□内田樹『下流志向 学ばない子供たち、働かない若者たち』(講談社、二〇〇七)
ここ数年喧しい格差社会論、学力低下問題、ニート問題を要領よくまとめてある。最近の子供たちは自我をまず消費主体として確立するため、自分にとって経済的合理性が不明確な(つまり、カネになるのかどうかよくわからないような)勉強や学校的秩序の強制を全力で拒んでいる。それは子供なりに非常に筋の通った行動であり、それゆえ問題の根は深い――というのは納得。主要な生活用品や電化製品などが隅々まで行き渡ってしまった九〇年代以降の日本では、企業は子供にまである一定の欲望の形(つまり、カネがあれば消費社会の王様として自分の欲望を満たすことができる)を植え付け、消費社会のブロイラーとして養殖している(これは八〇年代には若い女性に対しておこなわれ、その作業はすでに完了している)。モノであれ情報であれ、消費するという快楽しか知らないというのは、ホモ=ファーベル的な人間観からは明らかに人間として退化しているということになる。
□内田樹『狼少年のパラドクス ウチダ式教育再生論』(朝日新聞社、二〇〇七)
ブログに書いた文章をまとめたものだそうだが、まあ、ネットで読むメモ書きとしてなら十分面白いが、プロの物書きがこういうものに値段をつけて売ってはいけないのではないだろうか。
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