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『ある天文学者の恋文』

2016年10月02日 | 映画(あ行)
『ある天文学者の恋文』(原題:La Corrispondenza)
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:ジェレミー・アイアンズ,オルガ・キュリレンコ,ショーナ・マクドナルド,
   パオロ・カラブレージ,アンナ・サヴァ,イリーナ・カラ他

日曜日にTOHOシネマズ西宮で2本ハシゴ。その1本目。

お気に入り作品として挙げる人も多い『ニュー・シネマ・パラダイス』(1989)。
その監督ジュゼッペ・トルナトーレと音楽エンニオ・モリコーネという、
鉄板のコンビニよるいわばメロドラマ。
多少のミステリー要素を含んではいるものの、特に謎解きが楽しいわけでは無し。
昼メロ的なのにドロドロよりもむしろ清々しいのは同監督のなせる技。

大学で天文学の教鞭を執る著名な教授エドワード・フィーラム。
親子ほど歳の離れた教え子のエイミー・ライアンと恋に落ちるが、
ふたりの仲は誰にも知られることなく何年もの時が過ぎる。

エイミーは博士号の取得を目指してエドのアドバイスを受けるかたわら、
生活費を稼ぐためにスタント女優として活躍中。
危険なアクションを見事にやってのけるエイミーは引く手あまた。
そんな彼女のことをエドは「カミカゼ」と愛おしげに呼ぶ。

ある日、エドが壇上に立つはずの講義に出席したエイミー。
エドからは「急に講義ができなくなったので、代理の教員が講義する」と聞いていた。
講義開始後もエドからのメールが着信するなか、壇上からエドの訃報が告げられる。
数日前にエドが亡くなったと言うのだ。ならばこのメールは何なのか。
亡くなったとされる日以後もエイミーのもとへはエドからの贈り物が届いている。
それはいったいいつ誰が発送手配をしたものなのか。

どうしようもなく混乱したエイミーは、
エドが家族と暮らすエディンバラに出向き、エドの自宅周辺をうろついたり、
ふたりでよく出かけたイタリア湖水地方のサン・ジュリオ島を訪れたり。
行く先々でタイミングよく届くメールや手紙に戸惑うのだが……。

死んでいるのにどうやって?とは思いますが、そのトリックは想定の範囲内。
また手法が事細かに明かされるわけでもないので、そこにたいした面白みはありません。
ただ、映像と音楽が美しくて、なんだか最後まで目が離せないんです。
エド役のジェレミー・アイアンズ、エイミー役のオルガ・キュリレンコ、共に○。

密やかなる不倫も真剣ならばみんな味方。
よくよく考えれば死にかけにジジイと才色兼備の若い美女の物語なんて、
私が苦手なオヤジの妄想と言えばそうなのですが、
ここがトルナトーレ監督の凄いところなのか、ロマンティックに思えてしまう。
自分の死を悲しむであろう相手をここまで想い、
友人知人や家族までやがて味方にしてしまう人なんて、まぁあり得ませんけれど。(^^;

死について多少なりとも考える年齢になったら、心残りはなくしたい。
なんとなく気まずくて連絡を取らなくなっていた人がいたりしたら、
死ぬまでに一度は会っておきたいなぁと思うのでした。

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