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『チャンシルさんには福が多いね』

2021年02月06日 | 映画(た行)
『チャンシルさんには福が多いね』(英題:Lucky Chan-sil)
監督:キム・チョヒ
出演:カン・マルグム,ユン・ヨジョン,キム・ヨンミン,ユン・スンア,ペ・ユラム他
 
シネ・リーブル梅田にて3本ハシゴの3本目。
 
キム・チョヒ監督は女性です。
ホン・サンス監督の作品10本でプロデューサーを務めた人らしい。
加瀬亮を起用した『自由が丘で』(2014)を撮った監督でもあるのですが、
私はサンス監督のことが苦手。というのか、好きになれません。
支持者の方には申し訳ないけれど、なんといえばいいのかなぁ、
「男性にとって女性はこうあってほしい」という妄想(笑)を感じます。
 
そんなサンス監督のプロデューサーを務めた人の作品って、ちょっと期待薄。
でも、どんな作品を撮るのかが気になって、この目で確かめに行きました。
ところどころ睡魔に襲われましたが、サンス監督より断然ええやん。
 
チャンシル(♀)は映画が好きで好きでたまらない映画プロデューサー。
映画に関わらない人生なんて考えたこともなかったが、
ある日、ずっと支えてきた映画監督が飲み会の席で急死する。
 
その途端、これまで目をかけてきてくれたはずの女社長は、
「プロデューサーなんて誰でもできる仕事でしょ」と言い出す。
仕事を失って金もない、独身だから家庭もないし、男もいない。
とりあえずは引越して、老女がひとりで暮らす丘の上の家に間借りする。
 
無職になったチャンシルは、妹分のような存在の女優に「働きたいのだ」とすがりつき、
彼女の家の家政婦として働きはじめるのだが……。
 
チャンシルさんは40歳。
女優の家にフランス語を教えに来ている年下の男性にひと目惚れします。
彼との映画の話が結構可笑しい。
チャンシルさんは小津安二郎を崇拝していて、小津こそ世界一の映画監督だと考えています。
それを恋する相手に話したのに、「小津は僕にはちょっと退屈だ」とかぬかしやがる。
じゃあ彼はどんな監督が好きなのかと思ったら、クリストファー・ノーラン
それを聞いたときのチャンシルさんの「ノーラン!?」には笑った。
 
また、チャンシルさんの目の前には幽霊が現れます。
幽霊がレスリー・チャンを名乗るのにもワラける。
レスリーにちっとも似ていないんだもの(笑)。
 
チャンシルさんが住む家の大家さんが泣かせます。
期せずしてこの日のハシゴ1本目と同じく、大家さんは読み書きができない。
いろいろと交渉や折衝は娘に任せてきたのに、その娘が早世してしまった。
請求書すら読めなくて困るから、市民センターで勉強を始めたと言うのです。
たまに大家さんの宿題を手伝うようになったチャンシルさん。
大家さんの詩を聴くシーンは一緒に泣きました。
 
そんなわけで、サンス監督の作品みたいだったらどうしようという懸念はどこかへ飛んで。
なんだか憎めない作品でした。

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