雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

二百歳登場 ・ 小さな小さな物語 ( 198 )

2011-01-12 09:36:28 | 小さな小さな物語 第一部~第四部
高齢者の行方不明騒動、どんどん広がりを見せ、ついに二百歳の人が登場しました。
予想以上と言いますか、不謹慎を承知の上で申し上げるならば、期待通りの展開を見せています。
それは、相変わらず高齢者福祉という観点からの報道が多いようですが、違う観点からの、極めて冷静な意見も表面化してきています。


今回のこの騒動には、幾つかの問題が包含されていて、それを表面化させてくれたということでは大変意味のある騒動と言えます。
すでに歴史上の人物の範疇と思える人と同い年であるとか、どんな事件の目撃者であるとかといった、おもしろおかしいコメントはともかく、表面化してきた問題点を整理してみましょう。


一つ目は、年金などの不正受給を目的とした犯罪性です。これまでのところそれほど大きい比率ではないようですが、外国では大きな比率を占めている例もあるようです。
二つ目は、高齢者福祉という観点です。当コラムで繰り返し述べていますように、この騒動は高齢者福祉の観点としてとらえるべきでないというのが私の意見です。住民票や戸籍からの行方不明者は、今回表面化しつつある人数より、百歳未満の人の方が遥かに多いはずだからです。しかし、今回の報道などから明らかになってきている事実として、例えば高齢者に対するお祝金などを届けた場合に、その所在がはっきりしない場合のフォローの不十分さです。それは単に官庁ということではなく家族の責任ともいえます。従って、高齢者の保護という問題をもっと真剣に考える必要があります。
三つ目は、戸籍や住民基本台帳の正確性あるいは連動の問題です。この問題を論じるのは別の機会に譲るとして、今のままの運営で良いとは思われません。少なくともある年齢以上の人に対するメンテナンスは必要なのではないでしょうか。


他にも今回の騒動により、わが国の社会組織の矛盾点が指摘されています。
その中でも、個人情報保護条例の問題や、住民基本台帳の運営方法などは今後議論が高まりそうな気がします。
ただ、今回の騒動をもって、わが国の人口は正しいのかとか、社会組織は未開地並みだという意見が散見されますが、とんでもないことです。大体、全国民の所在地が全て管理されている国家なんて気持ちが悪いと思いませんか。
もっと、私たちの社会組織を信用し自信を持ちましょうよ。

(2010.08.30)

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