『小説の神様 君としか描けない物語』
監督:久保茂昭
出演:佐藤大樹,橋本環奈,佐藤流司,杏花,莉子,
坂口涼太郎,山本未來,片岡愛之助,和久井映見他
もう観なくてもいいやと思っていた作品なのですが、
終業後に容易に寄れる劇場で何か観たいと思ったら、『鬼滅の刃』だらけ。
ほかは鑑賞済みの作品ばかりで致し方なく。
まったく期待せずに観たおかげか、悪くなかった。
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
中学生のときに作家としてデビューした男子高校生・千谷一也(佐藤大樹)。
たいして売れない作家だった父親(片岡愛之助)を亡くした後、
病気で入院中の妹・雛子(莉子)を抱え、
働きづめの母親(和久井映見)を少しでも助けようと、書き続けている。
スランプに陥ってどん底の気分でいたとき、
担当編集者の河埜(山本未來)から女子高校生人気作家との共作を提案される。
家計を支えるために受け入れることにするが、
会ってみてびっくり、その作家は同級生の小余綾詩凪(橋本環奈)。
お互いペンネームを使っていたから正体を知らず、
しかも詩凪は転校してきてまもない。
なのに可愛くて明るくてすでに人気者の詩凪に対し、
一也は友だちも多くなく、地味なことこのうえない。
うじうじしている一也のことをドSの詩凪は罵倒しまくり。
相容れないふたりと思われたが……。
ふたりの恋愛ものかと思いきや、あくまで要は小説。
本への愛情がいっぱい感じられて、だからなのか、
この手の若手俳優がひしめく作品にしては珍しく、「ら抜き」がありません。
ら抜きは極力使わないようにしている私ですが、
唯一意識的に使っているのが「来られる」「来られない」のら抜き。
正しく使うと尊敬語に取られそうで、「来れる」「来れない」と言ってしまいます。
それを登場人物たちがちゃんと「来られる」と言っている。
一也の数少ない友人である文芸部の部長・九ノ里正樹役の佐藤流司がいい。
一也の才能を羨みながらも全力で応援する姿勢に胸を打たれます。
小説の力って凄いのです。私は本を読むことをやめられない。