goo blog サービス終了のお知らせ 

水の丘交通公園

鉄道メインの乗り物図鑑です。
※禁無断転載!使用に際してはコメント欄にて
用途を申告してください。

名古屋鉄道 モ510形電車

2009-08-09 22:46:49 | 保存車・博物館
名鉄名古屋本線の笠松~名鉄岐阜間と美濃町線の前身であった美濃電気軌道が
初めての半鋼製電車セミボ510形として登場した車両である。
大正15年に5両が製造された。

旧称号の「セミボ」は「セミスチール(=外板とフレームが鋼鉄製で内装は木造。
半鋼製とも)」+「ボギー車(=車体の前後に2軸台車を配したもの)」を合わせたものである。

車体は先述のとおり、半鋼製車体で正面は半円形の5枚窓となっている。
また、側面窓のうち戸袋の窓は楕円形のものを採用した。
このスタイルは大正期から昭和初期にかけて流行したスタイルである。
塗装は製造時がダークグリーン、戦後はクリームとダークグリーンである。
車内はロングシートでドアは車体前後に1箇所ずつの片側2箇所で片引き戸である。

主制御装置は抵抗制御の直接制御で、主要機器はイングリッシュ・エレクトリック
社のものを搭載していた。
台車はブリル製のものをコピーした釣り合い梁式台車を採用し、駆動方式は
吊り掛け駆動である。
ブレーキは空気自動ブレーキである。
集電装置はトロリーポールを使用していたが、戦後、ビューゲルに交換された。

当初は現在の名鉄名古屋本線の一部である笠松~新岐阜間で使用されていたが、
美濃電気軌道が名岐鉄道に買収された際、美濃町線に転属している。
その後、名岐鉄道は愛知電機鉄道と合併して名古屋鉄道が発足し、
モ510形に改称された。

昭和42年に揖斐線と岐阜市内線との直通列車の運転開始のため、転用されることになった。
この当時ですでに製造後40年以上を経ていたが、揖斐線の高床式ホームに対応でき、
路面電車区間も走れる車両が本形式(とモ520形)しかなく、抜擢されたものである。

この際、更新改造が行われ、自動ドア連動のドアステップ設置、ブレーキの改修、
座席の転換クロスシート化(1:2配置)、塗装のスカーレットとホワイトの
ツートン化(後にスカーレット単色化)、主制御装置の間接非自動制御化と
総括制御対応化、連結器交換などである。
昭和47年以降もヘッドライトの交換、車内放送装置の設置、窓枠のアルミサッシ化
などの改修を受けている。

連結運転は同様の改造を受けたモ520形を相方に揖斐線内だけで行い、
岐阜市内線では続行運転をしていたが、昭和50年より岐阜市内線でも
連結運転を実施するようになった。
名鉄の600V区間では旧型車両を多く運転されていたが、大正生まれの本形式が
主力車両として岐阜の繁華街を走り抜ける様は名鉄の名物の一つであった。
また、揖斐線内の急行では、年齢の高い車両にもかかわらず、65km/hという
高速運転を行っていた。

しかし、昭和50年代後半になると老朽化と冷房が無いなどのサービス面の問題から、
置き換えが開始され、昭和62年の770形の登場でモ511とモ515が廃車となった。
モ512~514の3両が残され、朝の旧型車3両のラッシュ運用などで活躍したほか、
車両数の関係で日中の運用にも就いた。
翌年、残った3両に対して鉄道友の会からエバーグリーン賞を贈られ、
この際、かつてのスカーレットとホワイトのツートンに復している。

平成9年にモ780形がデビューすると定期運用を失い、予備車になった。
路線縮小の煽りでモ512号が平成12年に廃車となった。
残りの2両も一線からは退いたものの、臨時列車や検査車両の代走などで
走行する機会はあった。
なお、この頃になると部品の確保は難しく、登場時の設計図を見ながら
パーツを複製したりして稼動状態をキープしていた。

平成16年に製造後77年になったのを記念して喜寿を祝うイベントを
名鉄岐阜工場で開催している。
しかし、この翌年、岐阜市内線、美濃町線をはじめとする岐阜600V線が全廃となり、
本形式も全車が廃車となった。

引退後はサイズが手ごろなのと特徴的なスタイルから、保存された車両が多い。
廃車となった順に紹介すると、まずモ515号が名古屋市内のイタリアンレストラン
「オールドスパゲティファクトリー名古屋店」にて車体のみが展示保存された。
台車や床下の機器は外され、車内も改装されているが、車内で食事をすることが
可能である。
モ512号は美濃駅跡にてモ600形、モ590形、870形前頭部と共に保存、
モ514号は谷汲駅跡にてモ755号と共に保存、
モ513号は岐阜市内の金公園で保存されている。


運転台。メーターはブレーキ弁のもので、速度計がなく、運転士の勘による
運転が必要であった。

美濃駅に展示されたモ512号。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。