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2020年5月に読んだ本まとめ

2020年06月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2020年5月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3946ページ
ナイス数:1520ナイス
 
■架空OL日記 2 (小学館文庫)
丁寧に読まなければ面白いところを逃してしまいそうで、意外と読むのに時間がかかる。といっても2時間はかからない。映画版を先に観ているから、頭の中に流れるのはバカリズムの声。はたして本当のOLが書いたものだとして私がこれほど笑えたかどうかはわかりません。でも、擬態語だけでもじゅうぶんに可笑しい。寿司屋で穴子も鰻も食べたいと思って「アナギください」と言ってしまったことのある私は、「雨かざれ」にニヤッ。私の場合、「うおっ、合体しとるがな」とありがたいツッコミを頂戴しましたが。恥ずかしかった。(;_;)←誰だお前。
読了日:05月02日 著者:バカリズム
 
■ネメシスの使者 (文春文庫)
いかに死刑廃止論が唱えられようとも、死刑制度があって良いと考えている人のほうがまだまだ多い。私もそうです。それでも、被害者の遺族でもないまったく赤の他人が正義をふりかざし、加害者の遺族を殺すのは異常だと感じます。異常な行為に走っていたわけではなかったのですね。緊急事態宣言発令直前に観た映画『プリズン・サークル』を思い出しました。他と比べて再犯率が低いこの刑務所。もしもここを出所した加害者が再び罪を犯すことなく生きていくとしたら、それは被害者の遺族の望むことなのだろうかと本作を読んで考え込んでしまいました。
読了日:05月05日 著者:中山 七里
 
■テミスの剣 (文春文庫)
ひと月の間にできるだけ、いろんなジャンルのいろんな作家の作品を読むと決めているので、上下巻でもない限り、同じ作家を続けて読むことはないんです。ないんですけど、『ネメシスの使者』を読んでおいて、その前日譚である本作を積読の山に入れたままなのが気になってつい。渡瀬刑事にはこんな過去があったのか。ネメシスを先に読んだおかげで、今も変わらぬ刑事であることがわかっているからちょっぴり安心。『その女アレックス』→『悲しみのイレーヌ』の順で読んだときと同じ感覚。それにしても毎度残り少なくなってからの展開が凄すぎて愕然。
読了日:05月06日 著者:中山 七里
 
■愛がなんだ (角川文庫)
恋愛は、「つきあってもらっている」という気持ちと「つきあってやっている」という気持ち、五分五分が理想だと思っています。どちらかに偏っているときの自分は好きになれないと思うから。しかし、本作のテルコは要するに都合のいい女で、「つきあってもらっている」とすらいえない関係。そんな彼女だけど、この恋の成就を願う気にはなれません。彼女の友人の言葉を借りれば、「ぞっとするほど頭が悪い」。でも、いっそマモちゃんになってしまいたいと考えるほど好きになれるのは、凄いことなのかもしれない。浅はかだ。アホだ。だけどこれが人間。
読了日:05月07日 著者:角田 光代
 
■銀翼のイカロス (文春文庫)
コロナのせいで、テレビには半沢直樹がなかなか帰ってこないからせめて読む。いんや〜、やっぱり面白いなぁ。私にとって、シュッと読めるお手頃頁数は320頁ぐらいまでなのに、それを100頁上回ってもシュシュッと読めるのは、今なら中山七里かたまにはずれるけど東野圭吾、そして鉄板の池井戸潤。法律以前に守るべき人の道。まっとうな商売してなんぼ。ほんと、そう思うのに、どうして人は身の丈に合わない欲をかき、良いものは良い、悪いものは悪いと言えなくなってしまうのか。「徹底的にやる」と「倍返し」とどっちが怖いだろ。倍返し歓迎。
読了日:05月08日 著者:池井戸 潤
 
■高座のホームズ - 昭和稲荷町らくご探偵 (中公文庫)
日常の謎よりは若干ヘヴィーな事件。ある噺家の師匠と兄さんがそれを解いてみせます。高校時代、私は落研に所属していましたが(最も暇そうなクラブを選んだ結果)、本作を読んだら知らないことだらけ。興味を惹かれて第1話は面白く読みましが、うーん、第2話は女としてはかなり不愉快。女子高生に欲情する段は正直言ってキモい。その相手と……なのだから、余計なお世話ですかね。稲荷町の名探偵のモデルとなっているのは八代目林家正蔵師匠。師匠のお人柄がわかる特別寄稿は非常によかったです。あ、キモいのは師匠ではないのでご安心ください。
読了日:05月12日 著者:愛川 晶
 
