夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『喝 風太郎!!』

2019年11月12日 | 映画(か行)
『喝 風太郎!!』
監督:柴田啓佑
出演:市原隼人,藤田富,工藤綾乃,二ノ宮隆太郎,木村知貴,藤代太一,
   吉岡そんれい,板野友美,鶴田真由,近藤芳正,麿赤兒他
 
金曜日の仕事帰りにTOHOシネマズ西宮へ。
後述の『マチネの終わりに』を観るのが目的でしたが、
西宮まで行って1本で帰るのはもったいない。
時間が合いそうな作品を調べたら、同日に封切りとなった本作みっけ。
結果的には『マチネの終わりに』よりずーっと良かった。
 
原作は本宮ひろ志の同名コミック。
本宮さんって、1965(昭和40)年に漫画家デビューされているのですよね。
古稀を過ぎた今も勢い衰えず。こうして実写映画化されたりもして頼もしい。
この「風太郎」はもとはパチンコグループを展開する浜友観光のイメージキャラクターだそうで。
なかなかおおっぴらには宣伝しにくいか。(^^;
 
市原隼人演じる破天荒な僧侶が迷える現代人を救う物語で、
登場人物がかぶってつながる3つのオムニバス。
時系列をさかのぼって見せてくれるのも私の好きな構成です。
 
山奥の寺で修行を積み、下界のことは何も知らない僧侶・風太郎(市原隼人)。
大僧正(麿赤兒)から初めて下山を命じられて街へと降り立ったものの、
風太郎にとっては何もかもが新しい。
 
そんな彼の様子を見た詐欺師・笹本健司(藤田富)は、
「飲み放題」という言葉すら知らない風太郎からぼってやるつもりで声をかける。
タダで酒が飲めると勘違いした風太郎はホイホイついて行くが、
支払いの段になって風太郎が一文無しであることが判明。
これには健司も唖然呆然。
 
無銭飲食と聞いて飛び出してきた怪しげな兄ちゃんたち。
ビビる健司を尻目に彼らを一網打尽にする風太郎。
健司は風太郎を教祖に奉って儲けるビジネスに方向転換。
 
騙しやすそうなターゲットを物色中だった健司は、
冴えないサラリーマン・高平末吉(近藤芳正)に接触。
風太郎の説教を聴かせて金をふんだくろうという魂胆。
ところが当然のことながら風太郎は金儲けに1ミリも関心なし。
そんな風太郎の言動が人々の心を動かして……。

1話目はこの末吉にまつわる物語。
2話目は風太郎の下山直後の大立ち回りを録画して動画サイトにUP、
自称インフルエンサーの滝田詩織(工藤綾乃)の物語。
3話目は健司の物語。
それぞれの身に起きた時間がかぶっているので、
おおっ、このときこんなことが起きていたのかと面白い。
 
能天気に見える奴でも事情がある。
バカみたいに生きているわけではないんだなぁとしんみり。
 
一見女神のような人なのに、
その実、ホームレスを食い物にする支援団体の悪魔のような女に鶴田真由
鬼の形相の彼女を見る機会はこれまであまりなかったような。
占い師役でちょこっと出演しているのは板野友美
 
ノーマークでしたが、スッキリ心洗われる作品でした。
たまにこうして「ヒットはしないだろうけれど、私はこんなちょっといいやつ観たよ」
と思える映画に出会えるから楽しい。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ジェミニマン』 | トップ | 『マチネの終わりに』 »

映画(か行)」カテゴリの最新記事