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「パプリカ」は応援歌?

2020年05月06日 | 話題

昔、あるミュージシャンが日本の音楽シーンを席巻して、それ以来、私は日本の音楽シーンには興味をなくしていました。
今も興味があるわけではないです。
でも、今回は米津玄師の「パプリカ」について書いて見ます。
「パプリカ」はNHK2020応援ソングプロジェクトの依頼で作られた歌です。

さすがの私も子供ユニットFoorinが歌う「パプリカ」は聞いたことがありました。
これです。
でもその歌を作ったのが米津玄師だとは知りませんでした。
そもそも「玄師」を「けんし」と読むのだということも長い間、知りませんでした。
(数か月前、ブロ友のpukarikoさんに教えてもらって知りました。)

先日のこと、NHKの番組を聞くともなく聞いていると大人の男性が歌う「パプリカ」が聞こえてきました。
米津玄師ではなかったようです。
「パプリカ」はたくさんの人のバージョンがありますので、たぶんその内の一つ。
なぜか冒頭部分が何度か繰り返されて、聞いているうちに軽い胸キュン状態になりました。

子供達が歌う「パプリカ」では感じなかった何かがそこにありました。
そこでネットで「パプリカ」について調べてみると、歌の意味についてたくさんの人が色々と書いていました。
だから、ここで書くことは、私が気が付くのが遅いだけで、多くの人達にとっては「知ってる」ことかもしれません。

まずは「パプリカ」の歌詞全部。

曲りくねり はしゃいだ道
青葉の森で駆け回る
遊び回り 日差しの町
誰かが呼んでいる

夏が来る 影が立つ あなたに会いたい
見つけたのは一番星
明日も晴れるかな

パプリカ 花が咲いたら
晴れた空に種をまこう
ハレルヤ 夢を描いたなら
心遊ばせ あなたにとどけ

雨に燻り 月は陰り
木陰で泣いていたのは誰
一人一人 慰めるように
誰かが呼んでいる

喜びを数えたら あなたでいっぱい
帰り道を照らしたのは
思い出のかげぼうし

会いに行くよ 並木を抜けて
歌を歌って
手にはいっぱいの 花を抱えて
らるらりら
会いに行くよ 並木を抜けて
歌を歌って
手にはいっぱいの 花を抱えて
らるらりら

パプリカ 花が咲いたら
晴れた空に種を蒔こう
ハレルヤ 夢を描いたなら
心遊ばせあなたにとどけ

かかと弾ませこの指とまれ

この歌は米津玄師自身も歌っていて、MV(ミュージックビデオ)がYouTubeにアップされています。
それがこれです。
子供達が歌う「パプリカ」と雰囲気がずいぶん違っています。
そして、私がそうであったように歌詞の意味を知りたくなるのです。
特に「あなた」とは誰なのか知りたくなります。

「パプリカ」の隠れた意味について、一番多いのは原爆との関係です。
米津玄師のMVがYouTubeにアップされたのは2019年の8月9日、長崎に原爆が落とされた日です。
CDが発売されたのは8月15日、終戦記念日です。

MVには、子供達だけに見える精霊のような、風の子のような子供が出てくるのですが、その子は広島の「原爆の子」の像のようなポーズで空を飛び、その時、丹頂鶴の群も一緒に飛んでいるのです。
そして広島の「原爆の子」も頭上に折り鶴の鶴を負っています。(折り鶴は千羽鶴の折り鶴ですね)
なにより、パプリカの花言葉は「君を忘れない」です。

つまりこの歌は戦争で亡くなった子供達を思って、平和を希求して作られたのではないかという説です。
確かに符合することが多く、それが単なる偶然なら、その偶然に鳥肌が立ちます。

原爆と並んで多いのは「パプリカ」は、NHK東日本大震災プロジェクトの復興支援ソング「花は咲く」のアンサーソングではないかという説。
ある人は個人の感想として次のように書いています。⇒ここ

要するに歌の中の「あなた」とは、震災で亡くなった人達、とりわけ子供達のことをではないかという解釈です。
こうした受け取り方に同意し納得する人も多いみたいです。(パプリカ 花言葉 震災 で検索するとたくさん出てきます。)
重要なことは、それらは理屈を超えたところで納得し、歌を聴き直して泣く人もいることです。

