ちょうど法科大学院が議論されていた時期は,規制緩和も盛んなりし頃で,事前調整型行政から,事後審査型行政へ,とか何とか言われて,設置基準を満たせば,定員と司法試験合格者の関係や,教育内容の詳細にかかわらず,設置が許可されたという経緯がある。
その結果,司法試験合格予定者の2倍以上の定員の法科大学院が設置され,最初のうちこそ,社会人などにも門戸を広げて,人気となった。
しかし,3回制限を置いても,合格率が下手をすると20%台になることは,当初から予想されていたことであり,一部では,激烈な競争となることが,初めから予想されていた。
しかし,旧司法試験では,合格者を出せなかった大学でも,新司法試験であれば,それなりに合格者を出せるのではないかとの期待から,各大学とも,法学部の存続を掛ける意味もあって,法科大学院の設置に乗り出したというのが実情と感じられた。
この背景には,法科大学院の設置が,司法制度改革の絡みで短期間で決定され,その教育内容も,これといって決まったものが定められなかったということもあるようだ。
そして,現実は,旧帝大系や司法試験の有名校でも合格率60%台である(ただ,噂では,3回で大体合格するらしい)一方で,1桁前半の合格者しか出せない法科大学院が続出するという結果となった。
これでは,危険が大きくて,法科大学院への進学希望が減ることは当然である。
弱小の法科大学院が廃校となるのは仕方がないとしても,法科大学院を志望する人材が減少し,能力のある人材が法科大学院を志望しなくなることが大問題である。
記事にあるように,まさに三権の危機ともいえる。
ただ,これを穿って考えれば,これによって司法を弱体化させ,我が物顔に振る舞いたいとする,何らかの勢力が,ここまで読み切った上で,このような制度を制定したとも考えられなくはない。
今のうちに,司法の再強化を図る方策を模索する必要がありそうだ。
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