前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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福井県議会一般質問。福井県の原発・新幹線政策の行き詰まり。杉本知事は老朽原発運転延長に歯止めをかけないのか。新幹線開業に9割の県民が懸念・課題を感じている。給食代、なぜ値上げか❢

2023年05月06日 | 福井県政

2023年2月17日に行われた日本共産党 佐藤正雄議員の一般質問、理事者答弁です。

◯28番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
 福井県の重要な政策の柱である原発推進と北陸新幹線の敦賀以西延伸について、大きな行き詰まりに直面しております。原発は福島原発事故を受けての原発低減政策から、老朽原発の60年以上の酷使と廃炉原発の建て替えに、岸田政権はかじを切りました。しかし、本州で再稼働している原発は福井県の関西電力原発のみであり、政府の老朽原発を酷使する場面は福井県で押しつけられてまいります。しかも原発推進、とりわけ老朽原発を40年、50年、60年、70年以上と使い倒すことは原子力災害につながりかねません。また、使用済燃料の行方も不透明です。福井県もこのまま増え続ける核のごみの最終処分地の協議対象となり得るとの基本方針を、政府は取りまとめました。
 また、北陸新幹線敦賀以西への延伸は、関西地域住民の間に、期待よりも大量の残土や環境破壊への懸念のほうが大きく、環境アセスの受入れ拒否があります。国交省は、全工事区間においてアセスが完了しないと工事に着手できないとの見解です。
 こうした中、京都府の自民党の西田参議院議員が、京都駅を地下としていた新幹線駅を付近の地上駅とし、京都府中部にも新しい駅を造る案を出しました。石川県の自民党の福村県会議員は、現行のルートから費用対効果の大きい米原ルートへの変更を公言いたしました。この間の敦賀開業延期と大幅な事業費負担増とともに、福井県にとっては、前門の虎後門の狼とも言える状況です。
 このように、福井県の大きな政策の柱である原発と新幹線の双方が行き詰まりに直面しています。どうする福井県、と問われております。
 二つの行き詰まりに共通する問題は、国民・住民との間に政策推進の合意がないままに、国や自治体が強引に進めようとすればうまく進まないということです。原発で言えば、環境破壊や重大事故のリスクと住民避難、核のごみ問題、新幹線では環境やローカル線問題、財政問題などが挙げられるでしょう。
 そこで、具体的に質問いたします。
 知事は関西電力の原発3基について、国内初の40年超、60年間運転を了承しました。しかし、閣議決定された内容では、関西電力の原発7基について60年超運転が相次ぎ行われかねない、つまり福井県が老朽原発の実験場となりかねない事態となります。
 原子力規制委員の中でも異論が出され、異例の多数決で決められる事態なのに、閣議決定を強行したやり方も問題です。規制委員会の委員の一人は、安全な改変ではないと60年超運転に反対したのです。政府の法案提出スケジュールに規制委員会が日程を合わせたのも、推進と規制の分離の原則からの重大な逸脱です。
 資源エネルギー庁の山田調整官が櫻本副知事との面談で、「運転サイクルや定期点検については経済性を優先するため、安全確認を簡素化するのではない。リスク情報の蓄積・評価による重点検査対象の設定など、科学的・合理的に検査の在り方を見直し、より精緻化していく」と述べました。しかし、当初設計計画された年数を数十年も超えて原発を利用することや定期検査の合理化などは、結果的に関西電力に巨大な利益をもたらすことになります。美浜3号機での11名死傷事故も、その背景には定期検査合理化など、関西電力の利益至上主義があったことは明らかです。
 このような原発のさらなる運転延長に、県民合意は形成されていないと思いますが、県民合意についての知事の見解をお尋ねするとともに、知事として歯止めをかけるのか、かけないのか、かけないのならその理由を、かけるのなら具体的手法をお尋ねいたします。
 さて、新幹線敦賀開業に関して、福井新聞でも9割もの県民が懸念や課題があるとの調査結果が報道されました。とりわけ関西・中京との直通特急がなくなることへの懸念が強いわけで、こうした県民意識は県庁も私ども県議会も把握し、一部の特急存続などを求めてきた経緯があります。それがかなわない現状がありますが、9割もの県民の不安に背を向けたまま、ひたすら新幹線開業キャンペーンをあおるだけでは、極めて無責任ではありませんか。私は特急車両をハピラインが借用するなどして、乗客を乗せたまま何本か運行し、現在の直通特急の利便性確保を提案しております。しかし県は、敦賀発着の快速運行で代用しようとしております。
 知事は、マスコミ調査に現れている新幹線敦賀開業への県民が抱く大きな懸念や課題をどう受け止めているのか、そして現在計画されている対策以上のことをやるべきと思いますが、見解をお尋ねいたします。

