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「霞の波」用例

2015年02月23日 | 日本国語大辞典-か行

「霞の波」という用語の例として日本国語大辞典・第二版には1310年頃の用例を載せていますが、100年ほど早い用例があります。以下の歌合の判詞では難とされているので、藤原定家が新しい表現を試みたのだと思われます。「千五百番歌合」は1202~03年頃の歌合。

くものなみかすみのなみにまがへつつよしのの花のおくを見ぬかな
(197・千五百番歌合、358・定家)
『新編国歌大観 第五巻 歌合編、歌学書・物語・日記等収録歌編 歌集』1987年、角川書店、428ページ

 1207年の賀茂別雷社歌合の定家歌で「海辺帰雁」題の以下の和歌にも「霞の波」が含まれています。
うらにたく-もしほのけふり-たちわかれ-かすみのなみに-かへるかりかね(日文研の和歌データベースより)

 1207年成立の最勝四天王院障子和歌では、俊成女が「住吉浜」の歌として、以下の和歌を作歌。
あはちしま-みとりにまかふ-すみよしの-かすみのなみに-はるのふなひと(日文研の和歌データベースより)


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