monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

大手拓次「四月の風」

2020年04月03日 | 読書日記

 四月の風

ほのぐらい丁子の葉かげをもれてくる風のやはらかさは
恋人の夜(よる)の息(いき)のやうにやさしく
わたしのほほをかるくなでてはたはむれる。
そのにほひはあまく、
そのこゑはさわやかに、
うぐひすの黄色い胸毛(むなげ)のやうになまぬるい。

(『《限定版》大手拓次全集 第一巻』(白鳳社、昭和45年)より)