水の丘交通公園

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万葉線 デ5010形電車(車籍無・機械扱)

2012-04-28 18:16:03 | 電車図鑑・路面電車
射水線、笹津線と高岡市内線、富山市内線への直通列車運行に伴い導入した車両である。
昭和25年~26年にかけて5011~5040号の30両が製造された。
製造を担当したメーカーは日本車輛、汽車会社、日立製作所、愛知富士産業である。
単行運転用なので連結運行時も決まった編成は組まない。

車体は半鋼製で正面部分はやや緩やかな局面を描いた3枚窓となっている。
ヘッドライトは正面中央上部にあり、当時の軌道線を走る電車としては
珍しいスタイルとなっている。
正面下部には自動連結器と鋼管を組んだ排障器が設けられ、一部の車両では冬季の
豪雪に対応すべく、ラッセルヘッド用のジョイントが設けられた。
塗装は当初がクリームにブラウンのツートンで晩期はクリームにグリーンの
ツートンとなった。
一部はピンク一色の試験塗装となったがすぐに後者の塗装に塗り替えられている。
行先表示は正面中央下部に札を掲出するものである。

車内はロングシートで床や側壁は木造のニス塗となっており、当時の電車の
標準仕様となっている。
ドアは車体前後に2か所あり、市内線などの低床ホームを考慮した2段ステップ付の
手動式の2枚引き戸となっている。
なお扉は後の改造でドアエンジン付きの1枚引き戸へ交換された。
窓枠についても当初は木製だったが、これもアルミサッシに交換されている。

主制御装置は抵抗制御で当初は直接制御方式であったが、笹津線や射水線での続行運転が
増えたことから、連結して運転できるように総括制御付間接非自動制御に改修された。
ブレーキは発電ブレーキと空気自動ブレーキでお互いに連動しない。
台車は枕ばねを板バネとした釣り合いばね台車でモーターの駆動方式は吊り掛け式である。
集電装置はオリジナルはパンタグラフであるが、後にZパンタに載せ替えられたものも
存在する。

登場時から笹津線と射水線に投入され、両線の主力車両として運行された。
どちらの線も全車が本形式だった時期がある程で地方の私鉄向け車両、増して路面電車タイプの
車両としては異例の30両が製造されている。
富山新港の新設に伴い、射水線が分断されるのに伴い、昭和41年に11両が加越能鉄道に
高岡市内線共々譲渡された。
その後、伏木港線(米島口~伏木港)の廃止やデ7050形、7060形、7070形の増備で状態のいい車両が
富山地方鉄道に返還されたほか、それ以外の車両も昭和42年の時点で除雪車に改造されていた
5022号車以外、全車廃車となった。
富山地方鉄道に残った車両については昭和50年頃より廃車が始まり、昭和55年の射水線廃線で
全車が廃車となった。
廃車後、加越能鉄道の5022号車が車籍を有していたが、平成4年に除籍され、無番号の除雪車という
扱いになった。
除籍後も終電の後などに除雪車として運用されたが、車体や機器の老朽化が大幅に進んだため、
平成24年3月に新型の除雪車が入ったのを機に引退した。
引退後、万葉線では静態保存を検討している。


○廃車後、車体だけ置かれていた5026号車。5022号車の部品取りとして残されていたもの。
 平成20年ごろ撤去。


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