恩師のご著書「真理を求める愚か者の独り言」より
第五章 心の曇りをとるための反省
反省してはじめてわからせていただいた母親の愛
それでは私の場合を紹介します。
小学校一年生ですから七歳の時のことです。
友達に百姓の子もあれば、サラリーマンの子もあり、商店の子もありました。
私は水呑み百姓の子ですから、みんなのように学校から帰って遊べません。
帰宅して鞄を置くと、今日はどこどこの畑に行きなさいと言われて、
すぐさま鎌か鍬を持って畑に行かなくてはなりませんでした。
「ああ、僕もいっしょに遊びたいなあ」と、
畑のそばで遊んでいる友達を見ては、羨ましく思っていました。
そして、どうして自分だけがみんなと遊べずに畑で手伝いを
しなくてはならないんだろうと、
自らの運命を思ったのでした。
ところが、ある日とうとうそんな思いが募ったあげくに、
嘘をついて畑に出るのをさぼってしまったのです。
「今日は友達とどうしても勉強しなくてはいけないから」と親に嘘をついて、
竹トンボを作るために他人の竹藪に行きました。
そこは急斜面でしたが、そこをよじ登るのは当時の幼い私には冒険でした。
手頃な竹を見付けると、用意してあった鉈をだしました。
斜面の上のほうに左足を踏み出して、その竹めがけて鉈を振り下ろしたのですが、
不覚にも自分の足をスパッと切ってしまったのです。
足の外くるぶしの上十センチ当たりに刃が当たり、
骨まで見えるほどパカッと深く裂けて白い骨が見えていました。