《は》
『花とアリス殺人事件』
2015年の日本作品。
岩井俊二監督による『花とアリス』(2004)の前日譚を自らアニメ映画化した、
岩井監督初の長編アニメーション作品。
実写版の『花とアリス』で花役とアリス役を演じた鈴木杏と蒼井優が
ふたりの出会いを描くこのアニメ版でもそれぞれの声を担当。
石ノ森学園中学校の3年組に転入した中学3年生のアリスこと有栖川徹子は、軽いいじめに遭う。
それというのもアリスが何の気なしに座った席のせい。
1年前にその席に座っていたユダなる人物が4人の妻に殺されたという、わけのわからない噂。
アリスのせいで結界が破られてしまったのだと言うが、その後なんとか同級生たちと親しくなる。
あるとき、アリスは隣家に引きこもっている荒井花が同級生で、
彼女がユダの噂のことを知っているのではとにらむ。
隣家に忍び込んだアリスはハナと知り合い、なりゆきでユダについて調べることになるのだが……。
絵、内容ともに素敵で、手元に置いておきたくなるアニメーションでした。
最後だけ、花の勘違いも甚だしいとツッコミを入れたくなりましたが(笑)。
《ひ》
『陽だまりハウスでマラソンを』(原題:Sein letztes Rennen)
2013年のドイツ作品。
パウルは1956年のメルボルン・オリンピックで金メダルを獲得したマラソンランナー。
妻マーゴと二人暮らしであることを娘ビルギットが心配するが、自分はまだまだ元気、
誰の世話にならなくともやっていけると思っていた。
しかし、マーゴが病気に罹ったことから、夫婦で老人ホームへ入居せざるを得なくなる。
規則に縛られた不自由な生活、入居者をまるで子ども扱いする職員。
毎日の工作教室に飽き飽きしたパウルは、ベルリン・マラソンに出場することを決意。
かつてのようにマーゴのサポートを受け、完走を目指して練習を開始する。
最初は呆れていたほかの入居者たちも、パウルがあの伝説のランナーであると知り、
もしや本当に完走するのではないかと応援するようになり……。
パウルが走ることが入居者全員の力となり、希望の光となります。
年齢を言い訳にしない生き方って素晴らしいと思いました。
《ふ》
『フランシス・ハ』(原題:Frances Ha)
2012年のアメリカ作品。
『ファンタスティック Mr. FOX』(2009)の脚本家ノア・バームバックがメガホンを取り、
脚本は本作のヒロインのグレタ・ガーウィグと共同で執筆。
ニューヨーク、ブルックリンの見習いモダンダンサー、フランシス、27歳。
大親友のソフィーとルームシェアをしていたが、ソフィーが突然、
「住みたかった場所でルームシェアしようという友人が現れたから」と同居を解消してしまう。
ひとりでは家賃を払っていけず、知り合って間もない男友だち2人が暮らす部屋へ転がり込むのだが……。
美人といえば美人だけど、大柄でドタドタ歩くうえに、空気の読めないフランシス。
が、見ていてイライラするすんでのところで留まっていて、オフビートな魅力あり。
デヴィッド・ボウイの主題歌をはじめ、選曲がオシャレで楽しい。
タイトルの意味がわかるラストシーンもイケてます。なるほど!