原爆や震災と関係づけなくても、「パプリカ」を亡くなった人を思う歌とする説もあります。
手にいっぱいの花を持って会いにいくのはお墓参りだとする解釈。
実際MVでも、お盆のお墓参りの光景らしきものが描かれていますし、お盆にしては季節外れのヒガンバナの描写など。
また歌詞からは「あなた」はすでに亡くなった人としか考えられないこと。

でも、こうなると「パプリカ」は2020年東京オリンピックに合わせた、世界中で頑張っている人達への応援歌ではなく、鎮魂歌だということになります。
実際、2020年オリンピックは行われないし、2021年に行われるかどうかも怪しい。
逆に世界を覆っているのは死の恐怖と不安、混乱です。
だからこそ「パプリカ」は応援歌にもなりうるのかもしれませんが。

で、私自身は「パプリカ」をどう解釈するかですが、素直に「あなた」を子供時代の私自身と解釈します。
米津玄師が歌う曲のザックリとしたテーマは「喪失と再生」ではないかと。

ちなみに米津玄師自身は「パプリカ」について以下のように語っています。
    ⇩
    ココ







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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
そうなんですね (紫苑)
2020-05-09 10:19:26
パプリカ、そんな深い意味があったんですね。聞き直してみます。ありがとうございます。彼の歌は、暗いけど、心に沁みますよね。
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パプリカ (pukariko)
2020-05-09 15:37:09
こんにちは。
去年の運動会で孫っちがこの曲で踊ってましたが、
私は歌詞をじっくり読んだこともなく、
サビの部分ぐらいしか知らなくて^^;

YTで2パターンほど見てきました。
先入観なしに聞けば、やっぱり応援歌かな。
特定の何か誰かへのというより、漠然とみんなへ~。
種をまこう♪と未来ある子どもたちが歌うのがいいな(^-^)
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紫苑様 (みどり)
2020-05-09 19:57:32
米津玄師自身は意図しないで、そんなふうに聴かれてしまったということですね。
「パプリカ」は聞き手の情動的な部分を刺激し、様々な物語を連想させる、そんな曲だったのだと思います。
それはそれでいいんじゃないかと私は思います。
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pukariko様 (みどり)
2020-05-09 20:02:05
「パプリカ」は私のようなうろ覚えの人間が歌おうとすると、音程の捉え方が難しいです。
陰影のある音階を使っているらしく、それが人に色んなことを考えさせるのだと思います。
曲の解釈という面では米津自身が語っている通りだと思います。
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Unknown (keba)
2020-05-09 22:59:12
偶然テレビでパプリカを米津玄師の声で聴いて
この歌はこういう歌だったんだ〜と
眼から鱗が落ちた経験をしました。
子どもが歌ってヒットしたそうですが
それには何も感じなかったのに、思わず耳を傾けました。

深くは考えませんでしたが
喪失、確かにそれはその時に感じました。

いろんな解説があるんですね〜
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kebaneko様 (みどり)
2020-05-10 10:11:03
調べてみると、米津玄師は高機能自閉症(アスペルガー症候群)だとのこと。
知能には問題がないけれどコミュニケーションに問題がある。
米津が自分がそうだと知ったのは20才すぎてからだったようです。
こういう子供は学校生活では苦労するのですが、子供時代の原体験の部分、野山を駆け回ったり、海辺で遊んだり、は至福の体験になるのかもしれません。
「パプリカ」ではその幸福感が聞き手にビンビン伝わってくるし、子供達が夢中になるのも分かります。
大人が歌う「パプリカ」は、それらが既に失われたものとして歌うことになります。
でもただ喪失したのではなく、そこから明日への希望もまた見いだされるのだという感じでしょうか。
深い歌だと思います。

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パプリカ (nana)
2020-05-12 13:58:03
昨年の紅白で聞いたとき、のどじまんや保育園の運動会で振り付きで歌えて人気がある曲という印象そのままでした。
そういう解釈があったとは・・・深いですね。
持っていたピアノの楽譜集にこの歌が入っていますが、サビの部分から長調が変わるので、私には難しかった(..;)
でも、いい曲だなあと思いました。
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nana様 (みどり)
2020-05-12 15:15:08
歌おうとしてもシニアの私には難しいです(苦笑)
音程が昔の人間にとっては慣れていない流れになっているような・・・。

鎮魂という解釈は当たっているかどうかは別にして驚きと納得です。
それくらい、いい曲なんでしょうね。


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