 次に、異常な物価高にふさわしい県民生活応援について、質問いたします。
 今、街を歩けば空前の物価高の下で市民があえいでいます。あるお宅では、これまで家族で月に10万円で生活できたが、さらに4~5万円余計にかかるようになったとお聞きしました。長年自営業を御夫婦で営み、真面目に国民健康保険税や国民年金保険料などを払ってこられたお宅では、年金も下がり、今年は相談して節約のためにこたつを出さないことにした、夜も部屋の電気をつけないとお話しされました。真面目に働いてこられた老後に、あまりに辛い仕打ちと言わなければなりません。
 世界では100か国で消費税に当たる税金の減税が行われております。イギリス、ドイツなど先進国では年金の支給額は引き上げられている中で、岸田政権の、消費税は減税しないまま年金を下げる、高齢者の医療費負担を増やすという政策は、あまりに無慈悲なもので怒りに震えます。
 国が国民に冷たい仕打ちを繰り出している中で、県民生活を守る福井県の役割はますます大きくなり、県政の姿勢が問われます。しかし、新幹線関連などに300億円をつぎ込むと豪語する当初予算案ですが、県民一人一人への生活支援は不十分であり、さらに強めることが必要ではありませんか。


 そこで、幾つか具体的に提案と質問を行います。
 私は12月議会で、全国、県内で広がる学校給食費無償化の流れを受け、県としても支援すべきと提案し、また、少なくとも県立学校の給食費の値上げは行わないよう強く求めました。しかし、さきの全員協議会での質疑では、無慈悲にも県立学校の給食費の値上げが回答され、残念でなりません。様々な子育て応援に杉本県政は取り組んでいる中、なぜ給食費をわざわざ値上げするのですか。給食費を値上げする学校種別と値上げの総額をお尋ねするとともに、県の巨額の予算の中でここを配慮しなかった理由をお尋ねいたします。

 ところで、74歳までの高齢者の多くが国民健康保険に加入しています。新年度の国民健康保険の標準保険料の算定では、今年度よりも全体として4.6%の増加となります。福井市では5%、池田町では12.3%もの増加です。さらに、国のいわゆる激変緩和措置も来年度までとなり、今後はさらに深刻な国保の大増税が高齢者世帯を襲いかねません。
 そこでお尋ねいたします。仮に新年度の標準保険料を据置きとした場合の財源は幾ら必要となるのか、国の激変緩和措置がなくなった場合、1世帯平均幾ら負担が増えるのか、お尋ねするとともに、今でも協会けんぽの2倍と言われる重い負担を軽減するために、県として独自の措置を講じるべきではありませんか、お尋ねをいたします。
 また、新型コロナの影響で収入が3割以上急減した場合に、国民健康保険税のコロナの特例減免があります。ところが、これが前年度の収入と比較するために、もともと下がっている収入からさらに3割以上も減らないと特例減免の対象とならないなどの制度の不備があり、収入が減少したものの、世帯の国民健康保険税が特例減免の対象とならない問題が指摘されております。
 そこで、令和元年度から4年度のコロナ特例減免の世帯数と減免額の推移をお尋ねするとともに、制度の不備をカバーする、福井県としての支援策をお尋ねいたします。

 今、電気代をはじめ、光熱水費の負担が医療機関や介護事業所経営を圧迫し、このままでは事業継続すら困難になりかねないとの悲鳴が聞こえております。県は医療機関などに、一部を除く市町が介護事業者に支援を行っていますし、行う計画です。代表質問への答弁では、今後の状況を踏まえ新たな支援も検討するとのことでした。
 そこでお尋ねいたします。今、福井県や福井市などが行っている医療機関や介護事業所への物価高騰対策支援金の事業について、サンプルの調査で構いませんが、医療機関、介護事業所の物価高騰での負担が増えた分をどの程度カバーできているとの認識なのかお尋ねをするとともに、この実態を踏まえて、さらなる必要な支援策をどう考えるのか、答弁を求めます。

