のやまざと(正治二年初度百首)
さらでだにとふ人もなき山里にみち見えぬまで降れる白雪(二条太皇太后宮大弐集)
けふいく日(か)とふ人なしに跡たえて雪にこもれる宿のさびしさ(新続古今和歌集)
とふ人もなくて日数ぞつもりぬる庭にあと見ぬ宿の白雪(玉葉和歌集)
とはでふる日かずのみこそつもりけれ今日も跡なき庭のしら雪(新後拾遺和歌集)
たづ ねきて道わけわぶる人もあらじ幾重(いくへ)もつもれ庭の白雪(新古今和歌集)
積もれただ道は絶ゆとも山里に日をふる雪を友とたのまむ(続千載和歌集)
おもひやれ雪も山ぢもふかくして跡たえにける人のすみかを(後拾遺和歌集)
たれをとひ誰を待たましとばかりに跡たえはつる雪の山里(秋篠月清集)
雪ふりて人もかよはぬ道なれやあとはかもなく思ひきゆらむ(古今和歌集)