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『劇場版 女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』

2015年12月20日 | 映画(か行)
『劇場版 女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』
監督:白石和彌
出演:みさこ,蒼波純,久間田琳加,吉田凜音,中山莉子他

タイトルのインパクトが大きくて気になっていた作品。
ナナゲイか元町映画館で観ようかと画策したけれど、
その数日後にはDVDレンタル開始になると知って取りやめ。
TSUTAYA DISCASでレンタルしました。

こんなタイトルで女子中学生を撮る監督は軟派なんだろうと思っていたら、
なんと『凶悪』(2013)の監督ではないですか。

全12話を配信する形で放映していたものを、前編・後編として劇場公開。
サブタイトルとして前編は「入る?」、後編は「出る?」。
トイレが舞台というと、私が思い出すのは『チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室』(2008)。
しかしトイレだけが舞台だというのは世界初だそうです。斬新(笑)。

栃木県の桃山女子学院中等部。
26歳の地味な清掃員・れんげ(みさこ)はバンドで活躍する日を夢見るドラマー
しかし、昔、鏡を覗き込んでいるときにからかわれたのがトラウマとなり、
鏡を見ることができず、したがって化粧をすることもできない。

毎日トイレを清掃していると、耳に入るガールズトーク。
口を挟まずにいられなくなり、ついでに彼女たちに向けて歌ってしまうが、
「何この変なオバサン」呼ばわり。

そんなトイレのいちばん奥の個室がずっと閉じたまま。
いったい誰がこもっているのかと思ったら、
美術の類い稀な才能を持つのにコミュニケーション障害の生徒・大川さん(蒼波純)。
彼女はなぜかれんげには心を開き、文化祭でコラボしたいと言う。
ドラムに乗せたライブアートははたしてできるのか。

前後編合わせると130分超えで長いよと思っていましたが、
アホらしくも可笑しくて止まらない。
れんげ役はバンド“神聖かまってちゃん”と“バンドじゃないもん!”のドラマー・みさこで、
演技が上手いとはいえないのに、いるだけで可笑しい。
彼女がドラムを叩きながらうたう歌はあまりに覚えやすく、
「全力歯ぎしりレッツゴー」に並んでキャッチー。今も頭の中をぐるぐる回っています。

オマケとして挟まれる話がとても好きでした。
ひとり教室でパンを食べる生徒。ふとしたはずみでパンが床に落ちてしまいます。
拾って食べてもいいものか、だけどその現場を誰かに見られたらどうしよう。
誰にも見られていないことを確認してパンを拾い上げ、食べようとした拍子に同級生登場。
肩を叩かれたはずみで再びパンがぽろりと床へ。
主人公よりどう見ても可愛い同級生が「わぁ、美味しそう」と床に落ちたパンを拾ってかじりつきます。
唖然とする主人公に「あ、ごめん、食べちゃった」。
どんな些細なこともからかわれたりいじめられたりする原因になるかもしれない女子中学生。
心配には及ばなかったと知ったときの呆気にとられる表情に笑いました。
あれ、そういえばこれはトイレが舞台じゃないやんか。

教室では出せない本性、水には流せないあの秘密……。
奇抜で良し。

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