 さて、杉本知事は経済界に対して賃上げを要請しました。そこで、足元の職員の給与と待遇について、改善を提案します。
 臨時的任用の教職員は、約10年間働くと頭打ちで給与が上がらないとお聞きしました。単純計算ならほかの県と比べても、10年以上の勤続の職員で月2万円前後低くなっているのではないでしょうか。臨時的任用の教職員の給与制度を見直し、臨時教職員であっても10年で頭打ちではなく、給与が上がっていくよう制度を変えるべきではありませんか、お尋ねをいたします。

 また、今、公務員といえども、専門職などにも成り手不足の状況が顕著になっています。大学のときの数百万円もの奨学金の返済支援なども、一つの人材確保策ではないかと思います。昨日の本会議でも奨学金返還支援の提案がありました。福井大学でも以前とさま変わりをして、4割程度は教員に志願しないとか、県内の進学校でも教員志望の生徒は数%しかいないという実態があるとお聞きをいたします。
 現時点ではまだ公務員の成り手がいるものの、本当に行き詰まってしまってから対策を考えるのでは遅いわけです。平たく言えば、県庁に人材が集まらないと福井県の未来は暗くなり、教職に人材が集まらないと子どもの成長を保証できなくなる懸念があります。
 県職員を採用する手段として、他県でも始めている奨学金返還支援制度を県庁の専門職や教員などに設けてはどうか、それぞれお尋ねをいたします。
 なお、昨日の答弁では、公務員に対しては特別交付税措置の対象にならないので、他県の状況も見るとの答弁です。しかし、奨学金返還支援をやっている県があるではありませんか。やっていない県と横並びではなく、福井県が先進的に奨学金返還支援を応援する姿勢を示すべきではありませんか、答弁を求めます。

 ところで、教員の勤務実態について、昨年、国による延べ3か月にわたる労働時間の抽出調査が行われ、県としても独自の調査を行ったとお聞きをいたします。
 そこで、教員の勤務実態に関する県の独自調査は集計されていると思いますが、その特徴とそれを踏まえた今後の県の取組の方向性について、お尋ねいたします。

 最後の質問です。
 私は伯父が戦死しており、子どもの頃から祖父、祖母が大変な悲しみだったと聞いて育ちました。そういうこともあり、18歳の大学1年生のときに、かつての戦争に反対した唯一の政党としての日本共産党に共感して入党したいきさつがあります。今年で入党46年目を迎えます。
 それだけに、今、岸田政権が5年間で43兆円という空前の大軍拡を行い、他国を攻撃する軍事力を持ち、核兵器保有国であるロシアやインドなどを抜いてアメリカ、中国に次ぐ世界第3位の軍事大国になろうとしていることに、強い危機感を持つものです。
 他国の攻撃から日本国土を防衛する専守防衛の考え方から大転換し、安保法制、集団的自衛権により、日本国内の武力攻撃がなくても情勢判断でアメリカ軍と共に戦端を開くことになります。
 財源のためには、さらなる大増税や禁を犯しての国債増発なども議論されています。戦闘機やミサイルなどは道路とか橋梁、新幹線などと違い、数十年、あるいは五、六十年のようなスケールで財政を考えるものではなく、破壊される可能性があるわけであります。国債発行により調達することは不適切であるとの長年の政府の矜持すら失う議論です。もちろん大増税も許されません。著名な芸能人であるタモリさんが、「新しい戦前」と表現して話題になりましたが、戦後から戦前への大転換への懸念がにじみ出ております。
 かつての日本軍国主義の戦争でも、アメリカのイラク戦争でも、ロシアによるウクライナ侵略戦争でも、一旦戦争が始まってしまうとなかなか終わらない、双方に甚大な被害が出ることを私たちはよく知っています。それだけに、戦争への火種は早く消さなくてはなりません。
 とりわけ福井県には、廃止中も含め、15基もの原子力発電所が海岸線に並んでいます。杉本知事はミサイルを迎撃し、原発の安全を確保することなどを主張しますが、例えば100発のミサイルを全て迎撃できるわけではありません。1発でも原子力発電所を直撃すれば、福井県や関西地域は深刻な放射能汚染の危機であります。原発が日本一集中する福井県だからこそ、何としても戦争にしない話合い、外交を国に強く求めなければなりません。
 15基もの原発を抱える県の知事として、岸田政権の世界第3位の軍事大国化を目指す未曽有の大軍拡路線、専守防衛を投げ捨て他国へ先制攻撃する計画は報復攻撃を呼び込むものであり、きっぱり反対すべきではありませんか、見解を求め、質問を終わります。

