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映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『彼女がその名を知らない鳥たち』

2017年11月05日 | 映画(か行)
『彼女がその名を知らない鳥たち』
監督:白石和彌
出演:蒼井優,阿部サダヲ,松坂桃李,村川絵梨,赤堀雅秋,竹野内豊他

月曜日の昼間、神戸ポートピアホテルにて親戚の出演するコンサートが。
有休を取って行くことにして、その前に映画を1本。
神戸方面で観るのが方向的によさそうだけど、良い時間に上映なし。
通勤ラッシュの時間帯になんばまで行くのは決死の覚悟が要りそうだから、
おとなしく梅田で止まり、梅田ブルク7で本作を鑑賞しました。

数年前に著作を立て続けに読んだ沼田まほかる
その頃は映像化の話なんてちっともなかったのに、
この間『ユリゴコロ』が公開されたと思ったら、今度はこれ。
監督はどうも私のお気に入りになりそうな白石和彌。
『凶悪』(2013)、『劇場版 女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』(2015)、
『日本で一番悪い奴ら』(2016)、これまでのところ、どれも好きです。

北原十和子(蒼井優)は、8年前に別れた黒崎俊一(竹野内豊)のことが忘れられない。
それを承知の上で十和子と同棲している佐野陣治(阿部サダヲ)に辛く当たってばかり。
羽振りの良いイケメンだった俊一のことを思うと、
不潔で下品きわまりない陣治となど一緒に寝る気も起きない。
けれど働く気もなし、自分の言いなりの陣治の少ない稼ぎを当てにするだけ。

クレーマーのようなこともしては出費を抑えようとしていた十和子は、
壊れた腕時計のことで百貨店に苦情を申し立てる。
応対した売場責任者の水島真(松坂桃李)がイケメンであることに驚く。
ついつい俊一にその面影を重ね、真との情事に溺れてゆく。

そんなある日、真の妻宛に妙なものが送りつけられてきたらしい。
また、真が持ち歩いていた顧客リストがなくなったという。
真から「君の同居人の仕業ではないか」と言われた十和子は、
自分の交際相手に対して過去にも陣治が何か仕掛けたのではないかと疑うのだが……。

凄絶です。阿部サダヲが圧巻。蒼井優も凄まじい。
これを観たら、『ナラタージュ』なんてもうオママゴトに思えてきます。

どんなになじられても、自分だけが彼女を幸せにできるのだと断言する陣治。
原作を読んでから何年も経ちすぎて、内容をほぼ忘れていましたが、
ただ絶望的な気持ちになって、この著者は面白いけど好きじゃないと思った覚えが。
それを思うと、映画版もやはり絶望的ではあるけれど、この愛の形が切ない。
真相が明らかになるシーンでは涙がにじみました。

で、関西弁作品のお約束。イントネーションについて。
蒼井優も阿部サダヲも関西圏出身の役者ではないのに、相当上手い。
ごくたまにヘンテコになりますが、これだけ喋れれば立派です。
その点でもスゴイ。

両イケメンが演じる男ふたり、サイテー(笑)。
痛い目に遭って当然かと。

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