《へ》
『ヘラクレス』(原題:Herclues)
2014年のアメリカ作品。
“ラッシュアワー”シリーズで当てたけれど、
監督するよりも製作にまわることが多いブレット・ラトナー監督。
『ジャージー・ボーイズ』でも製作総指揮という肩書きでしたが、
本作では自らメガホンを取り、ドウェイン・ジョンソンを主役に据えて。
全能の神ゼウスと人間の女性との間に生まれた英雄ヘラクレス。
実は人間なのだが、半神だと信じられていたほうが敵をビビらせるのに有効。
ヘラクレスは噂を上手く利用しながら、5人の傭兵仲間を率いて戦場を渡り歩いている。
ある日、トラキアの王女ユージニアがやってきて、ヘラクレスに頼みがあると言う。
父コテュス王と民を守るため、凶悪なレーソス率いる反乱軍と戦ってほしいと。
ヘラクレスと傭兵仲間たちは、寄せ集めの兵士を鍛え上げるのだが……。
特筆すべきことは何もありませんが、想像の範囲内でとても楽しい。
傭兵仲間が全員ちがう個性で愉快で、そのうちのひとりがルーファス・シーウェル。
昔、この人は売れっ子になると期待していたのにブレイクせず、寂しかっただけに嬉しい。
久々に見た気がするジョセフ・ファインズは裏切り者役がピッタリな人に。
コテュス王を演じたジョン・ハート、いつもイアン・マッケランかと思ってしまう。
《ほ》
『ほとりの朔子』
昨年1月に公開された、2013年の日本/アメリカ作品。
第35回ナント三大陸映画祭(三大陸=アジア・アフリカ・ラテンアメリカ)では、
グランプリにあたる“金の気球賞”と“若い審査員賞”の2冠を獲得。
海外で高く評価されている深田晃司監督の作品です。
浪人中の朔子(二階堂ふみ)は叔母の海希江(鶴田真由)とともに、
海外旅行で家を空ける伯母の水帆(渡辺真起子)の留守を預かることに。
水帆が暮らしているのは海辺の避暑地。
水帆や海希江の古くからの友人で、近所に住む兎吉(古舘寛治)や、
その娘で女子大生の辰子(杉野希妃)、
兎吉の甥で福島から避難してきた高校生の孝史(太賀)と、
朔子は2週間の夏休みを過ごすのだが……。
日記をめくるようにゆるゆると進みますが、登場人物の個性が光っていて眠くはなりません。
特筆すべきは辰子役の杉野希妃で、あのキム・ギドク監督にもその才能を認められているそうな。
本作ではプロディーサーも務め、非凡なところを見せてくれます。
血のつながらない家族、震災、原発と、上手い具合に取り込んだ作品。
『花とアリス殺人事件』
2015年の日本作品。
岩井俊二監督による『花とアリス』(2004)の前日譚を自らアニメ映画化した、
岩井監督初の長編アニメーション作品。
実写版の『花とアリス』で花役とアリス役を演じた鈴木杏と蒼井優が
ふたりの出会いを描くこのアニメ版でもそれぞれの声を担当。
石ノ森学園中学校の3年組に転入した中学3年生のアリスこと有栖川徹子は、軽いいじめに遭う。
それというのもアリスが何の気なしに座った席のせい。
1年前にその席に座っていたユダなる人物が4人の妻に殺されたという、わけのわからない噂。
アリスのせいで結界が破られてしまったのだと言うが、その後なんとか同級生たちと親しくなる。
あるとき、アリスは隣家に引きこもっている荒井花が同級生で、
彼女がユダの噂のことを知っているのではとにらむ。
隣家に忍び込んだアリスはハナと知り合い、なりゆきでユダについて調べることになるのだが……。
絵、内容ともに素敵で、手元に置いておきたくなるアニメーションでした。
最後だけ、花の勘違いも甚だしいとツッコミを入れたくなりましたが(笑)。
《ひ》
『陽だまりハウスでマラソンを』(原題:Sein letztes Rennen)
2013年のドイツ作品。
パウルは1956年のメルボルン・オリンピックで金メダルを獲得したマラソンランナー。
妻マーゴと二人暮らしであることを娘ビルギットが心配するが、自分はまだまだ元気、
誰の世話にならなくともやっていけると思っていた。
しかし、マーゴが病気に罹ったことから、夫婦で老人ホームへ入居せざるを得なくなる。