◯議長(大森哲男君) 知事杉本君。
     〔知事杉本達治君登壇〕

◯知事(杉本達治君) 佐藤議員の一般質問にお答えを申し上げます。
 まず、原子力発電所のさらなる運転延長に対する県民合意と歯止めをかけることについて、お答えを申し上げます。
 今回のGX実現に向けた基本方針の中では、原子力発電所の運転期間は最長まず40年とした上で、延長する場合でもその期間は20年、一定の停止期間に限って追加的な延長を認めるとしているところでございます。
 一方で、高経年化いたしました原子力発電所の安全規制につきましては、規制委員会が運転開始後30年以降、最長10年ごとに、より規制を厳しくした審査をして認可をする新たな規制が実施されるということでございまして、地元の安全・安心に資するものと考えているところでございます。
 一方で、こうした運転期間の延長の考え方とその間の安全の確保については別々に議論が行われているという状況で分かりにくいことから、私は資源エネルギー調査会におきまして、さらに県としても県の原子力環境安全管理協議会などで、国に対して常に説明を求めているところでございまして、国におきましては、現在提案されている法案の審議、こういったような場を用いてさらに議論を深めていただき、県民、国民に対して十分な説明を求めていきたいと考えているところでございます。
 県といたしましては、新たな制度になった場合におきましても、節目節目で国や事業者から説明を受ける、そして本県の原子力行政三原則──まずは安全を第一、そして地元の理解と同意、さらに、その上で地域の恒久的福祉の実現、こうした原子力行政の三原則に基づきまして、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
 続きまして、北陸新幹線の敦賀開業への県民が抱く懸念や、課題に対する受け止めと対策について、お答えを申し上げます。
 御指摘をいただきました福井新聞のアンケートでは、懸念があるとか、もしくは気がかりな点、さらに課題があると回答した方が9割に上っていると認識をいたしておりまして、特に関西・中京とのアクセスに関する意見が多かったというふうに認識をいたしております。
 特に重要となりますのは、敦賀駅の乗換えの利便性の確保ということだと認識しております。そのためにはまず、新幹線と在来線の特急の双方の十分な本数を確保するということ、そして、敦賀駅でスムーズに乗り換えられるようなダイヤの編成をする、こういった点が一番大きいと考えておりますので、常にJR西日本に対して、この点を強く求めているところでございます。
 また、ハピラインにつきましても、快速の運行であるとか増便、さらには特急等、敦賀駅でハピラインから乗り換えなければいけませんので、そうしたJRとの乗換えといったことの接続の部分も考えまして、県民にとって利便性を最大限、高めていきたいと考えているところでございます。
 さらに、敦賀駅では、上下の利便性を考えるために上下の乗換え方式ということを採用しておりますし、また、これまでの既存の駅に比べても、例えば改札機であるとかエスカレーターは、もう十分に充実されているという状況でございます。
 そういうことで、こういった点をまだお知りでない方も多いように感じておりますので、鉄道運輸機構、それからJRにはこういったことのPRをしっかりとしていただく、また、県としても広報に努めながら、県民の皆さんの懸念の払拭に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 続きまして、岸田政権が決定した防衛力の抜本的強化に対する県の見解について、お答えを申し上げます。
 国家の防衛につきましては、まずは外交ルートを通じて、あらゆる手段を尽くして武力攻撃を避ける、未然に防ぐということが第一であると考えているところでございます。
 さらに万が一の事態に備えて、国土や国民の命を守るということは、国の大きな責務であると認識をいたしている次第でございます。
 昨年の12月に策定されました国家安全保障戦略におきまして、国は現下の安全保障環境を踏まえ、防衛力の抜本的な強化を速やかに実現していく必要があり、その財源についてはしっかりした措置を講じるとしているところでございますし、また反撃能力につきましては、憲法および国際法の範囲内で、専守防衛の考え方を変更するものではないとしているところでございます。
 いずれにいたしましても、具体的な外交であるとか国防の中身につきましては、まさに国の専管事項でございまして、国が責任を持って取り組むべき事柄であると考えておりまして、県として見解を述べる立場にはないというふうに考えているところでございます。
 そのほかにつきましては、担当より御答弁を申し上げます。

