雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

誤差の範囲 ・ 小さな小さな物語 ( 185 )

2011-01-12 09:54:50 | 小さな小さな物語 第一部~第四部
『銀河は太陽のように自ら光る恒星が無数に含まれる天体である。宇宙にはそれらの銀河が1000億とも2000億ともあると考えられている・・・』
以上は、私も大ファンである、今朝の毎日新聞朝刊の「西はりま天文台からの便り」の冒頭部分を引用させていただいたものです。
今回の記事は、3000万光年の彼方にある「エッジオン銀河NGC4565」を紹介したものですが、同天文台のホームページには興味深い記事がいろいろ掲載されています。


さて、当コラムで考えたいことは、引用させていただいた文章のスケールの大きさです。
この文章を見て、多くの人は宇宙と呼ばれるもののスケールの大きさに感心させられると思うのですが、中には違和感のようなものを感じる人もいるかもしれません。
例えば、「それでは宇宙には幾つの恒星があるんだ」ということになりますと、<無数×1000億ないし2000億>ということになります。つまり答えは、<非常にたくさん>ということです。
この見事な算式を、「なるほど」と思う人も「冗談を言うな」と思う人もいることでしょう。それは、1000億と2000億が誤差の範囲と認めるかどうかということかもしれません。


私たちの日常は、私たち自身が考えている以上に几帳面な数字によって支配されているような気がします。つまり誤差の範囲が狭い生活ともいえます。
学校へ行っている人やサラリーマンは、一日の相当部分が細かな約束事に縛られています。定年を迎え、口では「サンデー毎日だ」と言っている人に限って、悲しいかな、自ら自分を束縛する以外に対して意味もないような、計画を立てたがります。夏休みに入ってすぐの今が子供たちにとって最高の日々なのでしょうが、先生も親たちも、寄ってたかって規則正しい生活をせよ、などとのたまいます。


正しい計算、正しい習慣、理路整然、勧善懲悪・・・、どれもこれも結構なことです。
でも、どうでしょうか、子供たちの夏休みやサンデー毎日を満喫できる期間だけでも、1000億と2000億がたった二倍の誤差しかないと考えられるような生き方をしてみたいものだと思うのですが・・・。

(2010.07.22)

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