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『チィファの手紙』

2020年09月15日 | 映画(た行)
『チィファの手紙』(原題:你好、之華)
監督:岩井俊二
出演:ジョウ・シュン,チン・ハオ,ドゥー・ジアン,チャン・ツィフォン,
   ダン・アンシー,タン・ジュオ,フー・ゴー他
 
これも最新作で、先週末に公開になったばかり。
梅田で3本ハシゴの1本目は、どうしても観たかった本作を梅田ブルク7にて。
 
コロナ騒動のせいで遠い昔に観たような気持ちになっていますが、
岩井俊二監督の『ラストレター』を観たのは今年に入ってからのこと。
その『ラストレター』のリメイクではなく、
『ラストレター』より前の2018年に岩井監督が中国で撮った作品です。
 
岩井監督って、日本のみならずというのか、
むしろ日本よりも中国や韓国で絶大な人気を誇っている様子。
原作はもちろんのこと、脚本、編集、音楽、すべて岩井監督。
私も大好きな香港映画を多く撮っているピーター・チャン監督が
プロデューサーを務めています。
 
あらすじは日本版とほぼ同じですが、
若干日本版のほうがわかりやすく作られているかもしれません。
 
松たか子が演じていた裕里役に当たるのが、
ジョウ・シュン演じるチィファ。
これを漢字で書くと「之華」、原題に入っている名前です。
 
チィファの姉チィナンは、娘と息子を遺して自ら命を絶ちます。
鬱病を患ってのことでしたが、世間体を考えて表向きは病死としている。
実家に身を寄せて長く闘病生活を送っていたからか、
家族はそれなりに死を覚悟できていたようで、
葬儀は密やかではあるものの穏やかに執りおこなわれます。
 
チィナンの娘ムームーとチィファの娘サーランは同い年。
母親を亡くした従姉を気遣うサーランは、
冬休みの間、祖父母の家に留まってムームーと過ごすと言います。
それならばとムームーの弟チェンチェンはかしましいサーランを避け、
チィファの家で過ごさせてほしいと言い出し、子どもチェンジ。
 
このいとこ関係が日本版と中国版では大きく違うところ。
覚悟できていたとはいえ、母親を亡くしたばかりの息子が、
叔母夫婦の家に居候して明るく過ごすことに違和感がありました。
ところがやはりそうではないことが終盤でわかる。
悲しくて寂しくて仕方なかったチェンチェンの痛みが伝わってきます。
 
チィファの初恋の相手で、だけど相手はチィナンのことが好きだった。
その彼を福山雅治が演じていたわけですが、
中国版のチン・ハオより福山くんのほうがだいぶカッコイイ(笑)。
チィナンのろくでなしの元夫を演じたフー・ゴーよりも
トヨエツのほうがチンピラっぽくてよかったし。これは贔屓目か!?
 
日本版では夏休みの話でしたが、中国版では冬休みの話。
これはどっちもどっちの良さがあり。
 
見比べて観るのが楽しいと思います。
手紙ってやっぱりいいものだと思うのでした。
 
昨晩、芦名星の自殺を知ってショックを受けました。好きだったのに。
チィナンの元夫の台詞に「俺のせいで死んだということは、
俺はあいつの人生に影響を与えたということ。
それにひきかえおまえはどうなんだ」というものがあったのを思い出します。
人を死にたくさせてしまうような影響なら要らない。

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