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古典の季節表現 秋 菊の宴、菊合

2021年09月09日 | 日本古典文学-秋

弘安七年九月九日、三首歌講せられける時、菊花宴久と云ことを 亀山院御製 
千とせまてかはらぬ秋はめくりきてうつろはぬ世のきくの杯 
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

寛平御時の菊合(きくあはせ)の歌
 左方。占手(うらて)の菊は、殿上童こたてぎみを女につくりて花におもてかくさせて持たせたり。いま九本はすはまをつくりてうゑたり。そのすはまのさまはおもひやるべし。おもしろきところどころの名(な)をつけつゝ菊には短册(たざく)にて結(ゆ)ひつけたり。
占手 やまざきのみなせの菊
うちつけにみなせはにほひまされるはをりひとからかはなのつねかも
   嵯峨のおほさはのいけ これよりはすはま 友則
ひともとゝおもひしものをおほさはのいけのそこにもたれかうゑけむ
   紫野の菊
名にしおへば花さへにほふむらさきのひともと菊における初霜
   おほゐの戸無瀬の菊 しろがねをよりて滝におとしたり。いとたかくよりおつれどこゑもせず。
たきつせはただけふばかりおとなせそきくひとはなにおもひもぞます
   津の国の田蓑の島 すはまにうゑたる菊のしたに女そでを笠(かさ)に着て貝ひろふかたしたり。
田蓑(たみの)ともいまはもとめじたちかへり花のしづくにぬれむとおもへば
   奈良の佐保川の菊
ちどりゆゑ佐保の川べを求(と)め来(く)ればみなそこ霧(き)りてさける花かも
   和泉のふけひの浦
けふけふと霜おきまさるふゆたゝば花うつろふとうらみにゆかむ
   紀の国の吹上(ふきあげ)の浜の菊 菅丞相
あきかぜのふきあげにたけるしらぎくは花かあらぬか波のよするか
   伊勢の網代の浜
いそにさくあじろの小菊(をぎく)しほかひは玉(たま)とぞ求(と)めむ波のしたくさ
   逢坂の関の菊
この花に花つきぬらし関川(せきかは)のたえずも見よと折(を)れる菊の枝(え)
 右方。(略)
(内裏菊合~「平安朝歌合大成①」)

皇后宮の女房、菊合し侍りけるに、紫檀の長櫃に白き砂子を敷きて、色々に匂ひたる菊植ゑ渡し、隅々に立て石、洲浜などのさまして、鶴の形(かた)を作りて、黄なる薄様に葦手に書きて食はせける よみ人知らずうたた寝の宮
菊の露落つる水際(みぎは)に棲むたづはいとどよはひぞ久しかるべき
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

小松内大臣家に菊合し侍けるに、人にかはりて読侍ける 建礼門院右京大夫 
うつしうふる宿のあるしも此花もともに老せぬ秋そかさねん 
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)