風のように

ゆらり 気ままに 過ごすとき
頭の中は妄想がいっぱい
錯覚の中で生きるのが楽しみ

朱に交われば…

2018-02-15 01:06:31 | こころ
祖父との思い出は半世紀ほども前の話
それはのんびりとした農家の光景に見えるだろう

ひとつひとつの作業に時間をかけた昔と違って
今の生活は便利になった

けれどその便利さに追いたくられている気がする
企業は利益を追求し

その付けが回ってくるということを
競争の果てに気づき始めなければならない

深夜営業の可否
即日仕上げなどサービス

宅急便に到っては翌日配達などと
夕方集荷した荷物が夜に仕分けされ運ばれ

翌日のお昼ごろには宅配される
あ~便利

おまけに留守のお家には不在配達票が入れられ
連絡すれば再配達してくれる

なんと重宝
そんなサービスのおかげで

仕事はあるある
お客様は大助かり

けれど
企業は利潤を求める

そのために労働者はあくせくアクセク働いて
お客様は感謝どころか苦情の連発

祖父と農業の手伝いをしていた頃に
自販機も深夜営業のお店なんてどこにもなくて

たまに小包なんかが送られてくれば
宝物を受け取ったかのように嬉しかった

便利に慣れて
もっと便利を探して

サービスに慣れて
より良いサービスを求めて

あそこが安い
こっちはもっと安いと競争ばかり

人々は贅沢色に染まり
心は満足できない不満色に染まっていく

のんびり筵に籾を広げて
美味しいお米になるように

まんべんなく乾くように
うって返して籾を干す

孫は学校のこと友のことをあれこれ話し
祖父は昔話や農業のあれやこれやを体で教える

心を籠めてなぁ美味い米になるように祈るんやさ
心を籠めたら粗末にできんわさ命やさかいな

そんな風に育ってきて半世紀
便利に交わって贅沢に交わって

大切な食料を残し
食べ残しを始末することに

悪ぶれることさえ忘れていく
朱に交われば赤くなる

大切なことをいっぱい忘れて
とんだ色に染まりゆく私















コメント
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