◯議長(大森哲男君) 総務部長鷲頭君。
     〔総務部長鷲頭美央君登壇〕

◯総務部長(鷲頭美央君) 私からは、県庁専門職向けの奨学金返還支援制度の新設について、お答えをいたします。
 県では、採用に困難を来している専門職の採用につきましては、これまでも募集日程や試験方法、募集の方法を工夫するなどの取組を行いながら、採用確保に努めてきたところでございます。今年度からは、特に採用困難職種であります獣医師につきまして、採用の確保をさらに促進するため、県職員として業務に従事することを目指す学生を対象といたしました修学資金給付制度を創設いたしまして、既に活用も始まっているところでございます。
 今後の本制度における対象を、他の専門職種に拡大していくことにつきましては、今年度から始まりましたこの制度の実績とその効果を検証いたしまして、また、国の動向や、実施あるいは実施を検討している他県での実績・実情や効果も注視しながら検討してまいりたいというふうに考えております。
 あわせて今年度、若手・中堅職員を中心といたしました採用強化チームを設置しまして、採用困難となっている専門職も含め、県庁の志願者を増やす方策を議論しておりまして、大学へのリクルート活動ですとか学生と1対1の面談など、学生へのアプローチを強化いたしまして、県職員の魅力を伝える取組も引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

◯議長(大森哲男君) 健康福祉部長服部君。
     〔健康福祉部長服部和恵君登壇〕

◯健康福祉部長(服部和恵君) 私からは、異常な物価高にふさわしい県民生活応援につきまして3点、お答えを申し上げさせていただきます。
 まず最初に、国民健康保険の標準保険料据置きに必要な額、激変緩和措置がない場合の負担および県独自の支援策について、お答えを申し上げます。
 令和5年度の標準保険料の算定におきまして、仮に令和4年度と同等の金額に据え置くとした場合、標準保険料の11万4,433円から令和5年度の11万9,752円との差額5,319円を抑えるためには、約6.8億円の財源が必要となります。
 また、平成30年から国保の制度改革が始まったことによりまして始まりました国からの激変緩和措置としまして、本県に対しましては来年度に、約3,750万円が交付される予定でございます。仮にこの財源がないと仮定しますと、1人当たり約293円、1世帯当たりでは約451円の標準保険料の上昇となります。
 負担が重いとの御指摘がございましたが、所得が低い世帯に対しましては、所得に応じて均等割や平等割を7割、5割、2割軽減する制度が設けられているほか、子どもの数が多い世帯に対してはこの軽減に加えて、未就学児を対象に均等割を5割軽減する制度が今年度から導入されたところでございます。
 県としては、子どもの多い世帯の負担軽減のため、子どもの均等割軽減措置の対象範囲、それから軽減割合の拡充につきまして、引き続き、国に対して要望してまいりたいと考えております。
 続きまして、国民健康保険税のコロナ特例減免世帯数、減免額の推移および県としての支援策について、お答えを申し上げます。
 新型コロナウイルスの影響により収入が減少した方を対象とした特例減免は、県内全体で、数字を申し上げさせていただきます。令和元年度が872世帯で約2,095万円、令和2年度が1,110世帯で約2億1,116万円、令和3年度が247世帯で約4,095万円、そして令和4年度が63世帯で約1,003万円、令和4年度は12月末現在の数字でございます。
 新型コロナウイルスの影響が大きかった令和2年度をピークに、年々減免対象の世帯や減免額が減少しているという状況でございます。継続して所得が減少していても、前年の3割以上の所得減とならなかった場合はコロナ特例減免の対象とはならないということでございますが、例えば所得が43万円以下の場合には、先ほど申し上げたとおり、国民健康保険税が7割軽減されるなどの制度がございまして、コロナの影響の有無にかかわらず一定の負担の軽減措置を図られているというところでございます。
 今後は新型コロナウイルスが感染症法上、5類の感染症に位置づけられることを踏まえまして、新型コロナウイルスの影響を注視し、必要に応じて国への減免制度の継続などの要望を検討してまいりたいと考えております。
 最後に、医療機関や介護事業所への物価高騰対策支援について、お答えを申し上げます。
 医療機関については、病院などで1床当たり年間約10万円、無床の診療所等では1施設当たり年間約24万円の電気料金が上昇しております。本県では、病院1床当たり5万円、無床の診療所では12万円を支給することとしておりまして、上昇分の半分を補填しているということになります。特にこの1床当たり5万円というところでは、1床当たり4万円以下が多い中で、全国トップクラスの支援を行っているところでございます。
 また、介護事業所につきましては、定員90人の大規模な入居施設から聞きましたところ、年間で電気代が最も高くなるのが1月でございまして、今年1月の請求分が、昨年に比べて約40万円程度増加しているということでございます。これに対し、福井市では90万円の支援がありまして、現段階では一定の負担軽減につながっているというところでございますが、電気料金が高い水準で推移した場合には、経営負担は増すと考えております。
 国は、今月の請求分から電気料金の軽減策を講じるために、一旦、負担は抑えられるというところでございますが、4月にはさらなる値上げも予定されていることから、今後も国の動向、現場の状況の把握に努めまして、状況に応じた対策を検討し、また、国にもさらなる支援を求めてまいりたいと考えております。

