雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

ネギの皮むき

2010-04-22 13:46:52 | さても このごろは

さても このごろは、昔のことが しきりに思いだされる・・・


小さい時から 家の手伝いはいろいろやらされたよ。
兄嫁さんには よくもそんなに次々と用事を見つけ出せるなあ と思うほど用事を言いつけられた。


もっとも、わたしも ずるをしたり 逃げ出したりして、あまり役には立っていなかったとも思うけれどね。


朝は ご飯が終わると、学校に荷物を置いて来て、そら 家は運動場に ひっついているんだから すぐでしょ。それから 二番目の鐘が鳴るまで 手伝いをしていた。


ああ、いろいろなことをしたが、たいていは野菜の整理だったけれど、ネギの皮をむくことが多かった。里では 白ネギなんか作らないから、いつも大きな青ネギの 白根の部分の土の付いている一番外側の皮をむき、青い部分でも枯れているようなものを取り除くのよ。


そう、いま思いだしてみると、いつもいつも ネギの皮をむいていたように思うなあ。どうして あんなにたくさんネギを作っていたのかなあ。

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猫は大切

2010-04-22 13:46:07 | さても このごろは

さても このごろは、昔のことが しきりに思いだされる・・・


子供の頃 里では 猫は大切にされていた。
おカイコなどもいて、ネズミ対策が大切だったから、ね。どこかで子供が生まれるという話が伝わると、あちらこちらから貰い手があり、生まれる前に貰われていく先が決まっていたよ。
何匹生まれてくるか分からないのにねぇ。


兄が、山の方の知り合いから、大きくなった猫を貰ってきて、逃げ出さないようにして紐にくくって家の中で飼っていたのよ。みんなで可愛がり、交替でご飯の残りに汁をかけて食べさせたりして、結構なついていた。
わたしにも、ゴロニャン、ゴロニャンとなついてきて、可愛い猫だった。


かなり日が経って、もう大丈夫だろうと、兄が猫の紐を解いてやると、しばらくキョロキョロとあたりを見回し、部屋の隅を嗅いだりしていたが、突然玄関戸の隙間から表に飛び出し、結局それっきり帰って来なかった。


一、二日は近くを探したりもしたが、きっと山の方の家に帰ってしまったんだろう、ということになってしまった。
大きくなった猫は、新しい飼い主には、なかなか慣れないようだなあ。

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いつでも着物

2010-04-22 07:35:48 | さても このごろは

さても このごろは、昔のことが しきりに思いだされる・・・


そりゃあ 子供の頃は いっつも着物だったよ。服なんて、戦争が始まるまで着た覚えがないなあ。


小学校の頃は、下着はお腰だけで いま思うと 冬でも寒い恰好をしていた。
ああ、寒い寒いとは言っていたけれど、そんなものだと思っていたから 別に辛いなどとは思わなかったな。


履き物は下駄。それも てて親が手作りしたもので 今ならとても履けるようなものではなかった。
お祭りやお正月には、買ってきた下駄を履かせてくれたが、そりゃあ うれしかった。


運動会でも着物だよ。まあ下駄では走らなかったわね。運動会の時は草履か裸足。裸足の子が結構多かったように思う。
着物に裸足でかけっこするの おかしいかい。そうかなあ。でも みんながそうだから、別におかしくもなんともないよ。

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子守り

2010-04-22 07:34:47 | さても このごろは

さても このごろは、昔のことが しきりに思いだされる・・・


子守りは よくさせられた。
わたしは おとんぼなので、両親には甘やかされていたけれど、長兄夫婦と一緒に生活していたし、家計の実権は長兄に移っていたので、兄嫁さんから いろいろ用事を言いつけられた。


子守りをすることも よくあった。その兄の子供はまだ小さく、甥にあたる子を よくおぶっていた。
甥っ子は あまり泣かないし、わたしに懐いていたから あまり世話はかからなかった。


それでも、友達と遊ぶときなど、わたしだけが子供をおぶっているのが いやだなあと思うことが時々あった。


一度、その子をおぶって 友達と 川に入って貝を取っていたとき、兄に首根っこを捕まえられて、川から引き上げられると同時に、ほっぺたを思いっきり叩かれたことがあった。


いま思えば、危ないから注意してくれたんだろうけれど、あの時は、兄さんの子供を なんで わたしがおぶらないかんのかと、叩かれた痛さより なんだか切ない気持になった。
とても 辛かったなあ。

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山の子

2010-04-22 07:33:45 | さても このごろは

さても このごろは、昔のことが しきりに思いだされる・・・


運動会なんかで かけっこをすると、山の子は早かったねぇ。そりゃあ とんでもなく早いし、あの子らは いくら走っても疲れないんよ。


わたしは身体は小さかったが、結構すばしこい方だったけれど、かけっこはあんまり早くなかった。
でも 仕方がないのよ。わたしの家は、学校の運動場に ひっついていたから、学校まですぐで 走り慣れていなかったんだよね、きっと。


その点 山の子は、一里もの距離を通って来るんだよ。毎日毎日、それも山道を 長い時間かけて通って来るんだから、あの子らに かけっこが勝てるはずがないよ。

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