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近畿日本鉄道 21000系電車 「アーバンライナーplus」

2009-11-20 21:55:40 | 電車図鑑・私鉄電車(関西)
一時、新幹線に利用客が大幅に流れ、運行続行不可能の危機に陥っていた
名阪甲(ノンストップ)特急であるが、昭和50年代初頭までの国鉄の相次ぐ値上げや
ストライキで徐々に利用客が戻ってきた。
これに対し、より攻めの姿勢で利用客を増やそうと計画されたのが本形式である。

昭和63年~平成2年までの間に6両編成×11本=66両、増結用の2両編成3本=6両の
72両が製造された。
最初の6両編成3本は真ん中の2両を運転室付きとして、これを引き抜いて4両編成
とすることも出来たが、利用客が大幅に増えたことにより、減車の必要が
なくなった。
このため、運転台の無い中間車2両を組み込んで6両貫通編成に変更された。
余った真ん中の2両(×3編成=6両)は増結用に活用されることになった。

車体は鋼鉄製で先頭車両は大胆かつ斬新な非貫通流線型となっている。
塗装は従来車とイメージを変え、クリスタルホワイトにオレンジの細帯が
入るものとした。
ドアは片側1~2箇所で全て折り戸、デッキ付となっている。

車内は私鉄では珍しい2クラス制を採用し、JRのグリーン車に相当する
「デラックスカー」と普通車に相当する「レギュラーカー」でそれぞれ異なる。

「デラックスカー」は1:2配置の回転リクライニングシートで、バックレストを
大きくして外観は異なるが、リクライニングすると座面がせり出す
近鉄独自の構造のものを踏襲している。
フットレストは2面回転式である。なお連結位置は名古屋側2両であった。
また、オーディオパネルを供え、音楽などを楽しむことが出来た。

「レギュラーカー」は2:2配置の回転リクライニングシートで、従来車並のもので
あったが、座席の前後間隔を広くとっている。
こちらにもフットレストが設けられている。

これらの内装は後に登場する車両のベースとなったほか、「スナックカー」や
「サニーカー」の車体更新車でも一部が採り入れられている。

主制御装置は抵抗制御で編成全体で出力を40%強化するため、全車が電動車と
なっている。
ブレーキは発電・抑速ブレーキ付き電磁直通ブレーキである。
台車は近鉄標準のシュリーレン式空気バネ台車を採用している。
運転台機器も足回りが従来とあまり変化が無いので、従来どおりの
ツーハンドルである。

登場以来、「アーバンライナー」として名阪ノンストップ特急に導入された。
利用客からは好評をもって迎えられ、一時は「アーバン現象」と呼ばれる程で、
その人気振りが伺える。
昭和63年にはグッドデザイン賞を受賞し、翌平成元年には鉄道友の会から
ブルーリボン賞を贈られている。
また、デラックスシートを有することから、平成に入ってからはお召し列車で
運行されることも多かった。

平成15年~17年にかけて内装の陳腐化が進んだことからリニューアル改造を
実施した。
主な内容はデラックスカーの1両化(名古屋側先頭車のみ)、座席の全面禁煙化、
喫煙ルームの設置、座席の交換、客室出入口上部への液晶モニター式
旅客案内装置設置、一部座席、及びトイレ、デッキの車椅子対応化と該当車両の
扉移設とプラグドア化、車内販売準備室廃止、塗装変更(クリスタルホワイト
+オレンジ帯に車体裾(床より下)をベージュ)などである。
性能面では特に変更は無いが、電気配線を見直され、パンタグラフを減らしている。
この際、交換された座席は後継の「アーバンライナーnext」で採用された
「ゆりかご」形と呼ばれるものでリクライニングすると腰部分と座面が沈んでいく
構造になっている。
シート配列はデラックス、レギュラーとも変化は無いが、デラックスシートの
ものは2人席でも肘掛の形状など、より独立性が高いものに変更された。
また読書灯がヘッドレストに設けられたほか、リクライニング機構は電動式と
なっている。
車両愛称も「アーバンライナーplus」に変更された。

現在も名阪ノンストップ特急の代表車種であるが、運用の都合上、京都線や
奈良線に乗り入れたり、賢島特急に使われることもある。
時刻表では「UL」のマークが入る。
デラックスシートは前後間隔こそ新幹線に劣るものの設備は同等以上で
低廉な料金もあり人気が高い。
特に2両あったデラックス車が1両だけになってからは、高い乗車率を誇っている。
原則、6両編成での運行であるが、混雑時は中間に2両つないで8両編成に
なることもある。


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