■屋根をかける人 (角川文庫)
ブックカバーのかかった状態で友人から借り、「建築物好きの作家が自分の家を建てる話」だと完全に思い込んでいました。既読の著作が万城目さんとの建物探訪だったせい。そうしたら、実在の人物に着想を得た歴史小説で驚く。伝道者でありながら建築家にして商売人。マルチ商法まがいの話まで出てきたりして、たまにドン引き(笑)。終盤は時折涙腺を刺激され、紆余曲折、波乱万丈の人生に想いを馳せ、壮大な伝記を読んだ気持ちになりました。読了後にブックカバーを外す。最初にこうしなかったことがより深い感慨を呼び込みました。とても良かった。
読了日:05月13日 著者:門井 慶喜
 
■ゴールデン・ブラッド GOLDEN BLOOD (幻冬舎文庫)
もちろん本作の主役は消防士の圭吾なのですが、影の主役はあの人ではないですか。「実直そうではあるけれど、軽そうなところがどうもなぁ」(笑)。私が薦めて“藤堂比奈子”シリーズを読み始めた人が、いつのまにか私を追い抜いて先に読了。その後しきりと本作を読め読め言うのです。序盤は、あらこの人♪と思った程度だったのが、カメオ出演どころの出番ではない。ほかに、名前こそ出ないけれど「凄腕の検死官」も見え隠れ。なるほど早く読め読め言いたくなるはずだ。検察庁法改正案が可決されたら、ますます役人を裁けなくなるのかもしれません。
読了日:05月16日 著者:内藤 了
 
■AX アックス (角川文庫)
凄腕の殺し屋は恐妻家。世の中の妻は「夫よ、これぐらい気を遣ってみろ」と思うでしょう。逆に夫は「本当はこんなに気を遣っているのだよ」と思うかもしれません(笑)。伊坂幸太郎を読んだとき、私の胸に広がる想いをなんと説明すればいいのか。ありえないキャラクターにたまにふくほど笑わされ、幸せで、でも切なくて、何度も涙が溢れそうになる。とにかく私のツボに突き刺さるんですとしか言えません。何をしていたのかはわからないままでも、父親は父親。自分のことを見守ってくれていたのはわかるはず。きっとこの先、何度も読み返したくなる。
読了日:05月19日 著者:伊坂 幸太郎
 
■忘れ物が届きます (光文社文庫)
忘れた頃に届く良い話。この表紙ならそう思うじゃないですか。でも、ひとつめの話は出だしからなんだか嫌だった。数十年前の辛い過去が赤の他人にほじくり返されるなんて。少々むかつきつつ、ひねりは効いていたから、まぁふたつめ以降も読んでみたら。いずれの話も、気になっていたことの真相が年月を経て明かされます。ヘヴィーさはまちまち。あのとき何があったのか、知らないままよりも知れてよかったにちがいない。読了後の心情は表紙から受ける印象通りになりました。「思いとどまらせた」ふたつの話、『雪の糸』と『おとなりの』が好きです。
読了日:05月20日 著者:大崎 梢
 
■首無の如き祟るもの (講談社文庫)
“刀城言耶”シリーズと言いながら言耶さんなかなか出てこないし、出てきてもすぐどこかに行っちゃうし、どないなってるねんと思ったら、そういうことですか。内藤了の“堀北恵平”シリーズに記述のあった昭和7年の「首なし娘事件」が本作にも登場。実在の猟奇殺人はフィクションの中でもかぶるものですね。閉鎖的な村の中で起きる事件という設定は大好きだけど、言耶さんの推理が次から次へと展開して、真相はどこに落ち着くのか、ついていくのがたいへん。3冊分ぐらい読んだ感。シャッフルはややこしいから、着せ替え人形を作りながら読みたい。
読了日:05月31日 著者:三津田 信三

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