◯議長(大森哲男君) 教育委員会教育長豊北君。
     〔教育委員会教育長豊北欽一君登壇〕

◯教育委員会教育長(豊北欽一君) 私から4点、お答えさせていただきます。
 まず、給食費を値上げする学校種別と総額、県の予算における配慮等について、お答えいたします。
 給食の食材費については、その質と量が確保できるよう、提供する学校と保護者との間で協議して決定されるものでございます。
 県立学校のうち、令和5年4月からの食材費を引き上げるのは、特別支援学校9校──清水特支と福井東特支は除きます。そこは外部委託しておりますし、値上げするとは聞いておりません。特別支援学校9校で、1人1食当たり25円と聞いております。これは平成26年4月以来9年ぶりの引上げでありまして、引上げ総額は年間約380万円になると考えております。
 一方、特別支援学校に通う児童生徒の世帯のうち、9割近くが就学奨励費の支援対象であります。就学奨励費というのは、例えば修学旅行や学用品購入とか、あるいはオンライン学習通信費など、幅広く支援しているものでございますが、この食材費等に対しましても、全額または半額の支援を受けることになります。県では、食材費の引上げ分についても就学奨励費を増額します。その増額金額は、先ほど全体で380万円と申し上げましたけれども、280万円増額いたしまして、対象世帯を支援いたします。
 次に、臨時的任用教職員の給与制度の見直しについてでございます。
 臨時的任用の教職員の給与につきましては、令和2年度の会計年度任用職員制度の導入を契機といたしまして、処遇改善を進めてきております。知事部局の見直しに合わせまして、ここ2年続けて、最高号給の引上げを行っているところでございます。
 学校現場には、臨時的任用として長年勤め、経験豊かで確かな指導力を持つ講師等もいるため、経験年数をできるだけ給与に反映していけるよう、今後も引き続き処遇の改善に努め、必要な人員の確保につなげてまいります。
 3点目は、教員を対象とした奨学金返還支援制度を設けることについて、お答えいたします。
 現在、山梨県が小学校教諭の志願者倍率が著しく低いこともありまして、人数を限定して奨学金返還支援制度を導入しております。本県の教員志願倍率は全国中位でありまして、奨学金返還支援制度を導入するほどの厳しい状況ではないと考えております。今後、全国的な状況を見ながら検討してまいりたいと考えております。
 最後は、県独自に実施した勤務実態調査の結果と、その内容についてでございます。
 今回の調査は、今年度国が実施した調査内容を基に、比較的中規模校を抽出しまして、小学校9校、中学校9校、高等学校3校で実施いたしました。
 平日における時間帯ごとの主な業務内容や各校での取組状況について、調査をいたしました。その結果、勤務時間外に従事している業務は、授業準備や成績処理、文書作成などの事務処理作業でありまして、ICT担当や若手教員に長時間勤務となる傾向も見られました。また、学校の縮減に向けた取組といたしましては、行事の見直しや会議資料のペーパーレス化、クラウドでの教材共有などを積極的に進めている状況も分かりました。
 こういった結果を基に踏まえまして、今、市町教育長会とか校長会、PTA連合会などの代表者との検討会で協議している段階でございまして、その中では、子どもの自主性をもっと育て、教員が手をかけ過ぎないことが大事であるとか、学校の校務全般にわたってDXを推進していくことが必要であるなど、様々な意見が出ておりまして、次年度に向けた取組を整理しているところでございます。