規則に縛られた不自由な生活、入居者をまるで子ども扱いする職員。
毎日の工作教室に飽き飽きしたパウルは、ベルリン・マラソンに出場することを決意。
かつてのようにマーゴのサポートを受け、完走を目指して練習を開始する。
最初は呆れていたほかの入居者たちも、パウルがあの伝説のランナーであると知り、
もしや本当に完走するのではないかと応援するようになり……。
パウルが走ることが入居者全員の力となり、希望の光となります。
年齢を言い訳にしない生き方って素晴らしいと思いました。
《ふ》
『フランシス・ハ』(原題:Frances Ha)
2012年のアメリカ作品。
『ファンタスティック Mr. FOX』(2009)の脚本家ノア・バームバックがメガホンを取り、
脚本は本作のヒロインのグレタ・ガーウィグと共同で執筆。
ニューヨーク、ブルックリンの見習いモダンダンサー、フランシス、27歳。
大親友のソフィーとルームシェアをしていたが、ソフィーが突然、
「住みたかった場所でルームシェアしようという友人が現れたから」と同居を解消してしまう。
ひとりでは家賃を払っていけず、知り合って間もない男友だち2人が暮らす部屋へ転がり込むのだが……。
美人といえば美人だけど、大柄でドタドタ歩くうえに、空気の読めないフランシス。
が、見ていてイライラするすんでのところで留まっていて、オフビートな魅力あり。
デヴィッド・ボウイの主題歌をはじめ、選曲がオシャレで楽しい。
タイトルの意味がわかるラストシーンもイケてます。なるほど!
《へ》
『ヘラクレス』(原題:Herclues)
2014年のアメリカ作品。
“ラッシュアワー”シリーズで当てたけれど、
監督するよりも製作にまわることが多いブレット・ラトナー監督。
『ジャージー・ボーイズ』でも製作総指揮という肩書きでしたが、
本作では自らメガホンを取り、ドウェイン・ジョンソンを主役に据えて。
全能の神ゼウスと人間の女性との間に生まれた英雄ヘラクレス。
実は人間なのだが、半神だと信じられていたほうが敵をビビらせるのに有効。
ヘラクレスは噂を上手く利用しながら、5人の傭兵仲間を率いて戦場を渡り歩いている。
ある日、トラキアの王女ユージニアがやってきて、ヘラクレスに頼みがあると言う。
父コテュス王と民を守るため、凶悪なレーソス率いる反乱軍と戦ってほしいと。
ヘラクレスと傭兵仲間たちは、寄せ集めの兵士を鍛え上げるのだが……。
特筆すべきことは何もありませんが、想像の範囲内でとても楽しい。
傭兵仲間が全員ちがう個性で愉快で、そのうちのひとりがルーファス・シーウェル。
昔、この人は売れっ子になると期待していたのにブレイクせず、寂しかっただけに嬉しい。
久々に見た気がするジョセフ・ファインズは裏切り者役がピッタリな人に。
コテュス王を演じたジョン・ハート、いつもイアン・マッケランかと思ってしまう。
《ほ》
『ほとりの朔子』
昨年1月に公開された、2013年の日本/アメリカ作品。
第35回ナント三大陸映画祭(三大陸=アジア・アフリカ・ラテンアメリカ)では、
グランプリにあたる“金の気球賞”と“若い審査員賞”の2冠を獲得。
海外で高く評価されている深田晃司監督の作品です。
浪人中の朔子(二階堂ふみ)は叔母の海希江(鶴田真由)とともに、
海外旅行で家を空ける伯母の水帆(渡辺真起子)の留守を預かることに。
水帆が暮らしているのは海辺の避暑地。
水帆や海希江の古くからの友人で、近所に住む兎吉(古舘寛治)や、
その娘で女子大生の辰子(杉野希妃)、
兎吉の甥で福島から避難してきた高校生の孝史(太賀)と、
朔子は2週間の夏休みを過ごすのだが……。
日記をめくるようにゆるゆると進みますが、登場人物の個性が光っていて眠くはなりません。
特筆すべきは辰子役の杉野希妃で、あのキム・ギドク監督にもその才能を認められているそうな。
本作ではプロディーサーも務め、非凡なところを見せてくれます。
血のつながらない家族、震災、原発と、上手い具合に取り込んだ作品。