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『オー!ファーザー』

2014年06月02日 | 映画(あ行)
『オー!ファーザー』
監督:藤井道人
出演:岡田将生,忽那汐里,佐野史郎,河原雅彦,宮川大輔,村上淳,
   賀来賢人,駿河太郎,古村比呂,奥村知史,長原成樹,柄本明他

前述の『映画 闇金ウシジマくん Part2』の20分後、
この日の3本目にして本命の本作をテアトル梅田にて。

原作である伊坂幸太郎の同名小説は数日前に読了。
550頁超えのそこそこ長編を103分の中編映画にまとめてあるため、
どんな仕上がりになっているのだろうと楽しみでした。
上手い具合に端折られて、原作のオイシイ場面はしっかりと。

とある地方都市に暮らす高校生の由紀夫(岡田将生)。
彼には友だちに明かせない家庭の事情がある。
それは、父親が4人いるということ。
昔、母親の知代が二股ならぬ四股をかけていた当時に妊娠。
悪びれずに打ち明ける知代のもとへ4人が集まって話し合った結果、
別れるぐらいなら4人で一緒に暮らそうじゃないかと。

理解不能な話だが、外見も性格も職業もまったく異なる4人は、
残業や出張が多い知代に代わり、由紀夫とずっと一緒にいて、愛情を注ぎつづけてきた。

1人目は大学教授の悟(佐野史郎)。すこぶる頭がいい。
2人目はギャンブラーの鷹(河原雅彦)。賭け事のセンス抜群。
3人目は体育教師の勲(宮川大輔)。格闘ワザに長けている。
4人目は元ホストの葵(村上淳)。女の扱いが上手い。

さほど意識することなくそれぞれの得意方面をすべて学んだ由紀夫。
勉強も運動もできてカッコイイ由紀夫なのに、
友だちを誰一人として家に呼んだことがないらしい。
そんな噂を聞いた同級生の多恵子(忽那汐里)が由紀夫の家に押しかける。
父親が4人もいると知って多恵子は驚くが、父親たちは由紀夫の彼女だと大喜び。
多恵子もその状況を気に入って、しばしば家に来るように。

ある日、鷹から誘われて、由紀夫と多恵子はゲームセンターへ。
それは地区の賭場を仕切る富田林(柄本明)が新たにオープンしたというゲーセン。
競馬ゲームで盛り上がる鷹たちに呆れて由紀夫が席を外したところ、
悪徳弁護士のような顔をした男と、およそ似つかわしくないセクシー美女の抱擁を目撃。
しかもその抱擁中に、男の足元に置かれていた鞄が通行人によってすり替えられるのを見てしまう。

すり替えられた鞄の行方を探ろうと通行人の尾行を開始するが、
途中で幼なじみの鱒二(賀来賢人)に遭遇、
牛蒡のようなチンピラに追われているという鱒二のトラブルに巻き込まれて……。

そもそも原作では競馬場の話がゲーセンに変更されていて、
スケールが小さくなった感は否めません。
原作に登場する同級生の「殿様」や、デマの「アイドル追っかけ話」がなく、ちと寂しい。
けれども、独特の世界観を持つ伊坂作品を映画化するならばこんな感じのほうがむしろいいのかも。

原作で非常によかった話はきっちり盛り込まれています。
女性のお願いはよほどのことがないかぎり受けろだとか、
いちいち由紀夫の頭の中に父親たちの言葉がよみがえるのが可笑しい。
参観日に4人とも来ちゃった映像など、じんわり心に沁みます。

冒頭からの会話のほとんどが伏線となっているため、
見落とさないよう、聞き逃さないよう、目を見開き耳の穴をかっぽじってご覧ください。

原作がさらに愛おしくなる1本でした。
お父さんたち、サイコー。

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