◯議長(大森哲男君) 佐藤君。

◯28番(佐藤正雄君) 今の教育長の答弁にもありましたように、給食費の引上げ額は年間380万円というお話でした。ですから、県の予算規模から見れば、これぐらいのことは見ることができない額ではないわけで、その辺はぜひ配慮してほしかったと思いますし、今からでも配慮できることなら配慮していただきたいということで、要望はしておきます。
 それで再質問ですけれども、知事は結局、閣議決定された内容には反対しない、老朽原発を使い倒していくという岸田政権の方針に反対しないというお考えのようです。
 それでお尋ねしますが、先ほどの質問にもあったんですが、資源エネルギー庁の山田調整官が来られたときに、一般質問で今紹介した部分以外のところでもこうおっしゃっているんですね。使用済燃料対策については貯蔵能力の拡大を図る、全国の発電所における乾式貯蔵施設の建設に向けて、事業者と連携して安全審査等への対応を着実に進めていくということで、先ほど乾式貯蔵のお話もありました。
 知事に確認ですけれども、こういう国の方向、要するに事業者と相談してその敷地内での乾式貯蔵の対応というようなことも含めて、福井県としては、これからどんどん原発が長期間運転していけば、それだけ使用済核燃料が増えていくのは当たり前ですので、その持っていき場として、すぐにどこかへ持っていけるわけではありませんから、乾式貯蔵というのも選択肢としてセットでお考えなるのかというのは、知事に1点、確認させていただきます。
 それから健康福祉部長ですが……

◯議長(大森哲男君) 時間がございませんので、簡潔にお願いします。

◯28番(佐藤正雄君) (続)はい。コロナのことで、令和2年度1,110件、令和4年度63件と、実際それだけ減っているのは事実なんですよ。これはやはり3割減収というハードルがあると思うんですよ。そこをどうカバーするのかという質問です、もう一度お願いします。

◯議長(大森哲男君) 答弁、1分間でございます。
 知事杉本君。
     〔知事杉本達治君登壇〕

◯知事(杉本達治君) 佐藤議員の再質問にお答えを申し上げます。
 敷地内における乾式貯蔵につきましては、福井県は今、使用済み燃料、県外に出していくということについて、国や関西電力に求め、それに対して期限を定めて計画地点を確定するということの手続を踏んでおりますし、また、乾式貯蔵についての話があるわけでございませんので、そうした観点について、私からお答え申し上げることはございません。
     〔佐藤議員「この間、山田調整官が説明しているから……」との発言あり〕

◯議長(大森哲男君) 健康福祉部長服部君。時間がございません。
     〔健康福祉部長服部和恵君登壇〕

◯健康福祉部長(服部和恵君) 今回のコロナの特例減免制度でございますけれども、緊急対策として行われているということで、やはりどうしても継続的にということは難しい制度になっていると考えます。
 一方で、所得が例えばゼロになってしまうような方につきましては、私どもでは、生活困窮者の安心サポートというような形で、福祉の窓口でしっかりと御相談に応じまして、生活の立て直し、就労の促進といったことを応援してまいると、こっちのほうを頑張っていきたいと考えております。

◯議長(大森哲男君) 以上で、佐藤君の質問を終了いたしました。