水の丘交通公園

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名古屋市交通局 5000形電車

2011-06-21 22:46:13 | 電車図鑑・地下鉄
名古屋で最初の地下鉄である東山線開業時からの電車の老朽化に伴う置き換えと
同線の冷房化のため、導入された車両である。
昭和55年~平成2年にかけて6両編成×23本=138両が製造された。
製造を担当したメーカーは日立製作所と日本車輛である。
編成の組み方と車種構成は藤が丘側から順に以下の通り。

5100形+5200形+5300形+5400形+5500形+5600形

5100形/5600形:制御車。エアコンプレッサー・静止型インバータ搭載。
5200形/5500形:中間電動車。主制御器搭載。
5300形/5400形:中間電動車。
5100形~5300形と5400形~5600形が3両1ユニットとなっており、それを背中合わせに
連結する構造となっている。
東山線の電車としては初めての冷房車となった。

車体はアルミ合金製で名古屋の地下鉄では初めて採用した。
本形式では6両固定編成での運用が前提となったため、正面の非常用貫通扉を左に
寄せて運転台からの視野を拡大した。
また、正面貫通扉以外の部分を僅かに傾斜させたスタイルとなっている。
行き先表示は正面と側面にあり、いずれも字幕式である。
車体塗装は窓周りとライトケースが濃い目のグレー、側面にラインカラーの
レモンイエローの帯が入り、それ以外は無塗装である。

車内はオールロングシートで座席のモケットの色はオレンジ色である。
名古屋市営地下鉄東山線、名城線の電車では車体が他の地下鉄に比べて小さいことと
乗車時間が短いという理由から網棚を設けていなかったが、路線の延伸で長い時間
乗車する機会が増えたことから、本形式から扉に近い部分にのみ設置した。
本形式では車体両端に冷房装置を搭載したため、この部分だけ天井が
低くなっている他、他の部分も冷房ダクトと送風装置が出っ張る形で設けられている。
ドアは片側3箇所・両開き扉で側面窓はドア間が両脇を固定、真ん中を下段固定・
上段下降とした3連窓、車端部は下段固定・上段下降の2段窓となっている。
ドアの窓は金属固定が基本だが、試作車の第1編成だけ正面貫通扉も含めて
ゴム固定になっていた。
車内の旅客案内装置は昭和63年~平成2年にかけて製造された第21~23編成の
車端部貫通路上部と乗務員室仕切り戸上部にLEDスクロール式のものが
設けられている。

主制御装置は電機子チョッパ制御方式を東山線の電車で初めて採用した。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキである。
台車は軸箱支持をペデスタル式としたダイレクトマウント式空気バネ台車で
モーターの駆動方式はTDカルダン方式を採用した。
車輪には市電1800形電車以来のゴムを断面に仕込んだ剪断式弾性車輪を
採用している。
集電方式は台車に取り付けたコレクターシュー(集電靴)でサイドレールから
電力を供給する第三軌条方式である。
編成構成の部分でも述べたが、本形式以降、東山線の電車、及び名城線の電車は
3両1ユニット構造となり、小さな車体の少ない床下スペースを有効活用すべく、
機器を分散して配置している。
運転台はツーハンドル式で、当初、保安装置が打ち子式ATS式であったため、
計器類の配置はシンプルであったが、平成16年3月末のATC化に伴い速度計などが
大きく改造され、やや物々しい雰囲気に変化している。
なお、この改造で乗務員室仕切りの進行方向右側の窓が機器搭載の関係で
小型化されている。

本形式は試作車である第1編成登場後、昭和57年より量産が開始され、100形や
200形などの旧型車両を置き換えた。
最大で23編成が在籍し、東山線の主力車両として活躍した。
しかし、保安装置のATC化に伴う運行速度と運用効率の向上による車両定数の削減で
平成16年に2本が廃車された。
その後、登場後30年近くが経ち、陳腐化が進み、5050形の増備やN1000形が登場した
ことから、平成20年より本格的な廃車が開始されている。


○車内。手前天井部分に冷房装置があるため、天井が低い。
 座席には着席定員を示す線がミシン目で織り込まれている。


○乗務員室仕切り部分。右側の窓が半分ほどの大きさになっているが、
 この部分にATC関連の機器が設置されているためである。
 第21~23編成では乗務員室仕切り扉上と車端部貫通路上に旅客案内装置が
 設置されている。



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